集中力は完全になくなっていた。





潮風に長時間さらされ、


元々高かったおれのコジキとしてのポテンシャルがグッと引き上げられた。





若年コジキかとおぼしきオーラを放ち座り込んでいるおれの20メートル程横で、







なんだかジジイどもがザワつき出している。






まさか。。



ほら、

やっぱなんかデカイ魚かかってる。





なんだあの魚。

シーバス？？







とりあえず見にいくと、







やっぱシーバスじゃん。。






あ。


また向こうでも釣れてる。







こ、これは 。。




瞬時にヤル気が戻った。






群れが来た。。







群れが来たぁぁー！！





心の中でテンションが一気に跳ね上がった！




おれは小走りで持ち場に戻り！




再びロッドを握り！







今日一番のフルキャストで！！





っかました！！！


すると！！





『パーーーーン！！！！！』。。






！！？？





とんでもなく響くデカイ音。






ルアーがとんでった？



そのワンランク上だ。






竿って折れるんかい。。







はいジジイこっち見んな。




……




。。





は…



恥ずかしい。






ワープしたい。






しかしその恥ずかしさを飲み込むかたちで、おれはその場に腰をおろす。






バスロッドじゃシーバスルアーは無理なのね。。





はい勉強なりました。





ロッドって折れるんだね。


しかもビビる程どでかい音で。





おれはバキバキのロッドをしまった。





てきとうに買ったバスロッドだが、自分で選んで金を出して買ったロッドだ。



一日で折れてしまった。



ただそれより、



目の前にある明らかなチャンスに



何もできず周りが釣れているのをただ見ているだけの状態が





たまらなくもどかしかった。







おれは立ち上がりその場を後にした。




まだ八時。






釣具屋はまだ開かないか。




なるほどね。