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惑星直列外伝<奪われた記憶>

惑星直列前夜の8月26日、ボクは興奮して寝付けなかった。


仕方が無いので、埃のかぶったブラントンのボトルの栓を捻り、ゆらゆらした茶色い液体を胃の中にそのまま一気に流し込んだ。そして、マッチで火を着けたハイライトの煙を肺の中に送り込んで、ゆっくりと吐き出した。いよいよ明日だ・・・・待ちに待った惑星直列の日。



強いニコチンのお陰か、気持ちが少し落ち着いた。
胃の中で、ブラントンの強いアルコールが徐々に吸収されている事を感じる。
トクッ・トクッと心臓の鼓動が落ち着くのも実感できた。
そして、リビングのソファーに身を預けてゆっくりと目を閉じた。



やがてボクは深い眠りについた。
そしてボクは不思議な夢をたくさん見た。



ふと気が付くと、ボクらを追い回していた赤い旗を掲げた船団が、海から消えた。ボクらは海賊だったのか?と考えながら空を見上げた。

沢山のカモメが餌を求めて空中を旋回している。10匹20匹ではない。空を埋め尽くしてしまう様な数の鳥達。海の中に目を移すと、それはそれは凄い数のイワシの群れ。イワシで覆われていると言っても良いくらいの量。カモメはこのイワシを狙ってるのだ。カモメ達は海中のイワシめがけ次から次へと急下降し、確実に獲物を捕らえて行く。


しかし静かだ。こんなに鳥と魚は興奮してるのに何も感じない不思議な感覚。ブラントンのアルコールとハイライトのニコチンの仕業か?いや、夢の中だからだろう。仕方が無いのでボクは再び目を閉じた。


次の瞬間、ボクは太平洋に居た。


大島が見える。伊豆半島が見える。富士山も見えた。海面すれすれを飛び交う飛び魚。間違いない。太平洋だ。しかし太平洋であれば水の色はもう少し黒いはずだが水の色は緑。ココは何処なんだ?周りを見渡すと、仲間達はワインの栓を抜き祝杯をあげている。何かの戦いに勝ったのか?マンタの群れが海面すれすれを優々と泳いで行った。浮遊物に歓喜し、黄金の魚を高々と掲げる仲間も居る。いつの時代なんだココは?過去か未来かも区別がつかなくなっている。夢の中だから仕方が無い。そして長い長い航海の後、磯場で沸き立つサラシの中に、流木でこしらえた魚の形をした玩具を黙々と投げ込む仲間も居た。彼は何をしてるのだろう?


ボクは誰なんだ?ココは何処なんだ!

しかし何度考えても頭が痛くなるだけだった。

仕方が無いので、船上に転がったワインボトルに残ったワインを一気に胃の中へ流し込み、再び目を閉じた。何も感じない。何も起こらない。再び船の揺れに身を任せた。



ゆっくり目を開けるとそこには夜の海が広がっていた。


月の光が眩しくて全ての物が透かし絵の様に見えたが、もう夢の中に居る事にも慣れて来たので、何も不思議に感じない。見知らぬ船が近づいて来ても怖くない。大型船が近づいて来ても何も考えないで流れに身を任せる。全て夢なのだから。強いアルコールと強いニコチンで侵された思考回路が作り出した空想の世界なんだ。何も感じない。何も起こらない。


そして、殻をむいたピスタチオの粒を口の中に放り込み、ビールを飲み干した。





気が付いたのは8月29日午前10時を過ぎた頃。やはりソファーに寝転んだままだった。

「惑星直列は?」と妻に問う。

「何言ってんのアンタ、また変な所に寝て。呑み過ぎ!」と妻が飽きれて言う。


机の上には柿ピーの空き袋と発泡酒の空き缶が転がっていた。やはり夢だったのか?
8月27日と28日の2日間の記憶が無い。


重い体を起こすとユラユラと軽く陸酔いをしている。右腕は爆釣を味わった翌日の様にパンパンの筋肉痛である。念のため指先の匂いを嗅いでみると、ほのかに鱸の匂いがする。


船に乗っていたのは事実だし、鱸を釣ったのは事実だ!
「そうだ!」とiPhoneのデータファイルを探しまくる。写真は残ってるハズだ!

しかし出て来た写真はこれだけ。
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8月28日にシイラ釣りにも行っていた様だが、記憶が無い。
魚の写真が全くない事が、ボクを更に不安にさせた。やはり夢だったのか?

いや、夢じゃない。

と、もう一度iPhoneのデータを念入りにチェックすると8月27日付けのプロテクトが掛かった見知らぬデータを発見。ボクの記憶を奪った侵入者が居たのは確実なんだ。何とかプロテクトを解除し、恐る恐る開いてみると・・・・
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ほっ.ほっ.ぇぇぇ???
奴の仕業だったのかっ!マゴチ持ってるし。
こんな夢の様な二日間をスゴチたのでありました。ありがとう惑星直列2010夏☆


※この物語はフィクションです。

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