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▼ 本物の職業釣師
- ジャンル:日記/一般
- (ノースクラフト, 時の人, NORTHCRAFT)
B.A.S.Sより画像拝借
画像の人物、皆さんはご存知でしょうか?
ソルトアングラーの皆さんにはなじみが薄いかもしれませんが、アメリカのバスフィッシングトーナメントで活躍する日本人プロアングラー、桐山孝太郎プロです。
単身でアメリカに渡り20年。
1年間を通して全米ツアーを転戦するだけでも並大抵のことではないのですが、それを13年間も継続することは、この世界を知るものにとって想像を絶する領域です。
スポンサー企業からの契約金、トーナメントの賞金で生計を立て、1年1年をクリアしていく過酷さは、プロスポーツ選手の世界であればみな同じではあるのですが、ツアーの参加費と旅費だけでも約1000万円の経費を準備して初めて戦える環境が整うことを考えると、この大変さが容易に想像できると思います。
それに加え、バスボートを牽引したトラックで片道3日間を移動に要することもあったりと、人並み外れた体力がなければ、釣りどころかその入り口でアウト、ということになってしまいます。
これが1年間を通して10戦以上。多いときで1ヶ月に2戦連続はあたりまえ、公式プラクティスを含め、朝から晩までの長時間を6日間、7日間を集中して釣りを行い、魚を探し、そして確実に試合で釣り上げる。
自分でボートを操船し、魚を追いかけ、そして自分が釣るという、釣りの中でも総合格闘技と言える、トーナメントの最高峰。数百万円から数千万円の優勝賞金をかけて戦う、プロスポーツの世界。
日本のバスプロ事情とはあまりにかけ離れていますが、これがアメリカのバスプロ、アメリカの文化とも言えるバスフィッシングの世界なのです。
この桐山プロとは、それこそ13年のお付き合い。彼がバスマスタークラシックに出場したシカゴに応援にも行きましたし、ラスベガスのレイクミードで行われるWON BASS US-OPENにも一緒に出場した仲であり、実は彼がバスプロになると決心した瞬間に立ち会った張本人でもあります。
ここ最近は、会うこともままならない忙しい二人だったのですが、帰国を機に、先日久しぶりに加賀の地まで足を伸ばしてくれたのです。
そうと来れば、加賀の海の幸、温泉を堪能してもらわない手はない、ということでいろいろ楽しんで頂きました。
ゆっくり話ができたのは何年振りでしょうか?
今までの積もる話し、近況などを互いに語り合う充実した時間を過ごすことができました。
彼がアメリカでバスプロという道を選んだとき、私自身も今の彼の姿を想像していませんでした。それは冒頭にも述べたとおり、あまりに過酷だからという理由です。
しかし、彼はその中で、2008年のB.A.S.Sエリート第10戦では念願の優勝も果たし、選ばれし者だけが出場できるクラシックにも多数出場経験を持ち、今だに現役で第一線を戦っている。
皆さんも気になるところだと思いますが、トーナメントで魚を釣る秘訣や勝つための方程式など、職業釣師としてのノウハウにはとても興味ありますよね?
私も自分の参考にと、その話を振ったところ、意外な答えが返ってきました。
10回失敗して初めて得るものがあること、100回試して初めて分かること、努力して努力して、集中して、頭をフル回転させ、そのときに得た僅かな答えを積み上げていく、ただそれだけ。
つまり、誰よりも大きな魚を誰よりも多く釣る、ということに答えも方程式もない。
そして大切なのはそこに至ったプロセスであり、勝ち方である。
アメリカの大学で哲学を専攻していた彼らしい、説得力のある答えでした。
考えてみれば、釣れるルアーの作り方に方程式はあるか?と考えた場合、やはり自分も同じ答えになるなと思いました。
これだから、こうという単純なものではなく、目的に応じた方向性は存在しながらも、スキルの違う多くの釣り人が使うことを考えた場合、使うシチュエーションを想像した場合、何百、何千というファクターが存在し、その天文学的な数字の組み合わせをトライしていくことに、単純な答えはない、ということです。
釣りも同じ。
人の言葉で語るのではなく、トコトンやり込んで得た自分の経験、そこから導き出される言葉や考え方に、本当の価値がある。
自己実現の原点を探り出せた、貴重な時間でした。
次に会えるのはいつの日か。
いつまでも互いに成長し、認め合える友でいられることを誓い、またの再会を約束したのでした。
- 2010年12月6日
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