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ウエノ ハヤト

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“Decision” 最後のログ

  • ジャンル:日記/一般
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異国の地で凶悪な野生に勝負を挑む。

キャストを繰り返すたびに腕に蓄積される倦怠感。

100gをゆうに越えるルアーを投げていたからだろうか。

いや違う。

もしかしたら自分の防衛本能がキャストすることを拒絶したのかもしれない。

そう。

忘れてはならない。

ここは自分のスペックを遥かに凌駕する巨大魚が回遊する海だ。

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道具はそれに見合うものを持ち込んだはずだ。

カーペンターの40lbモデルに18000番のスピニングリール。

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ターゲットが潜むリーフエッジまでの距離は果てしなく遠い。

自分が目指すのは水深が急激に数十メートルまで落ち込むドロップオフである。

干潮でなければたどり着けない。

しかし到達する頃には上げ潮が効き出す。

だから短時間で勝負をつける必要がある。

その配慮を怠れば二度と陸地に戻ることはできない。

リーフエッジのその先に待つもの。

それを “夢” だと思っていたならば、今は断言できる。

「そんなもの幻想だろ。」

実際そこで待っていたものはあまたの釣人の夢を打ち砕いてきた冷酷な自然だ。

彼らにルアーをプレゼンテーションする勇気はあるか。

間違いなく、

その問に対する答えは「 No 」だ。

しかし、

不思議でならない。

この恐怖渦巻く海域には妙に自分を奮い立たせて止まない “魔力” があった。

何故かはよくわからない。

でもきっと本能的に、

“彼らを倒さずしては先へ進めない”

そう悟ったからだろう。

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2015年3月。

新潟に別れを告げる時がきた。

この地で過ごした6年間。

多くの人に育てられ、支えられて生きてきた。

まずはこの場を借りて謝意を表したい。

そして今思うこと。

“やっぱり自分はこの土地が好きだ”





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高校を卒業後、新潟大学へ進学。
この地で過ごした6年間を一生忘れることはないだろう。
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県内で生まれた自分は高校卒業後、

同じく県内の大学に進学した。

不思議と迷いはなかった。

この風土が好きだった。





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この土地で過ごした6年間。
色々なことがあった。
出発を目前にして、思い出が走馬灯の如く駆け巡る。
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中でも釣りの思い出は多い。

それまでバスフィッシング一本槍だった自分は、

この地に進学して以来、海釣りに出会う。

大学の目の前には大海原が広がっていた。





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2011年。この年が自分の海釣り元年だ。
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鱸釣り。

この釣りは自分の中で本当にセンセーショナルであった。

それまでバスフィッシングを続けてきた自分にとって、

正直、

魚を釣ることはさほど難しくない。

“魚を釣って足が震えることなんてもうないだろう”

そう思い込んでいた。





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その銀鱗はいつも神出鬼没に躍り出た。
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どんなことでも長く続けていればマンネリを感じるし、

平たく言えばそこには “慣れ” が生まれ、

いつも純粋無垢な感性の邪魔をする。

初めてブラックバスをルアーで釣ったときの感動、衝撃。

友達にその魚を見せようと、

何も考えずに自転車のカゴに放り込んだ。

ペダルを漕ぐ膝はガクガク震えていた。

その10年後。

鱸釣りには、

昔感じたことがある少年の頃の無垢な感動が、

まさしくそのまま、



「あった」





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初めて大きなブラックバスを釣った時、
誰かに見せたくて1km以上離れた親戚の家まで走って持っていったことがある。
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鱸釣りを始めて4年。

数百の鱸を釣った。

鱸という魚の生態を知るにはあまりに少なすぎる数だろう。

でもそれで良い。

自分は鱸を釣って飯を食う人間ではないのだし、

慣れてしまうことの方が自分には恐怖だ。





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1本の鱸を釣るために、色んな事を考え、色んな事を実行した。
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昨年4月。

大きな決断をする。

これまで自分を育ててくれた新潟という土地。

1年後に自分はその土地を離れることを決めた。





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一度しかない人生。
大きなことに挑んでみたくなった。
大きなものに全力を賭けてみたくなった。
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元々、

ゲーム機のコントローラーよりも虫あみを片手に外に飛び出すような子供だったかもしれない。

家の前には無数の田んぼと水路が広がる。

小学校から帰ると虫あみを持って魚を獲りに出かける。

夕方になると水路に筒を沈め、翌日引き上げに行く。

筒の中にはカニや魚が入っていた。

夏休みの自由研究では毎年、魚について調べた。





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全身全霊を賭ける価値があるもの。
そんなものには一生出会えないと思っていた。
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自然の中での遊び方を教わったのは祖父だ。

祖父が昔、食料を得るために釣りをしていた川。

数十年後の今、

その場所は今の自分の釣りのルーツとなった。

小学校から高校まではブラックバスに熱中した。

最初の1匹を釣るまでに1年かかった。

1匹1匹の釣れた状況をノートに記した。

池の場所、特徴を地図に書き込んだ。

空撮を片手に自転車で池を巡った。





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迷いはない。
自分という人生をかけて賭けて挑んでみたいモノに出会った。
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これまでの人生で何度か、

選択を迫られる場面があった。

しかし、

“昨年4月”

この時の選択ほど、大きな意味を持つものはない。

自分が二十数年間という人生から導き出した答え。

それが、

「釣り業界への就職」

だった。





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幸い、業界最王手の会社が自分を歓迎してくれた。
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両親は快く賛同してくれた。

一方で人の人生にとやかく言う人間もいた。

しかしこの人生を歩むのは自分だ。

もう迷うことはない。

「一生この業界で生きていくことを決めた」

これが自分に下した決断(Decision)である。





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「決心する前に完璧な見通しをつけようとする者なんて一生決心できないだろ」
= Henri Frederic Amiel(1821~1881)。
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今年3月5日。

自分は空港にいた。

今のうちに、

どうしても白黒はっきりさせておかなければならないことがある。





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持てる限りのルアー、ロッドをパッキングして現地へ向かった。
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その場所へは、

飛行機の乗り継ぎも含み、

移動で半日以上を要する。

まさに “異国の地” である。





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果たして自分たちの力でどれだけやれるのか。
手荒い野生に挑戦状を突きつけた。
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タックルは強度的に不安のないものを持ち込んだ。

フッキング動作の練習を何度もした。

ファイトのシミュレーションを怠らなかった。

ランディングする場所をいくつも想定した。

何を隠そう、

ここは世界最強のターゲットが泳ぐ海なのだ。





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引き潮で流されていくベイト。
ドロップオフにはそれらを狙ったGTやイソマグロが回遊してくる。
干潮時にリーフエッジに立つということ。それができなければ勝負は始まらない。
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今、

自分は大海原に向かって巨大なペンシルを放つ。

人は皆声高らかに夢を語るけど、

身骨砕いて挑み続けている人はどれほどいるんだろう。

自分は渾身の力でペンシルを潜らせ、偉大な自然に挑戦状を突きつける。

こんなことは上辺だけの挑戦に過ぎないかもしれない。

今の自分は挑むには同じ舞台にすら立てていないかもしれない。

でも、

どんな挑戦にも未熟で些細な一歩目がある。

そして、

今この瞬間、自分はその一歩目を踏み出したということ。

それは疑う余地のない真実だ。





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4日間、一度のバイトも得ることができなかった。
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「やりがい」

その言葉はありふれているけど、

実に的を射ているかもしれない。

どうせ挑むのであれば自分のスペックを遥かに超えた大きなモノに挑みたい。

たった1回の勝利を掴むために99回の敗北だって避けられない。





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ひとたびシーバスロッドを握ると、本当に多くの魚が反応した。
写真はマングローブジャック。
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凶悪な野生にショアから挑む。

当然やる前から結果は知れていた。

それでも敢えて苦境に立つ選択をする。

なぜならこの旅の目的は手ごわさを確認することだったからだ。


「この世界、

 この遊びには、

 やはり、

 一生という時間を費やすだけの価値が満ちている」


と。





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妙に納得して帰路へ。
「I shall return」
南国には豊かな自然があった。
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そして、

今日。

2015年3月18日。





この日を最後に、

自分がブログを更新することはもうないだろう。

いよいよ新潟に別れを告げる時がきた。





今、

自分が見据える未来は明るい。

でもきっと、

それは理想ばかりが輝いて見えるからだろう。

現実は甘くない。

人生という航海の旅路には苦難が待っている。





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出発を前に、多くの方から熱い言葉をいただいた。
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大海原の真ん中で遭難しても、

そこにレールはない。

航海図だってない。





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多くの方から熱い思いを受け取った。
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でもなぜだろう。

不安は微塵もない。

「胸張って行ってこい」

何かがそうやって自分の背中を押す。





そう、

自分は、夢半ばに立ち寄った新潟という地で本当に大切なものを得た。





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その彼らは自らを “EXTREME” と名乗った。
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この先の航海では雨に打たれることがあるだろう。

嵐の中を彷徨うことだってあるだろう。
 
でもひとりではない。

自分はこの地でかけがえのない仲間を得た。


 


「偉大なるエクストリーマー達よ、
ともに大海原を渡る準備は良いか?」




 
その先に待つ楽園で、

僕はまたあの日のように皆で感動を分かち合いたい。



 
-END-








 

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