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西方見分録 6 高知県西部

  • ジャンル:日記/一般
経路
中土佐ー四万十(町)ー黒潮ー四万十(市)ー宿毛

期間
11/19~11/28

歩行距離
約100km

釣行場所、釣果
伊与木川 ヒラスズキ アオリイカ
ビオスおおがた前の砂浜 ×
四万十川 セイゴ2
松田川 ×


須崎から黒潮町までは磯場がおおいので釣りはせず国道に沿って山道を行く。

四万十町に到着したところで日がおちる。
この日から夜が一気に冷え込み、昨日まで10度前後だった最低気温が2℃まで落ちる予報だ。

そんなことを知ってか知らずか、妻が電話で近くのゲストハウスに宿泊することを勧めてきた。
ちなみに私は携帯のアプリで自身の居場所を逐一妻に監視されているのでやたらと変なところには行けない。

「宿代が勿体ないから」と、一度はこの提案を却下したが、そのすぐあとに話しかけてきたおじさんが「こんな日に野宿なんかしたら凍死するぞ」と警告してきたことで何か予感めいたものを感じて大人しくゲストハウスに泊まることにした。

通された部屋は二段ベッド2つの4人部屋。

当日はそこに私とカナダ人の中年女性、フランス人青年の3人が宿泊することになった。

私以外の二人は特に知り合いというわけではないが、フランス人青年は英語が堪能でカナダ人女性と盛り上がっている。

私もわかる単語やボディーランゲージで意志疎通を試みたが、お互いの言わんとすることは半分くらいしかわからなかった。
学生時代の勉強不足が悔やまれる。

彼らはわざわざ海を越えて四国の自然を見にきたらしい。

カナダだったらそれこそ日本より自然豊かなイメージがあるが、植物相の違いを楽しんでいるのだろうか。

それにしても、二人とも見ず知らずの国にたった一人でザックひとつで来るなんて凄い行動力だ。
彼らを見ていると、世界は自由で自分は何処へでも行けるということを思い知らされる。いつだって道は続いているのだ。
行くか留まるかは自分次第なんだ。
こんな風に、思う。


翌日は皆がまだ寝ている時間から行動を開始。別れの挨拶は照れ臭いのでしなかった。

山道を抜けて夕方に黒潮町の佐賀集落の海辺まで出た。

佐賀は川幅100m弱くらいの伊与木川が海に流れ込んでいる。

スズキを狙うにはうってつけの規模の河川なので夜はこの川で竿を出すことにした。

この日も日が暮れてから一時間ほど経った18:30くらいに当たりが出る。

魚は確実にいる。

初めてのポイントでは一度の当たりが大きな心の励みになる。
全く検討違いな場所で竿を振っている訳でないことが証明されたからだ。

昨夜に引き続きこの夜も冷えたが魚がいることを信じて投げ続けていると遂にヒット。

魚はフッコサイズのヒラスズキ。

さらにその少し後、ヒット。
重さの割には引かないし、跳ねないのでマゴチか何かだと思っていたら、正体はなんとアオリイカ!

完全に川の中なのに淡水嫌いのアオリがくるとは、やはり高知は恐ろしいところだ。

ここで体が冷えきったのでこの日は終了。

翌日は道の駅ビオスおおがた前の砂浜で竿をだしたが、あまりに遠浅でウェーダーがないとお手上げといった地形だったので早々に竿じまい。


そして次のポイント、最後の清流四万十川にたどり着いたのであった。


この四万十川とその雄大な流れの中に潜んでいると言われている幻の巨大魚を知ったのは恐らく"村越正海の爆釣日本列島"というゲームソフトだったと思う。

当時小学生か中学生くらいだった私は日本の内水面にこれほど巨大な魚がいることに驚き、そして憧れた。

そして4年前ヒラスズキ釣りのついでに初めて四万十川で一夜竿を振った。
その時は一度の当たりもなかったが、"せっかくあの憧れの四万十川に来たのだから"、と四万十川の記念館で購入したステッカーをタックルボックスに張り付けて釣りのたびに眺め、再訪を誓っていた。


そして、私は再び四万十川のほとりに立った。

ここではあらかじめ持てる時間いっぱいは何か自分が納得出来る魚をキャッチできるまで滞在する予定であった。

しかし、やはり大河川の攻略は難しく、またリールの故障というトラブルにも見舞われて、三夜目を終えた時点でセイゴ2匹という厳しい結果だった。


そして迎えた四夜目にその時はきた。


そのポイントは支流後川との合流点。
川の合流とカーブ後の深みが重なる絵にかいたような好ポイントである。

満潮時はシャローである合流直近を、干潮時は深場の下流側を攻めていた。

朝3時頃仮眠から覚醒し、潮が引いているので深みへ。

一時間ほど投げていると食ってきた。

バイトと同時にドラグが逆転する。
勢いはそれほどでもない。
走る、というよりは淡々と泳ぎ続けている感じだ。

時期的なものもあり、最初はこれが話に聞く大型のタイリクスズキだとおもっていた。

しかしどうにもおかしい。
魚はいつまでも止まる気配がない。
恐る恐る、ハンドドラグを強くかけていってみる。
竿が一杯までしなったところで魚が一度止まった。

いけるか?

そう思ったとき、魚は何事もなかったかのように今度は上流方向に向かって泳ぎ始めた。

私もラインを回収しつつそれに付いていく。

足場はもともと水中にあった人工の積み石で、ツルツルすべりなんどかこけそうになったがなんとかまたラインと水辺の角度が90°になるところまで追い付いた。


異様なほどこの魚は重い。
淡水魚では考えられない重量だ。

ラインは伊尾木でヤられた反省を踏まえ1号に強化していた。

伊尾木でラインブレイクしたときは、引き波さえなければキャッチできていたとおもったが、ここはなんの障害もなければ流れも緩い。

しかし全く歯が立たない。
リールを巻こうとしても一緒にドラグが効いてラインも出るので、ラインが回収出来てるのかもわからない。

それでもどうにかしなければいけないのでスプールを押さえて竿をあおってポンピングをしようとする。

そのうち、竿をあおったところでラインの角度が鋭くなった瞬間がきた。

"不味い、魚が潜ってる!"

その後ラインから生命感が消えた。

完敗だった。

殆ど何も出来ず、翻弄されるだけで終わってしまった。

しかし、その時胸に去来した感情はラインを切られた悔しさではなく、感動だった。

憧れの"幻の巨大魚"は"幻"などではなく"現実"に存在したのだ!!

それがわかればもう十分だった。
魚の正体をあえて確める必要はない。

思い返せばこの旅それ事体が地図上、机上の知識を実際にこの目で確かめ体で感じる作業だと言えないこともない。

だとしたら予定とは違ってしまったがもう四万十川での釣りはこれで終わりにしてしまってもいいだろう。

四万十川。
現実に巨大魚が潜んでいる大河。

もうここに来ることはないだろう。

でもきっとタックルボックスのステッカーを見るたびにこの夜の感動を思い返すことができるはずだ。


憧れの川に最高の思いでを貰った私は幸せものだな、と思った。




四万十川での経験からもう四国でやり残したことはないと感じたので隣町の宿毛からフェリーで大分の佐伯に渡航しようとしたが、なんとこのフェリーが先月末で無期限の休航となっていた。

仕方ないのでメータータイリクで有名な松田川を攻める。

ここにも一度来たことがあるので地形は把握していたのだが、松田川下流は広大なシャローで干潮時以外はウェーディングしないとまず流芯までルアーが届かない。

Googleアースで確認したところ導流堤先端はスニーカーでも流芯を直撃出来そうだったが、立禁エリアだったので入場を断念。
一級ポイントにもかかわらず松田川ではまともに釣りが出来ずに終了してしまった。

高知では最後にフェリーで南西部の離島、沖ノ島にある"母島"という集落に渡った。

というのも妻にここから風景印付きの葉書を送ってほしいと頼まれていたのだ。

用事を済ませると帰りの便までの数時間何もすることがなくなる。ここは私の住んでいる"母島"にまして何もないところだ。

ボケッと漁港のスロープを眺めていると小学校中学年くらいの少年がえらく丁寧な言葉遣いと態度で「魚は見えますか?」と尋ねてきた。

私が
"母島の子供と違って随分と行儀がいいな"
と感心しながら「なにもみえないなぁ」と返すと、少年は「そこにハリセンボンがいますよ」と教えてくれた。

その表情に優越感が表れていたのをみて、やっぱり子供は子供だな、と苦笑してしまった。

そういえば南の母島でもハリセンボンをよく見かける。

同じ名前の場所でも気候や風土、生活様式などは随分違っているが、少年の純粋さや水面をゆっくりと泳ぐハリセンボンなど共通点を発見するとすこし心が和んだ。




写真
1 伊与木川ヒラスズキ
2 伊与木川アオリイカ
3 四万十川セイゴ
4 四万十川(後川合流付近)







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