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久保田剛之
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▼ ヒラメの視力とシーバスの視力
- ジャンル:日記/一般
質問がきました。
以前僕が書いた新聞記事について質問がきました。
********以下メール*********
いつもブログを楽しみに拝見させていただいてます。新聞も毎回欠かさず読み勉強させて頂いてます。
突然で大変申し訳ないのですが質問をさせてください。
久保田さんの新聞記事ではヒラメは目が良いと書いてありましたが、先日ネットで見たムービーで他のメーカーの方はヒラメはシーバスに比べて目が悪いので派手な色のルアーを使えと言っていました。
釣り方のメソッド的にはどちらも釣れるのでしょうがヒラメの視力が良いのか悪いのか気になります。
*********************************
ご質問ありがとうございます。
正直な話、僕も自ら実験室で実験を行った上での発言ではありません。
以下は僕が文献などを読み漁り、その他の要素も考慮した上での話です。
【ヒラメとシーバスどちらが視力が良いのか?】
この手の話をする場合に釣りにおける話と生物学的な話、双方から考える必要があります。
まず生物学的な話からすると、魚の視力を左右する要素としては魚の眼の中の視細胞の数や密度が挙げられます。
よく眼の大きい魚ほど視細胞の数も多いので視力が発達しているなんて言いますが半分あってて半分間違ってる。魚だけで言えば目の大きい魚ってのは単純に視細胞の数も多いでしょって話なんだけど必ずしも全ての魚でそれが当てはまる訳ではありません。
生物のジャンルが違うから参考にはならないかもだけど、鳥類、特に猛禽類なんかは人間に比べ眼は小さいのに視神経は人の7倍以上あったりする。
なので単純に眼が大きい=眼が良いとは必ずしも言えないけど、眼が大きい魚の方が視力が良いという傾向はあるといってもいいかもしれない。
ってことはシーバスに比べて眼の小さいヒラメは視力は悪い?
いやいやまだ早い。
魚の視力は身体の他の器官との関連も多いにあります。
聴覚や嗅覚などその魚ごとにどの器官が発達しているのかによっても傾向があるように感じます。
浮き袋が未発達、もしくはなかったりする魚は水中の振動を浮き袋で増幅し感知することが出来ないので、その分視力が発達していたり、嗅覚が発達していたりします。
(↑言い切れるもんじゃないけどね)
カツオとブリなんかを比較すると眼の大きさはカツオの方が同じかやや大きい?といった具合。
しかしブリの視力が0.1に対してカツオの視力は0.4~0.5とか。
ブリも浮き袋が発達しているとは言い難いけど、より未発達なカツオの方が視力は全然が良い。
っていうか海の魚って0.1~0.15位の視力ってのがポピュラーな数値。カツオはかなり眼が良いお魚といえます。
スズキもヒラメもこれほど抜群に眼が良いわけではないけどスズキ(マル)が0.11とかに対してヒラメが0.14とか。
(文献によって若干前後していますし、すまん!数字はうろ覚え(笑)
スズキが色の識別に弱い(2原色)に対してヒラメは色の識別能力に対しても優れています。
とここまで生物学?的に言うとヒラメの方が眼の良い魚と言えます。
で、ここからは釣り人目線のお話。
まずは色の識別能力の話に触れると2原色の世界だろうが3原色の世界だろうが色は識別しています。
『人間と比べて』というだけでスズキが色を識別できないという話ではない。
人間だってモノクロの映画を見ても色の違いはわかるでしょ?いきなり世の中がモノクロの世界になったら最初は識別つきにくいのだろうけど、24時間ずっとそんな感じの世界だったら色の違いは分かるでしょ。
(この辺の話をすると長くなるので今回はここで離脱)
もうひとつ考えなくてはいけないのが餌を食う時、襲う時にどれだけ視覚を使うのか?ということ。
スズキの場合、浮き袋も発達しているので側線の機能も発達している、嗅覚だってある。
以前このログでも新聞でも書いたけど、スズキは
【獲物に気付く】→【追う】→【見る】→【捕食】って感じ。
もちろん全ての状況下でこのようなメカニズムとは言えないだろうけど、デイのボートシーバスで捕食の瞬間丸見え!なんていうのを100回くらい経験すればこのことには嫌でも気付く。
一方ヒラメは浮き袋がないので振動や水の動きに対する感知能力に長けていない。
【獲物を見つける(見る)】→【追う】→【捕食】
って流れが推測できる。
もちろん長けていないというだけで全く側線を使っていないという訳ではないでしょうけどね。
(あ、一応書いておくと餌を感知する為の感知可能距離と身の危険を回避するための感知可能距離ってのは当然違う)
さて話を戻すとシーバスとヒラメどちらが眼が良いかといえば人間的に言えばヒラメの方が眼が良いと言え、より視力に依存して獲物を襲うと言える。
とここまで見ると『久保田は正しくてムービーの人は間違っている』と思ってしまうかもしれないけど、そんなに単純な話ではないんだ。
どんな海で釣りをするかによっても釣り人の受ける印象というのは大きく変わってくる。
【ヒラメが視力に頼って捕食する】これに関してはご理解いただけたと思う。
ではこれが遠浅で沖から白波が立つサーフだったら?
白波、白泡でヒラメの視界は奪われてしまう。当然ベイトフィッシュに気付かれにくいので白波の中にも進入してくるのだけど、当のヒラメ本人も視界を奪われちゃう。
白波の中に突入している【視力に頼って捕食するヒラメ】と【側線も発達しているシーバス】を比べると・・・・
シーバスより視力が悪い(視界が利かない)ヒラメ
とも言える訳。
遠浅サーフをホームにする釣り人の感性から言うと完全に間違ったことを言っている訳でもないのです。
まあ白波や白泡の中でもヒラメもベイトを見つけるけどね。
底荒れしてたり濁りが入っている時ってサーフでヒラメ釣り難くくなりますよね。ヒラメが餌を探しにくくて岸から離れるのか?居るけどルアーを見つけにくくて食ってこないのか?
どちらかは分からないけどこれもヒラメの視力に関わるものなんだろうなと僕は思っています。
(ちなみにヒラメは夜の闇の中でも視界は利くといわれているけど、濁りは砂や土の粒子が数多く舞っている状態だから視界が利かなくなる。)
ご理解いただけましたか?
結論から言うとヒラメは魚の中では眼が良い。しかし状況によってはシーバスの方が探査能力に長ける場合もある。
ってのが僕なりの回答。
どうでしょう?ちょっと面白い話でしょ?
さて僕達釣り人がいかにヒラメを釣るかを考えた場合、ヒラメはより視覚に頼って餌を追うのだからルアーのカラーには特に拘りたいところ。
彼らは底から見上げる形で餌を探し食いつくタイミングを伺っている。
ショアからの釣りで、海の底から上を見上げると空の色が映る。晴れた日は淡いブルー、曇りの日は鉛色、マズメ時の朝焼け夕焼けが広がる時間帯ならやや赤みのある色だったりする。
その背景色に対して目立たせてヒラメに見つけて貰うのか?馴染ませてヒラメの警戒心を解くのか?
この辺りを考えるのが釣りの楽しいところ。結局どのように見えているのか、感知しているのかは魚に聞いてみなくちゃ分からない。
それでも『きっとこうなんじゃないかな?』『いや、こうも考えられる』なんて試行錯誤して釣れた1匹は喜びもひとしおのハズ(^^)
最後に余談だけど船釣りやる人は聞いたことあると思うけど、『マダイは眼が良い』という話。だからハリスを赤くして見えにくくしたりハリスを細くして・・・なんていう話を聞いたことはありませんか?
でも視力でいうと0.16とか。他の魚と比べて0.0いくつしか違わない。カツオほど眼が良い訳ではない。
でもその0.0いくつを釣り人は『この魚は目が良いぞ!』って感じてるんだから凄いですよね。もちろん仕掛け付きの餌を食うには視力の他に警戒心とか攻撃心とか貪欲さとか、その魚の性格ってものも関わってくるんだけど、昔の人が言うことがちゃんと当たってるってのが釣り人の探究心の凄いとこだな~と思ったりします。
んん~~この内容なら新聞でも良かったかもね(^^;)
ブログでは久しぶりにマジメな事を書いた気がします(笑)
以前僕が書いた新聞記事について質問がきました。
********以下メール*********
いつもブログを楽しみに拝見させていただいてます。新聞も毎回欠かさず読み勉強させて頂いてます。
突然で大変申し訳ないのですが質問をさせてください。
久保田さんの新聞記事ではヒラメは目が良いと書いてありましたが、先日ネットで見たムービーで他のメーカーの方はヒラメはシーバスに比べて目が悪いので派手な色のルアーを使えと言っていました。
釣り方のメソッド的にはどちらも釣れるのでしょうがヒラメの視力が良いのか悪いのか気になります。
*********************************
ご質問ありがとうございます。
正直な話、僕も自ら実験室で実験を行った上での発言ではありません。
以下は僕が文献などを読み漁り、その他の要素も考慮した上での話です。
【ヒラメとシーバスどちらが視力が良いのか?】
この手の話をする場合に釣りにおける話と生物学的な話、双方から考える必要があります。
まず生物学的な話からすると、魚の視力を左右する要素としては魚の眼の中の視細胞の数や密度が挙げられます。
よく眼の大きい魚ほど視細胞の数も多いので視力が発達しているなんて言いますが半分あってて半分間違ってる。魚だけで言えば目の大きい魚ってのは単純に視細胞の数も多いでしょって話なんだけど必ずしも全ての魚でそれが当てはまる訳ではありません。
生物のジャンルが違うから参考にはならないかもだけど、鳥類、特に猛禽類なんかは人間に比べ眼は小さいのに視神経は人の7倍以上あったりする。
なので単純に眼が大きい=眼が良いとは必ずしも言えないけど、眼が大きい魚の方が視力が良いという傾向はあるといってもいいかもしれない。
ってことはシーバスに比べて眼の小さいヒラメは視力は悪い?
いやいやまだ早い。
魚の視力は身体の他の器官との関連も多いにあります。
聴覚や嗅覚などその魚ごとにどの器官が発達しているのかによっても傾向があるように感じます。
浮き袋が未発達、もしくはなかったりする魚は水中の振動を浮き袋で増幅し感知することが出来ないので、その分視力が発達していたり、嗅覚が発達していたりします。
(↑言い切れるもんじゃないけどね)
カツオとブリなんかを比較すると眼の大きさはカツオの方が同じかやや大きい?といった具合。
しかしブリの視力が0.1に対してカツオの視力は0.4~0.5とか。
ブリも浮き袋が発達しているとは言い難いけど、より未発達なカツオの方が視力は全然が良い。
っていうか海の魚って0.1~0.15位の視力ってのがポピュラーな数値。カツオはかなり眼が良いお魚といえます。
スズキもヒラメもこれほど抜群に眼が良いわけではないけどスズキ(マル)が0.11とかに対してヒラメが0.14とか。
(文献によって若干前後していますし、すまん!数字はうろ覚え(笑)
スズキが色の識別に弱い(2原色)に対してヒラメは色の識別能力に対しても優れています。
とここまで生物学?的に言うとヒラメの方が眼の良い魚と言えます。
で、ここからは釣り人目線のお話。
まずは色の識別能力の話に触れると2原色の世界だろうが3原色の世界だろうが色は識別しています。
『人間と比べて』というだけでスズキが色を識別できないという話ではない。
人間だってモノクロの映画を見ても色の違いはわかるでしょ?いきなり世の中がモノクロの世界になったら最初は識別つきにくいのだろうけど、24時間ずっとそんな感じの世界だったら色の違いは分かるでしょ。
(この辺の話をすると長くなるので今回はここで離脱)
もうひとつ考えなくてはいけないのが餌を食う時、襲う時にどれだけ視覚を使うのか?ということ。
スズキの場合、浮き袋も発達しているので側線の機能も発達している、嗅覚だってある。
以前このログでも新聞でも書いたけど、スズキは
【獲物に気付く】→【追う】→【見る】→【捕食】って感じ。
もちろん全ての状況下でこのようなメカニズムとは言えないだろうけど、デイのボートシーバスで捕食の瞬間丸見え!なんていうのを100回くらい経験すればこのことには嫌でも気付く。
一方ヒラメは浮き袋がないので振動や水の動きに対する感知能力に長けていない。
【獲物を見つける(見る)】→【追う】→【捕食】
って流れが推測できる。
もちろん長けていないというだけで全く側線を使っていないという訳ではないでしょうけどね。
(あ、一応書いておくと餌を感知する為の感知可能距離と身の危険を回避するための感知可能距離ってのは当然違う)
さて話を戻すとシーバスとヒラメどちらが眼が良いかといえば人間的に言えばヒラメの方が眼が良いと言え、より視力に依存して獲物を襲うと言える。
とここまで見ると『久保田は正しくてムービーの人は間違っている』と思ってしまうかもしれないけど、そんなに単純な話ではないんだ。
どんな海で釣りをするかによっても釣り人の受ける印象というのは大きく変わってくる。
【ヒラメが視力に頼って捕食する】これに関してはご理解いただけたと思う。
ではこれが遠浅で沖から白波が立つサーフだったら?
白波、白泡でヒラメの視界は奪われてしまう。当然ベイトフィッシュに気付かれにくいので白波の中にも進入してくるのだけど、当のヒラメ本人も視界を奪われちゃう。
白波の中に突入している【視力に頼って捕食するヒラメ】と【側線も発達しているシーバス】を比べると・・・・
シーバスより視力が悪い(視界が利かない)ヒラメ
とも言える訳。
遠浅サーフをホームにする釣り人の感性から言うと完全に間違ったことを言っている訳でもないのです。
まあ白波や白泡の中でもヒラメもベイトを見つけるけどね。
底荒れしてたり濁りが入っている時ってサーフでヒラメ釣り難くくなりますよね。ヒラメが餌を探しにくくて岸から離れるのか?居るけどルアーを見つけにくくて食ってこないのか?
どちらかは分からないけどこれもヒラメの視力に関わるものなんだろうなと僕は思っています。
(ちなみにヒラメは夜の闇の中でも視界は利くといわれているけど、濁りは砂や土の粒子が数多く舞っている状態だから視界が利かなくなる。)
ご理解いただけましたか?
結論から言うとヒラメは魚の中では眼が良い。しかし状況によってはシーバスの方が探査能力に長ける場合もある。
ってのが僕なりの回答。
どうでしょう?ちょっと面白い話でしょ?
さて僕達釣り人がいかにヒラメを釣るかを考えた場合、ヒラメはより視覚に頼って餌を追うのだからルアーのカラーには特に拘りたいところ。
彼らは底から見上げる形で餌を探し食いつくタイミングを伺っている。
ショアからの釣りで、海の底から上を見上げると空の色が映る。晴れた日は淡いブルー、曇りの日は鉛色、マズメ時の朝焼け夕焼けが広がる時間帯ならやや赤みのある色だったりする。
その背景色に対して目立たせてヒラメに見つけて貰うのか?馴染ませてヒラメの警戒心を解くのか?
この辺りを考えるのが釣りの楽しいところ。結局どのように見えているのか、感知しているのかは魚に聞いてみなくちゃ分からない。
それでも『きっとこうなんじゃないかな?』『いや、こうも考えられる』なんて試行錯誤して釣れた1匹は喜びもひとしおのハズ(^^)
最後に余談だけど船釣りやる人は聞いたことあると思うけど、『マダイは眼が良い』という話。だからハリスを赤くして見えにくくしたりハリスを細くして・・・なんていう話を聞いたことはありませんか?
でも視力でいうと0.16とか。他の魚と比べて0.0いくつしか違わない。カツオほど眼が良い訳ではない。
でもその0.0いくつを釣り人は『この魚は目が良いぞ!』って感じてるんだから凄いですよね。もちろん仕掛け付きの餌を食うには視力の他に警戒心とか攻撃心とか貪欲さとか、その魚の性格ってものも関わってくるんだけど、昔の人が言うことがちゃんと当たってるってのが釣り人の探究心の凄いとこだな~と思ったりします。
んん~~この内容なら新聞でも良かったかもね(^^;)
ブログでは久しぶりにマジメな事を書いた気がします(笑)
- 2014年7月22日
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