開高健氏のシーバスフィッシング

  • カテゴリー:日記/一般

冬本番のこの頃ですが、本棚から古い本を取り出して読んでいたら、今は亡き作家の開高健氏がおそらく昭和40年代にスズキのルアーフィッシングに行かれた際の、氏のエッセイを発見しました。

おそらくルアー釣り自体がまだまだ世間に浸透してなかった頃の時代

興味深いので、一部を抜粋してみます




「探求する」

~この7月に山形県の酒田市へ行った。酒田は山形県ではなくて秋田県ではないかと、何となく感じたいところだが、この市は山形県である。最上川の河口があり、日本海に町は顔を向けている。ここに釣具店を営む富山誠一青年がいて、去年からしきりに手紙で最上川口のスズキのルアー釣りのすばらしさを訴え、ぜひ一度きてほしいとのことであった。何やかやにとりまぎれて去年はいけなかったし、今年五月、六月の最盛期の誘いの手紙にも応じられなかった。
 ところが七月にふいに青森へいくことがあったので、奥羽本線にのり、六時間かかっておりていった。スズキは鈎にかかると壮烈な水しぶきをたてて跳躍するし、ルアー釣りには絶好の魚で、その強烈と気品を考えあわせると、ジッとしていられなくなる。六月の初めに富山君の手紙では五月末には93センチの大物が突堤で、ルアーの投釣りで釣れたとのことである。こうなると、もうサケ釣りの豪壮に達するのではあるまいか・・・・・?
 ~この地方では昔、殿様が武士の嗜みであるとしてたいそう奨励したし、最上川の川口にはいいスズキとクロダイがうんといたので。官民こぞって釣りに熱中し、その結果として、庄内竿と呼ばれる様式は編みだされ、発達し、完成されたわけである。いまは折れず・腐らず・軽い・敏感なグラスの竿となったので、庄内竿は見捨てられ、使う人も作る人もいなくなったのだそうである。昔の名品を持っている人は芸術品として保存し、門外不出、釣りにでかけるときはグラス竿を買ってきて、それを持っていくという。

 ~スズキ釣りの千石上場は最上川の河口である。川に沿って 南突堤という突堤が長くのびて海に突出している。右が湾で海水、左が川で淡水。広い面積にわたってササにごりの水がたっぷりと、しかもかなり速く流れて海水とまじり、なるほどこれならサケ大のスズキが釣れても不思議ではないと、一瞥でこころがおどりはじめる。
 ところが、突堤の人出のすさまじさにを見て、タジタジとなる。突堤はずいぶん長いけれど、そこにはほとんど一メートルおいに老若の釣師がひしめいて、それがまたことごとく眼光けわしいのである。夜になるとその一人一人が力まかせに電気浮子を投げる。何十コという小さなランプが一メートルおきにならんで小波にゆれる光景は銀座の灯というか。灯篭流しというか。ウィスキー瓶を横においてチビリチビリやってるの、犬をつれてのりこんでくるの、マホー瓶のお湯でカップ・ヌードルを仕立てて腹ごしらえに余念がないの、さすが伝統のお国柄。しかもここではフィッシュというと、スズキかクロダイのことであるらしく、あちらでもこちらでも、みごとなボラがバシャバシャと水しぶき立てて跳ねているのに誰ひとりとしてふりむくものもない。
「おじさん、いいボラが跳ねた」
ためしに一人に声をかけてみたが、おとなしい狂人は、口のなかで、ウ、と漏らしたきり。ふりかえりもしない。
 ~富山君はタックルボックスを持ち出し、私といっしょに突堤へいって、ルアーを投げては引き、投げては引きしながら、ときどき溜息をついて
「すみません」という。
暗がりで私はゆらゆらと
「何、こんなことはしょっちゅうだよ」
「慣れているのさ」
「気にしなさんな」
「十月にまたくるよ」
「時の運さ」
「大釣りなんて三年に一度だよ」
「しかし、いい川だね」
 いろいろと短い感想をそのたびに洩らす。一日。二日。三日。それが四日目くらいになると、いささか声のうらに羞恥と焦燥が芽生えて、声が低くなっていく。けれどそのたびに私は外国でも日本でも、もっとひどかった経験のあることを思い出して、まだ、まだ、と感ずる。

スズキは釣れなかった。~






今のようなスズキ釣り用のルアーなどなかったと思うので、スプーンやラパラ、ボーマーのミノーなど投げておられたのではないかと推測されます。

残念ながらこのとき開高氏がスズキを釣ることはなかったようですが、昭和40年代にもうこういう釣りをされておられるのを改めて発見し新鮮な気持ちになりました

そのころから比べると今は手軽にシーバスのルアー釣りが楽しめます
ただ、時代は変わっても釣師の情熱は変わっていないなと思います

道具はどんどん進化しても魚を釣りたいという人間の気持ちは不変です。

今週末は釣りはお休みですが来週以降、また繰り出してみようと思います。



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