プロフィール

RYU

愛知県

プロフィール詳細

カレンダー

<< 2024/4 >>

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

検索

:

アクセスカウンター

  • 今日のアクセス:16
  • 昨日のアクセス:31
  • 総アクセス数:162112

QRコード

古の激流、白銀の牙 2

シングー河釣行の初日。

ボートに食料、釣具、ハンモックなどを積み込み出発。

ac2utgxso9dzocuaso6f_480_480-fc0cee43.jpg

案内してくれる漁師の名前はネット。

河で生まれ育った生粋の漁師とのこと。

彼の繰船するボートで上流へと遡っていく。

vb4vgnrdkx9fymti5zsy_480_480-1151dda2.jpg



 

まず始めにシングー河(Rio Xingu )について話しておこう。

この河は全長約1980キロの巨大河川。
(それでもアマゾン河の一支流だというのだから無茶苦茶だ)

上流は遠くパンタナル湿原の方から北に向かって流れ、多くはインディオの保護地区となっている。

この河は僕らのアマゾンのイメージとはかなり異なる河だ。

その流量に見合わぬ激流が幾つも発生し、カンブリア紀程も前の古代地層の岩盤の間を流れる。

adi5vcz4cejrswhjk3x9_480_480-154b8cc6.jpg
zce7ai4i3fo2w4gdxb4h_480_480-28d6db44.jpgoox3ros5zd8nxfkn88fn_480_480-82c169c1.jpg

水は黒くて透き通った、恐らくブラックウォーター(タンニンが溶け出した水)。
※雨季なので結構濁っているらしいが。

pomo9rpdfdmrh3du8voh_480_480-026f84cb.jpg

 

ここで狙うのはカショーロ。

前に2本、サーベルタイガーのように生えた牙が特徴で、この河には特に大きくなる種が生息しているのだという。

まずは泊まる拠点となる場所にハンモックを吊るし、荷物を置いてから出発する。



途中、ネットが情報収集のために民家に寄ったので時間潰しに止まっている船からルアーの泳ぎを見ていたら、いきなりshosho にツクナレ(ピーコックバス)がヒット!

アマゾン、スゲー。



ネットが戻ってきたところで再出発。

まずは反転流絡みの小さなワンド。


岸際で出なかったので沖の反転流に投げると2人ともいきなり何かがヒットする。

が、あまりのバイト・ファイトの強さに体が追いついていかず、ことごとくバラす。



それでも水面は爆発し続け、特にshosho の20センチもあるスイッシャーに反応がいい。


アマゾン、スゲー。



その後、やはりバラシ続けると反応が無くなり、次のポイントへ。

ここもヒットが多発し、なんとか慣れてきてキャッチ。


ec24rzj5sujvtvbsxk6n_480_480-aafb7972.jpg

4ufb7a2p5nw4j7dfcw2v_480_480-214b6ba8.jpg(ちなみに今回、面倒なので魚の写真はあまり撮ってませんw。写真以上に結構釣れてますんで、ご安心を。)

淡水カマス、ビックーダ。

怒涛のスピードでバイトし、走り、ジャンプする。

いつの間にか船の反対でジャンプしてたりするのだ(笑



ビックーダ祭りを楽しんだ後は、小さなラゴア(湖)
へ。

ここでは僕にもツクナレがヒットするが、獲れず。

この魚、恐るべき瞬発力でバイトし障害物に走る。

油断している間にサクッと巻かれてしまった。。。

 

ここで一旦、昼飯休憩。

持っていった鶏肉をネットが煮込んだやつ。

5ceo2fh8oz8rastty29n_480_480-3e8693a0.jpg

写真は近くのよくわからない入れ物に入ってたプレコ。

yf93x9n6eubie6tppik4_480_480-5487a310.jpg
そう、ここは彼らの生息地なのだ。

ちなみに手掴みでネットが捕まえていたのだが、僕には獲れず。


 

食べ終わった後はナマズの餌釣り。

vge8nbrgfhw3op5g39k4_480_480-01b3ede6.jpg

雨季はナマズが良いシーズンで、ピララーラやジャウーなんかが釣れるとか。

が、この日は何も起きず。

naic4muen83cxo3hgijw_480_480-6f69ed76.jpg

最後にルアーでビックーダをチョイチョイ釣って終わり。

ツクナレの鍋を食べて眠りについた。


 

翌日。

猛烈に痒いと思いお互いの写真を撮ってみると。。。

2日目にしてこれ。

7jwgej9t7natgaor6nf2_480_480-0cd97146.jpg

njf8m8sb2antefyavbzo_480_480-cae212f7.jpg

その正体はピユンという小さな虻のような虫。

刺されるとチクッという痛みがあり、その箇所から血が出て猛烈に痒くなる。

痛いくせに痒くなるなんて最悪な野郎である。

ちなみに4日間を終える頃、2人の体は凄まじいことになっているのであった。。。

 

それはさておき、ボートを走らせ昨日よりも上流へと走る。

ここは水深が全体的に浅いのか、河一帯が瀬になっているエリア。

一つ一つ流れを撃っていくが、時折ビックーダが出てくるだけで何も反応がない。

z4hepir2sxbf7cfjv4ru_480_480-9d162449.jpg

 

諦めて下流へ。

岸際を撃っていくと、とある所でツクナレが連発。

bn2jnyjpfpocpx6ucixp_480_480-264f61fa.jpg

 

どうやら雨期で魚は散っているものの、居るところには居て活性も悪くない。

43n6b2o29sr9kk5yimcn_480_480-7807f4f5.jpg

だけど、ルアーやアクションでしっかり結果が変わってくるのが、やっぱりアマゾンでも釣りは釣りなんだなーって感じ。
(ビックーダは適当でも良かった感があるが)

ちなみに「雨期のシングー」に限った場合だけかもしれないが、キーワードは「流れ」だった。

ツクナレだったら岸際の流れの反転流に障害物が絡む所がベストで、そのスポットで完璧に動かせればゾーンを出ていても恐るべき瞬発力で追い付いてくる。

そんなイメージ。
(ビックーダは反転流さえ絡めば何でも良かった感じw)

2人で1ヵ所からゴッソリ抜き、やっぱり昼飯を食った後はナマズ。

45m5ottzuzg2w2553k2w_480_480-01b7d9d0.jpg

この日は何も釣れないのが嫌だったので針の大きさを落とすと、やっとピラニア(現地発音だとピラーニャ)が釣れた。

なんかもっとウジャウジャ居るイメージだったけど。。。雨期だから?



227p2hhhcpu4wxgdggmc_480_480-c5323fcc.jpg

そして2日目、終了。



3日目。

写真は撮っていないもののツクナレやビックーダはソコソコの数を獲っていて、そろそろ本命のカショーロに挑みたかった。

ネットにもその旨を伝え、あちこち走り回る。





が、どこに行っても反応がない。

たまにビックーダが出てくるだけで、時間がどんどん流れていく。

ネットも水が多すぎると言っているし、やはり雨期では厳しかったのか?

そんな思考が脳裏に浮かぶが、いやいやせっかく来たんだし投げ倒すしかないと思い直す。


 

太陽が西に傾き始めた時だった。

それまでとは違う、巨大な流れが作り出す反転流のエリアだった。

ルアーが流れから出て反転流に入った所で何者かがバイトした。

ただ、その衝撃があまりに硬質だったので、予想はしていた。

手元に帰ってきたルアーを見て確信する。

9uob2fgj9e6zjhxbw4bx_480_480-549b17d6.jpg

 

初使用にも関わらず塗装が所々で剥げ、ボディーに穴が空き、そして、牙が刺さっていた。

間違いない。

このエリアに居る。

それからさらに10投ほどした時だったか。

 

他の魚とは異質の、硬質な衝撃がロッドを叩いた。

激流に乗った強烈な疾走を止めると、今度は下に突っ込んでいく。

ヤバい、この下には森が沈んでいる。

巻かれたらアウトだ。

冷や汗をかきながら慎重にリフトすると、しばらくしてようやく姿が見えた。

思わず息を呑む。
 

ギョロリとした目、白銀に輝く魚体、そして「牙」。

そう、コイツに会うために地球の裏側までやってきたのだ。

だが生命線であるフックは鼻っ面に一本、チョンと刺さっただけ。

カエシは潰してある。

とてつもない緊張感の中、shoshoにランディングを頼む。

が。。。



唇が厚くてグリップが入らない。。。

何度もハメようとしては入らずに走られ、もうダメかと思った矢先、なんとかグリップが滑り込んだ。

よっしゃぁぁぁぁっ!

uic89wptu5954ro94z9c_480_480-6e85a67c.jpg

久々の絶叫!

獲ったぜ、カショーロ!

teoku3mj5zxjrhu58tg3_480_480-068bd64b.jpg

牙の一本は何故か倒れていたが、逆にそれが歴戦の証のようでカッコいい。

9dhdcr926zmp4xwdt2i2_480_480-b2cf4ae6.jpg

kpaiu85hihgosk8vn9j6_480_480-2548f4a1.jpg

shosho ・ネットと固く握手する。

ホント、来て良かった。。。

余韻は冷めることなく、日没を迎えた。

cn35jy534pd6kpfkh7xr_480_480-6f992c9f.jpg

 

前半の最終日。

この日もカショーロを狙った流れへ。

まだ獲っていないshosho に先頭に立ってもらい、後ろでトップを投げる。

するといきなり、ガボンっ!

an772s8w69o232bv8gzi_480_480-e37a852d.jpg

 

あっけなく2匹目が登場。

ct5egt5cwmh4as6bbydp_480_480-1aa1a8d2.jpg

その直後からshosho が超真剣モードに入ったので(笑)、後ろで邪魔しないように釣りを再開する。

 

だがこの魚、フッキング率が滅茶苦茶に悪い。

何発も何発もバイトしては乗らず、ルアーに歯形が残るのみ。

で、だいたいフッキングするのは上顎の鼻のあたりなのだが、ちょこんと掛かることが多くバレやすい。

 

ひたすらやったが次第にバイトが無くなってきて、代わりにビックーダが入ってきたところで終了となった。



 

一旦アルタミラに帰って休憩し、フックを換えたりリーダーを組み直したりして次回の準備を進める。

するとレストランの従業員の一人、パオロ・フカミさんが色々と持ってきてくれた。

2vwzif55gvuybmdczyu8_480_480-faea09be.jpg

ココナッツにサトウキビ、マンゴー。

ちなみに全部、庭に生えてるw

iuxceosshxvh87kbabif_480_480-376d1823.jpg24sstxx9x8kimn2wzhd9_480_480-5d703b60.jpgus2d6sozs5czkkucueok_480_480-4bc66f1c.jpg7sowd98zxgud6ib989xr_480_480-41c41c3a.jpg

ありがとうございました、とっても甘くて美味しかったです。




翌日も休憩日だったので、街に買い物ついでの散歩へ。


 

そして見つけた看板。

kwv3snvru5j3mj3uvd3m_480_480-550bf8d2.jpg

ベロモンチダム計画。

シングー河のアルタミラ下流に、世界第3位の大きさの巨大なダムを作る計画。

その計画自体はかなり前に発表されたが、その自然破壊の規模の大きさから世界中で避難の声が高まり、世界銀行が融資を取り止めたことで一旦中止となった。

だが、ブラジル政府はもう一度計画を進め、開発に着手した。

今度はブラジル政府の予算で行われるため、強気の姿勢で計画を突き進めているらしい。

この計画はアルタミラに大きな変化をもたらした。

人口は8万人から16万人に増え、そのために山を一つ切り崩して街を広げたんだという。

また建設会社は豊富な資金で労働者を雇い、その給料はアルタミラで普通に働く額の2倍になるという。

(つい最近の週刊誌で、アルタミラはブラジルの都市の中で平均給与が高い都市ベスト10に入ったらしい)

更にダム近くで労働者用の寮を用意し、街から通勤する者のためにバスを運行させているらしい。

この至れり尽くせりのおかげで町のお店から人が消え、何処もかしこも人不足で悩んでいるらしい。
(カジワラさんもその一人であった)

開発の光と影。

ちなみに僕は今回、こんなTシャツを着ていった。

u83v679bzf5vuen7tcff_480_480-8aae0104.jpg

アルタミラTシャツ。

普通にカッコいいし、これで街に行ったら印象良さそうだなと思って買って行ったのだが、これの製作者にはもっと別の意図ーーーシングーに少しでも注目が集まることを期待したのかもしれない。

何となく、ふとそう思った。

この計画は完成まで街を潤し続けるのだろう。

完成してからは一部の者に莫大な利益を、そしてブラジル国民に電気を提供し続けるのだろう。

想像を絶する自然破壊、太古の河の死滅と引き換えに。

その最後の姿を見ておきたかったというのも、僕らがここに来た理由の一つなのだ。





続く。

その3

 

コメントを見る