熱意 この言葉を胸に仲間と挑む


いつも通りの静かな朝焼けとは裏腹に、

太く厚い潮流が目の前を流れている。




期待せずにはいられない気持ちと、
絶対に捕ってやるという熱意が、ロッドの風を切る音と、放出されるラインの放物線と共に走り拡がる。



各自がそれぞれ考え抜いた最強タックルで、黙々とキャストを繰返していると……

「来たっ！」

ヨシ君のロッドがブチ曲がり、ガンガン突っ込む平政に身体が引っ張っられる！

瀬際を平行に突っ込む平政を、考え抜いた最強ベイトタックルで、強引にリフト！

そして…ブチ抜く！

姿を現した平政は、太く美しい！

見とれている場合ではなくなった！

フックが外れてしまったのだ！

太くデカイ平政が、もんどり打って暴れ捲る。

傾斜のついた磯を滑り落ちる平政を、ロッドを投げて抑え込むヨシ君！

しかし…残念ながら平政は海に…

天を仰ぐヨシ君


仲間三人は、「次だ！次、次！」


グッとこらえる口元に、皆が熱意を受けて拡がる。


四人の描く放物線と、海面を絡み付くルアー達。

一向に変わらない海況を打破すべく動いたのは…




山猿ことやまちゃん！

「兄貴がいつも狙っているラインを、角度を変えて、狙ってくるわ！」

と告げて、海に飛びこみ渡礁する

無事渡礁したのを確認して再開


しばらく時間が過ぎた頃に、僕のダイビングペンシルに、小さな水飛沫！


Foojin'QUATTROBlACKのティップにゴンゴンと伝わったのだが……

ターゲットじゃあ無かったんだろう…と自分に言い聞かせ奥歯を噛む。


投げ続けて背中の筋肉が悲鳴を挙げだしそうな時、遠くで…「来たっ！来た！」

渡礁していたやまちゃんのロッドがブチ曲がり引きづり込まれている！

瀬際の攻防を耐えて応戦するやまちゃんに！

様子を見ている僕達三人が「頑張れ！負けんなよ！」っと声をかけるも、それどころでは無い様子！

磯の形状から、ランディングがままならないようだ！

すると、ヨシ君、イナ君、が同時にギャフを持ち！「助けに行かないと」

気持ちの良い言葉と行動を受け、
「ありがとう 俺が行ってくるな！」



自作のギャフだけ持ち、ガチャガチャの磯を駆ける

やまちゃんのロッドがしの字に曲がっているのを確認して海に飛び込む！

うねりが揚がるのを利用して瀬際をがっちり掴み渡礁！

全身から海水がどぼどぼと滴り落ちる俺見るやまちゃんは、瀬際ギリギリでランディングを試みているが、ギャフが入らない様子だ！

「兄貴～～～～！」っと、助けに来た俺を見るやまちゃんの表情が緩む、しかし…

俺の手作りギャフを見た瞬間！

表情がソレデダイジョウブ？っと強張る！

瀬際に頭を向けた平政のエラ下を、一撃で仕留めて瀬上に引きづり挙げると……

「兄貴～～～～！」っと満面の笑み！

本当に解りやすい奴だ(笑)！




ヨシ君、イナ君も駆けつけ！皆が祝福

「やったな！やまちゃん！」

悔しい思いをしたヨシ君も、抱き合いがっちり握手を交わして祝福している


立派な平政




熱意の報われた笑顔

もう一人、別の磯に入っている仲間の卓ちゃんに連絡すると…「マジっすか！やったっすね！ あぁ～やっぱそっちやったか…」っと釣り人らしい祝福と後悔

「やまちゃんに、めっちゃおめでとうございますと伝えてください！」と、電話越しから伝わる熱意

この日思い感じた事がある

そりゃ釣り人、アングラーは、魚を釣りたいに決まっている

誰もが大きいサイズと数を釣りたいに決まっている

でも、エキスパートって釣りが上手い人じゃあなくて、己の信念と熱意を持ち続け、仲間の釣果を心から祝福してあげられる人がエキスパートなんだなって……

この日共にしたヨシ君、イナ君、卓ちゃん

そして沢先生

仲間皆エキスパートと呼べる仲間達なんだなって思った。


熱意は走り拡がり 伝わる





これからも追いかける



やまちゃん！

おめでとう！&目標はまだまだだよ