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ショータ・ジェンキンスです。 ようやくfimoの触り方を理解してきました。 皆様よろしくお願い致します。

深淵の住人 前編

前々日に起きたドラマの興奮冷めやらぬ4月9日、中禅寺湖アタックはすでに7回目を迎えていた。週5で通っているペース、世捨て人と言われても反論が出来ない。日釣券をいつも買っている越後屋さんに、今シーズン一番最初に6枚綴りの回数券が2冊目に入った釣り人だと、半分呆れたように驚かれてしまった(笑)

色々と相棒と話し合った結果、情報では魚はほとんど出ておらず、あまり調子が良いとは言えないポイントに入る。しかし同じストレッチの岬付近で他の釣り人が魚を手にしているのが遠目に見えたので、少しだけ期待が持てた。いや、そんな風にして自分たちの選択を信じる。まあポイントを選んだ理由は自分たちなりには色々あるのだけど、どの釣りでも大事にしてるのは時合いやポイントをなるべくズラしてシェアすること。ちょっと天邪鬼気味に。

 

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太陽も登った6時半ごろ、気付けば大量のワカサギが足元に現れた。さっきまで小さな虫をついばむようなライズをしていたブラウン達とは桁違いのボイルが何度か起こる。普通にスプーンで手前のブレイクを引いただけでワカサギが刺さってくるような状況、とにかくワカサギが濃い。ミノーを投げていたWILD-1マンディ関口が突然叫ぶ。

『喰った!俺の喰った!!』

その「俺」以外の他に誰がいたのかよく分からないが、マンディのラインの先で水面で激しい水しぶきを上げながらロールする真っ黒な魚体に、まるで団扇のような尾びれ。一目見ただけで、自分の自己記録のブラウンなんて可愛いものだったと思わせるヌシの出現に二人とも大興奮。

そこまで駆け寄り、腰まで水に浸かる勢いで入水しネットを構える。
今シーズン信じられらないぐらい多くの魚のランディングに携わり、すでに魂の道具の仲間入りを果たした大坪ネット製作所オリジナルのネットだ。
普段は堅実で臆病とも言える性格の持ち主であるマンディ関口にしては強引なファイトをする。しかし、まるで歌舞伎役者のごとくへの字を描く魚の口が見えた刹那、ルアーは敢無く宙を舞った…

ただ呆然と立ち尽くすマンディ関口。普通ならかける言葉が見つからないみたいな流れなのだが、「なんであんな強引やねん!いつも通りドラグゆるゆるにしとけや!」と、小学生の頃から一緒に竿を振っている相方(僕ねw)は傷ついた釣り人に全く容赦がない。逃がした魚だからこそ一生に1匹になったこのモンスターブラウンは、クロマティという通り名を与えられ、今も中禅寺湖を悠々と泳いでいる。むしろ呪いとも呼んでもいいこの出来事により、関口は一層この湖に通う決意を固めてしまった。

 

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その後も粘るも、もちろんあんなドラマ魚がそうそう喰ってくるわけがない。そんな時は気分転換に限る。関口の淹れた紅茶を飲みながら、70cmぐらいはあったのだろうか?あーだこーだとクロマティの反省会。ブラウンのライズも止まり、日差しもまぶしくなってくる。少し風も吹き始めた。ティーブレイクを終え、ポイントも休まったところで改めてレイクトラウトを狙う。いつの間にかミノーをセットしたグリッサンド77から、M.T.レイクス23gとグリッサンド90の本命タックルに持ち替える。去年もそうだし今年もそう。その日のトロフィーフィッシュが出るのはいつも、ブラウンや小ぶりのレイクのアタリがピタリと止んだ時だ。

 

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1度キャストをしたら60カウント近くルアーを沈める場所なので、随分と時間が経ったように感じるけど、お互い無言でキャストを再開してから3キャスト目か4キャスト目だったと思う。2・2・5の2セット目(※「M.T.レイクスを使って湖でトラウトをザクザク釣る方法」参照)、コンッと、ルアーが着底したかのようなごく小さなアタリだった。しかしまだボトムまで届くようなタイミングではないので、それを確かめるようにロッドをあおり、どこか半信半疑なフッキングをする。同時にジッ…ジッ…と、鈍い一定のペースでドラグが鳴り、ロッドはしっかりと弧を描く。まだまだ経験の浅い僕でも分かることは、この引き味が過去にここで釣れたブラウンでもレインボーでもないことと、さっきまで死人のような顔をした関口が、「去年のやつより明らかにロッド曲がってるっしょ!!」と言いながら生気を取り戻しキラキラしいることだった。

間違いなくレイクだ。しかもほぼ狙った通りの時合いと、喰ってほしいキャスト直後のタイミングで出た。先人たちの話でも大物は大抵1セット目で釣れている。去年の初レイクもそうだった。

「俺とお前の間柄だから恨みっこなし。遠慮なしで獲らせてもらいますよ(笑)」

先ほど大物を逃した相棒の傷口をさらにえぐりながら、ただゆっくりと左方向へとスライドするような引きをする魚とのスローファイトが始まった。ネットを持った関口が歩き出し、自分もゆっくりと後を追った。

 

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「超デケェ!」


この日2度目となるマンディ関口の叫び声が湖面に響いた。

続く

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