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沖堤三角理論(3)


●キャスト編

例えばこんな話しがあったとする。

「30gのスピンテールを遠投してボトムをスローに引いた」

その辺でよく耳にするような話しだ。

しかし、この話しは矛盾していることがお分かりだろうか。

特殊な条件を除きと付け加えておいた方がいいかな。

先に結論を言うと、

沖目のボトムはスローで引くことができないからだ。




図1は、アングラーが高さ10mの堤防の上から60m沖までルアーを投げたときの図である。



図1:
ecjpksrg96ixouigpa9e_480_195-bf51b9be.jpg



アングラーとアングラー真下のボトム、そしてルアーをそれぞれ直線で結ぶと直角三角形ができる。

三平方の定理から、

    √(10*10+60*60)=√3700=60.83m

ラインの長さは60.83mであることがわかる。




次にルアー部分を拡大する。

図2は、ルアーをボトムと水平に引いた時にかかるベクトルを追加したものになる。



図2:
bwt9okucjjaf96gohcja_480_289-f86a1ef6.jpg



カーブフォールの振り子運動を無視し、スペック上の沈降速度を秒間1mとした場合、

水の摩擦やラインが風から受ける逆方向の抵抗力-0.5m/s 程度を失うことを想定し、実質沈降速度Fx=0.5(m/s)とする。

0.5mは堤防の高さ10mの1/20に相当するため、

図1及び図2の三角形は辺の比率が同じであることから、ルアーの移動速度F=60/20=3(m/s)

巻き取り速度Fy=60.83/20=3.04(m/s)となる。

リールの巻き取り長さはハイギアリールでも1m程度。

つまり60m沖では、ハイギアリールでも秒間3回転以上のかなり早い速度でラインを巻き取らない限りルアーを平行に引くことはできない。

ただ、これは地形がフラットな場合であり、沖堤防で考えるとこれはそのまま当てはまらない。




沖堤防(例えばK沖)の場合はこうなる。



図3:
pm5y7w3evvp4825epaba_480_238-e67080b4.jpg



60m沖の水深が倍の深さの20mとした場合、

ラインの長さは、√(20*20+60*60)=√4000=63.245m

フォールのベクトルがボトムと重なる地点に出来る三角形は全体の1/40(=20/0.5)になることから、

Fy=63.245/40=1.581(m/s)

ルアーをボトムと平行に引くには、巻き取り長さ1mのリールで秒間1.5回転のリトリーブが必要ということになる。

沖目は意外に早い速度の巻き取りが必要と感じられたのではないだろうか。




また、これらの計算から一定の法則が見えてくる。

例えばルアーが浮き上がるであろうポイントが予測できる。

これが結構、実戦に役立つ。

まず目安にしたいのは、θ=30℃ になる場所だ。

θ=30℃のときの三角形の辺の比率は、1:2:√3 

この比率からその時の必要な距離を求めると、

例えば、高さ10mの場所では距離=10√3=17.32m付近、高さ20mの場所では距離=20√3=34.64m付近だ。

これらの場所に達した時もルアーのフォール速度を 0.5(m/s)とすれば、

ルアーをボトムと平行に引くために必要な巻き取り長さFyは、

sin30=1/2=0.5/Fy

Fy=1(m/s)

従って、秒間1回転(=1m)のリトリーブでルアーを通過させた場合、

・高さ10mの場合:距離17.32m
・高さ20mの場合:距離34.64m

この距離を過ぎた地点からルアーが浮き上がり始めることがわかる。




更に、同じレンジをキープした場合の距離とリトリーブ速度の関係はこうなる。

<高さ10m>
・距離60m:3.04(m/s)
・距離30m:1.58(m/s)

<高さ20m>
・距離60m:1.58(m/s)
・距離30m:0.9(m/s)

多少の誤差はあるものの、ルアーの距離が1/2になればリトリーブ速度も約1/2まで下げる必要があることがわかる。




これはメソッド云々とは無関係であり、アングラーがルアーを正確にコントロールするための一つの目安に過ぎない。

同じレンジを引き続ける釣りも実際には有り得ないことだし、

トレースコースを変化させたり、或いは起伏変化や潮流など自然への対応も、魚を釣るためには必要なことは何ら変わりない。

しかし、自分はこんなことを考えるようになってからは、ここでロッドを下げればもっと早く巻けるだとか、リトリーブの細かい調整だけでレンジを探れるようになったりだとか、立ち回りの幅を思いのほか広げることができた。

また、釣りが煩雑にならないというより、煩雑にできないと言った方が正しいかもしれないかな。

その点も良かったと思う。



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