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▼ 春告魚

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ザク、ザク、ザク。
ザザ。

積雪を蹴る時に似た、妙に踏み心地が良い石を踏む音。
少し沖で流れに揺れる海草の際に潜む魚を狙って、はぁはぁと長い距離を歩いた白い息を吐きながら瀬に向かう。
竿抜けのポイントを探しがちになるが、以外とベイトに左右されたりする春の魚。
ピチャッっと居場所を教えるくせに、口を使わないあざとさ。
僕はだませないよ？
鱸のバイトとは違って、膨らんだラインが止まり、竿先にグググっときたときは竿に乗るが、カツっに似たショートバイトには、合わせようが、送り込もうが乗らない。
「あーチクチョー。」
っと思わず言葉に出る感情が次の1投を期待させ、同じトレースに食ってこないこのIQの高さにゲーム性を感じる。
朝日を迎えて自ら作った道中を帰りながら、鴬の鳴く声を聞き、今年の冬のチャレンジ失敗の合図を思った。
悔しい。今年建てた仮説はまた、全部外れた。
情熱は燃えるばかり。

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