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悠久大河の黒い月Ⅰ

総全長1126キロ。

フライ川と対を成す、パプアニューギニアが世界に誇る大河。

それがセピック川である。

 


だが、それほどの大河であるのにも関わらず、釣りの情報は全くと言っていいほど無い。
 
唯一あったのは、BSで98年に放送されたらしい番組で、残間正之さんという人が「ムーンフィッシュ」という魚を求めて旅するドキュメンタリーだった。
 
その映像は見つからなかったので手がかりと呼べるものは何一つなかったが、なにやら怪しいサカナが居ることだけは分かった。
 
面白そうだ。

確実な情報がいくつもあるフライ川に行く手もあったが、好奇心がそれを上回った。
 
そうと決まれば、後は何もかもが動き出した。

セピック行きの拠点のある街、ウェワクまでのチケットを取り、そこに日本人の方が経営するホテルを見つけた。
 
よし、ここで情報を集めつつセピックへ向かうことにしよう。

後はお金の問題だけだった。
 
航空券分はタイに行く前のバイトで稼いでおいたつもりだったが、ウェワクへ行く国内線のチケットの値段がかなり高い。
 
しかも物価は高くてついでにキナ高(1キナ=41円)ときた。

そして地獄のアルバイト生活が始まった。

一日七時間で週5or6日。
 
往復4時間の通学時間は英語の勉強に当てたので、家ではほぼ寝るのみ。

釣りにもあまり行けず、自転車にも乗れず。

果たして本当にこんなことを僕は望んでいるのだろうか?

だが、それすらも結論が出ない多忙な日々。

そんな悶々とした生活が3カ月ほど続いたが、おかげで十分な資金は貯まった。

そして気づく。


答えなら、旅の中で出せばいい。









さあ、旅を始めよう。



 








8月24日。
 
前日まで東北で2週間弱の自転車野宿生活をしていたので少し疲れている状態での出発。
 
楽しそうだからとスケジュールをギュウギュウに押し込んだ自分を少し恨んだが、まあ楽しかったので良しとしよう。
 
飛行機では寝るだけだし。そんなことを考えながら成田空港へと向かう。
 
着いて荷物を預けて飛行機へ。

航空会社はニューギニア航空というらしい。

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直行便は週に一度しか出ておらず、だが、あまり多くの人が乗っているようには見えなかった。
 
飛行機ではパプア人と隣になって少し会話はしたが、ちょっとメンドクサイ野郎だったので(笑)、程なくして熟睡。
 



起きた時には既にパプアだった。時刻にして、朝6時。
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ビザを購入して入国し、両替をして、ベンチに座る。
 
実は乗り換えの飛行機フライト時間が16時30分なのでメチャクチャ暇なのだ。
 
日本だったらベンチで寝るだけだが、ここは外国、特に治安が悪いことで知られるパプアだ(現に昨年だったか、空港内で発砲事件があったらしい)。
 
ということで日本から持ってきた本を読んで暇を潰す。
 
そして国内線のターミナルの方へ移動。


77tx2yfansz9xvocsu5t_480_480-598a3d74.jpg(ちなみにココ、国際線と国内線の間にある通路なのだが、実はパプア国内で治安が最も悪い場所らしい。が、それとも知らずにダラダラ三往復くらいしてた 汗)

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お昼を食べつつ、本は読み終わってしまったのでボンヤリと過ごす。

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マフィンとコーヒーで11キナ(=450円ほど)。高いなぁ。
 
ついでに、トイレに行ったら見つけたブアイ(ビートルナッツ)の吐き後。

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ホントはもっと赤くて、しかもそれが路上に大量に吐き捨ててあるもんだから、まるで血痕みたいな感じ。
 
ついでにみんな食べてるからみんな口の中が真っ赤で、お前らは食人族かと(まあ50年前まで首狩り族がいたらしいが…)。
 
そんなことを考えること数時間。ようやく搭乗。

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空から見たパプアはまるでジオラマみたいで、不思議な感覚だった。

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ちなみに熱帯地域のパプアにおいて、首都のポートモレスビーは特異点らしく、こんな乾いた土地になっている。 


そしてしばらくして飛行機は中央の山脈を超え、セピックらしき川の上を通過する。
 
ジャングルと川と空。他は何もない。

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ウェワクへ降り立つと、ホテルのスタッフらしき方が僕の名前を書いた紙をぶら下げて待っていたので、車に乗り込んで一路ホテルへ。

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ホテルの名前は「パラダイス・ニューウェワクホテル」と言って、日本人の川畑さんが経営するホテル。
 
まずは川畑さんに挨拶し、セピックへ釣りに行きたい旨を伝えると、アンゴラムという街のクレトスという人を訪ねるように、とのアドバイスをもらった。
 
セピックへ行く日本人がみんなお世話になっている人らしい。
 
これでとりあえず当分の予定は決まった。
 
ついでにセピック行きに必要なものは街で揃うそうなので、足りないものがあれば買いに行けるらしい。
 
他にも色々と教えてもらって、とりあえず部屋へ行く。
 
そして夕食。レッドエンペラーという魚らしいが、鋭い歯があって、かなり肉食な感じ。
 

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美味しかった。
 
食べている途中、川畑さんが来てしばし雑談する。
 
この人、もう87才なのだが、おそらくそこら辺の大人より強かである。
 
よくテレビとかで言う「この年でそんなに元気なんですかー」みたいなのとはワケが違う。
 
人間魚雷「回天」の特攻隊員だったが、広島に原発が落ちたことで救助要員となり、爆撃の翌日の広島へ。
 
戦争の後はテレビ局に勤めて日本中・世界中を飛び回り、84年に(確か)このホテルを預かることになった。
 
が、蓋を開けてみれば何千万という借金があったらしく、それを物価が上がり続ける中で殆ど料金を上げずに20年かけて返済したという。
 
…とりあえず、凄まじい人だったと言っておこう。



 
そしてその夜はそのまま就寝。

翌朝、日の出とともに起きて、近くの海岸へと釣りに行く。


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実は、セピックの情報を集めるのに結構時間かかると予想していてウェワクで3泊分予約していたのだが、いきなり暇になったのだ(笑
 
そんなわけで、朝夕は釣り。
 
ちなみにこの国では外を出歩くときに必ずスタッフを同伴させられる。
 
そういう治安の国なのだ。
 
ということで、この後長いこと一緒に行動することになるネルソン(パプア人が発音すると「奈良さん」にしか聞こえない 笑)と一緒に海岸へ。
 
とりあえず砂浜でバラクーダが一匹釣れたが、それだけ。

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昼間は暑いので釣りはしないでホテルやマーケットを歩いてみる。
 
するとカソワリ(ヒクイドリ)を発見。ちょっとギョッとする大きさだった。

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マーケットの方では、ちょっとブアイを試してみたかったので購入。
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ネルソンに食べ方を教わりつつ食べる(実がブアイで、細長いのがダカで、白い粉がライム、という。ちなみに粉は石灰)。
 
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まずは歯で実の川をかじって剥ぎ、中の身を噛む。そしてダカをライムにつけて一緒に噛む。
 
…渋い。
 
2つほど食べてみたが、覚醒作用みたいなのもなく、とりあえず口が真っ赤になっただけ。
 
ちなみに吐き出したのがこちら。(グロ注意)











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赤い方が時間が経ったやつ。どうやら空気に触れて赤くなるみたい。ちなみにこの後、僕は最後まで一つも食べなかった(パプア人はこれを5才か6才から食べ始めるらしいが…)。
 
夕方の釣りは同じ砂浜に行って何も釣れなかったので、翌日はマングローブへの入り口になっている場所に行って水路でルアー投げていると、小さいのからソコソコまでメッキが入れ食い。

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すかさずネルソンが木の枝でストリンガーを作って魚をキープする。(この人がネルソン)

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ここの人たち、魚であれば小さくても大きくてもとりあえず食べる習慣らしい。
 
そしてネルソンが魚をホテルへ持って帰ると、昼食と夕食で出てきた
(笑)。

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ちなみに宿泊費には食事がついておらず、毎度ソコソコ値段がするのに美味しくない料理を併設のレストランで注文しなければならなかったのだが、持ち込んだらタダだった。
 
夕食の方では、セピックの人々の主食である「セイゴ」というデンプンの粉をわらび餅とゼリーの中間みたいにしたものを出してくれた。
 
味は…デンプンって感じ(笑


 
そして翌日、ようやくセピックへと出発した。
 
ウェワクからはPMVバス(Public Motor Vehicle)がアンゴラムまで通っているらしい。
 
が、バスとは名ばかりで、ただのトラックである。

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ちなみにフロントガラスがこんな感じ。
 
跳ね石だよね?銃弾じゃないよね?
 
この荷台に、荷物と人がギュウギュウに押し込まれて積載される。

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その密度、朝の上りの中央線から多少間引いた感じである(分からない人ごめんなさい)。
 
そしてその状態で乗客が集まるまで2時間ほど待たされ、今度は悪路を5時間走る。
 
英語のガイドブックにextremely uncomfortable と記載されていたが、まさにその通り。
 
もう一生乗りたくなかった(帰りにまた乗るのだが…)。


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休憩での一コマ。
 
写真を撮ってくれと言うから撮ってあげた。

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どんなに苦痛でも乗り物で眠気が来るのは万国共通。落ちて死にそうになっていたのを支えている場面をパチリ。僕も眠かったが、これ見て我慢した。
 
途中、スパナでタイヤを閉め直す。頭が天井にぶつかるほど飛び上がってるから、こうでもしないとヤバいんだろうな。

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しかしスゲーな、日本のトラック。チャリで前輪が浮くような坂道も過積載のままバリバリ登ってるし。
 
ちなみに同乗者によると、ヤマモトという人物が中古の車を日本から持ってきているらしい。
 
誰か知ってる?

 
 
午前中にバスを見つけて、セピック川を見ることができたのは午後6時前だった。
 
とんでもなく長かったが、川を見た瞬間に疲れを忘れる。

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ここが、今回の旅の舞台か。
 
そんな思いで眺めていると、一人のオッサンに声をかけられた。





へ続く

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