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▼ 知れば知るほど深く刺さる?~フックについての基礎知識2~
- ジャンル:日記/一般
- (コラム)
普段当たり前の様に使っているフック。
釣りをするうえで直接サカナとコンタクトするある意味一番重要なアイテムです。
いろいろ調べてゆくウチに「物理の授業をしっかり受けときゃ良かった…」と後悔しきりですが、ともかくも前回に引き続いてトレブルフックについての考察を続けてゆきたいと思います。
前回の記事はこちら。
【刺すという事】
例えば、裁縫針は差し込む対象に対して垂直に針先を押し当て、真っ直ぐ押し込む事で最大の仕事効率を得る事が出来ます。
刺す対象が硬ければ硬いほどこの原則に従わないと、刺す事はおろか最悪針が折れてしまいます。
人のエネルギー入力として、「押す」か「引く」かの違いはありますがトレブルフックも理論上は同じで、刺したい対象に対して垂直方向へ力を加えることによって貫通させる事が出来ます。
【ところが現実は甘くない】
理想はそうだとしても、現実的には必ずしも理想通りいく事は中々ありません。
その理由はターゲットとなる魚が常に動いている為とも言えますが、トレブルフックそのモノの形状が原因となっているとも考えられます。
針先が鋭くとも刺さらない構造、例えば、華道で使う「剣山(けんざん)」は鋭い針が多数束になった物ですが、相当な力を加えない限り、掌を押し当てても(痛いけど)貫通はしません。
これは針先が多くある事によって貫通しようとする力が分散され効率よく刺さらない事が原因です。
トレブルフックも同じように針先が多数あることによって、ルアーのラインアイから伝わる力が分散してしまう事により、効率よく"刺す力"が伝わにくいのです。
そもそもルアーにトレブルフックが多く用いられる理由とは、『ルアーに反応した魚が(口の中であろうとなかろうと)たくさんある針のどれかに掛かれば良い』という確率論的な意味合いが強く、一本目の針が掛かったあとに絡め取るように他の針が刺さって魚を捕る種類のシステムだといえます。
逆にいえば最初の一本の掛かり方で、キャッチまでの苦楽に大きな差が生まれるとも言えますね。
【かかりよりも保持しやすいフック】
ではベンドやポイントの種類がフッキングにどう影響するのか考察してみましょ。
特にシャンクが短いスプロートベンドに多くみられる傾向として、3本のうち1本が魚体の何処かしかにコンタクトした場合に、以下の問題が起きやすいです。
シャンクは③
シャンクは③
基本的に、トレブルフックでは、画像のように針先を支点として刺さろうとする方向と、力の加わる方向にズレ(ギャップ)が生じます。
この時に、人の引く力と、針先が作用する、エネルギーのズレる角度が大きいほど、針先を貫通させようとする力(アワセ)にロスが発生して フッキングが不完全になりやすくなります。
この点において、シャンクが短いスプロートベンドは、ズレが大きくなりやすい、比較として刺さりにくい構造と言えます。
その半面、いちど貫通してしまえばそのベンド(フトコロ)の深さからなかなかバレる事の少ないフック である事も事実です。
つまりスプロートベンドタイプのフックは形状的に"刺さり"よりも、掛かった魚を"保持"する目的に特化したフックであると言えます。
なお、同じスプロートベンドでも「とにかく魚に触れたら刺さる」ようにスロートをギリギリまでシャンクと並行にしてフックポイントを外側に露出させるタイプの物と、スロートからフックポイントをやや内向させる事でギャップを小さくし、力の伝達効率を向上させたタイプとに大別されます。
【保持よりもかかりやすいフック】
逆にラウンドベンドは、下の画像を見て気づくようにギャップの角度が小さい事が判るかと思います。
赤い線が青い線に対して傾くほどズレが大きくなる、理想は平行
つまり★の角度が大きい程、エネルギーは伝わりやすいと言える。
赤い線が青い線に対して傾くほどズレが大きくなる、理想は平行
つまり★の角度が大きい程、エネルギーは伝わりやすいと言える。
この図のように、ラウンドベントの形状は、エネルギーのズレを小さくする事で、効率よく力の伝達を針先に伝え貫通力が増す 結果となり、より刺す事に特化したフック形状であるといえます。
しかしながら掛かった魚を保持する能力がスプロートベンドに比べやや劣るという事と、フック同士やラインに絡みやすくなりストレスを感じる事が多くなるというフッキング以前のデメリットを主張されるアングラーもいます。
今回は、形状から見る刺さりやすさ、2つの形状のメリットデメリットを確認しました。
次回はカーブポイント(ネムリ針)のトレブルフックについて考察してみます。
最期にフッキングを完全に近い状態にする解説動画をご紹介します。
文 ナカヤマ
編 コウノス
- 2017年11月28日
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