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再び遡上してくる鱸たちに思いを馳せる

  • ジャンル:日記/一般

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「この川で90cm超を獲る」
ついにその夢を叶えることはできなかった。


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「川で90」

すべてをこの川に賭けた今期。

終わってみると、

あと一歩のところまで肉薄できた感覚がある一方、

手が届くはずもない高尚な幻の追駆に終始した感覚もある。

自分には成し遂げることができなかった。





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通い慣れたその場所へ、久しぶりにハンドルを切った。

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4月から拠点を東京へ移すことになる自分にとって、

以後このノルマを達成できる見込みはゼロに等しい。(と思っている)

未練がないと言えば嘘になる。

色んなことを納得するために、

正直、

もうワンシーズンだけ欲しい。





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やがて雪下に沈む大地。時の流れ、自然の移ろいを拒むことはできない。

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川を下っていった鱸たちはやがて産卵の季節を迎える。

外洋の深場で産卵する鱸たちは、

こと新潟のような寒冷地の場合、

長期間その場所にとどまると言われている。

次に鱸がこの川へ遡上してくるのは5月、

本格的に釣れ始めるのが6月に入ってからになるかもしれない。





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色々な表情を見せる川。短い間だったが、釣り込んだ。自分はこの川が好きだ。

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ある調査は証明している。

川を下っていった鱸たちは翌年、

棲み慣れたその川へ再び帰還する。

(JGFA Tag&Release program 秋田県・某河川の上流で放流された鱸が352日後、同じポイントで捕獲された)





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今年も周囲の田畑には白鳥が飛来する季節になった。警戒されぬよう、遠くから撮影する。

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釣りは自然の中で行われる行為だ。

自然という人知が及ばない領域にある以上、

“ ヒトが魚に口を使わせた ”なんていう能動的現象は無に等しい。

むしろ“ 魚が口を使ってくれた ”という受動的かつ偶発的要因によって事象が完結する割合の方が圧倒的に多い。

だから釣りにパターンなんて存在しない。

釣りに再現性と効率を求めることは極めて困難だ。



そう思い込んでいた。

少なくとも、

今シーズンの途中に起きた、



“ 不可解な現象に直面するまでは ”





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自分が川のポテンシャルをどれだけ引き出せたかはわからない。ただ、ひとつ確信したことがある。
「フィールドには、無限の可能性があった」

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短期間ではあったが、

とあるピンでランカーサイズばかりが釣れた。

ルアーがその“スポット”に差し掛かるたびにバイトがある。

何度掛け損ねようと、

何匹バラそうとも、

毎キャストバイトが得られる。

終わってみれば、

このスポットでは70cm以下が釣れずに終わる。

やがて浮かび上がる“ 広さタタミ一畳ほどのピン ”。

仮説が立つ。

「当時あのピンには猛烈な数のランカーの群れが“ なっていた ”」





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奇跡的に大型の鱸のみで構成された巨大な群れに出くわした。

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そしてもっとも大きい鱸を釣った翌週から、

鱸たちは忽然とそのピンから姿を消す。





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二週間ほどで80~87cmを数多く釣った。80cm以下だとしても極めて80cmに近いサイズしかいない。獲れなかった魚も全てランカークラスの大きさだった。

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「ランカーが抜けた後、アベレージサイズの群れが入るに違いない…」

馬鹿のひとつ覚えのように通いつめた。

しかしそのピンではその後、

セイゴサイズの姿すら見ずにシーズンを終える。





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大型鱸の群れ。自分をこのピンへ導いたものは果たして何だったのか。

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大型の鱸は同クラスの鱸同士でのみ群れを成し、

セイゴクラスにはない、

「独自の行動パターン」

を持っていた。





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決まって大型の鱸が着く。大型鱸特有の習性がそうさせたのか。

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後にわかった事だが、

その場所の水中には、

驚くべきことに、

ちょうど広さタタミ一畳分ほどの




“ あるものが存在していた ”





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どれだけ荒そうがバイトが途切れない。そのギミックを知った時、これまでの概念が覆される。

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大型の鱸も、

普通の鱸も、

図鑑分類上は同一の生物である。

あくまで、

「鱸目・鱸科に属する鱸」に過ぎない。






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大型の鱸は“捕食効率の良さ”を求めていた。ピンの環境が物語っている。

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しかし、その性質、行動パターンを見ると、

実際には異なる素性を有する、



“ まったく別の生き物かもしれない ”




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釣りに再現性と効率を求めることは困難だ。しかし当時、自分が遭遇したあのピンには紛れもなくその再現性が
「あった」

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自分がこの川で90cm超を獲れる唯一のチャンス。

それは、

この特殊な行動パターンに再び“ 遭遇する ”ことだ。





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“大型鱸の群れ”。彼らがその後、どこに移動したかは不明だ。

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あと寸でのところまで90cm超の鱸を追い詰めた。

しかし、

結局獲れずにシーズンを終える。

獲れなかったのではない。

巨獣のプライドが狩られることを拒絶したかもしれない。

4月から拠点を東京に移すことになる自分にとって残された時間はもう、ない。

既にタイムアップだ。





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この川を“選んだ”鱸。お前はその目に何を見たか。

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しかし、

すべてを諦めたわけではない。

なぜならある調査が証明していたからである。



そう、



「彼らは必ずこの川へ帰ってくる」





この川の特徴。

鱸たちの性格。

今では色々なモノが見えている。



これは終わりではない。

自分と鱸との因縁の戦いが今まさにこの瞬間、



始まった気がした。









 

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