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ショックリーダー考察・実用編 リーダーの強さと長さ

さて前回、記事の冒頭で、ショックリーダーには『根掛かりの際にノットやメインライン、ロッドを守る』という役割があると述べました。


今回は、この点を掘り下げて、港湾部や河川河口部での一般的なシーバスゲームを基準として『リーダーシステムのノットや、メインライン全体を守る』とい観点から考えるリーダーラインの適切な強さ、


そして、ラインの特性から、切れやすい状況を想定した、『シーバスとのファイト中に受ける想定外のダメージ』に対応する、リーダーラインの長さを考察したいと思います。




【捨てオモリというシステム】


さて、本題の前に、皆さん、投げ釣り、底物の仕掛けのひとつにある「捨てオモリ(捨て糸)」はご存知でしょうか。


これは岩礁帯やゴロタ場などの根掛かりしやすいハードボトムを狙う場合に、あえて錘を結んだ糸だけが切れるようボトムネックを作り、最悪根掛かりしても掛かった魚や仕掛けは確実に回収するという考え方のシステムです。


底物仕掛けのうち一番根掛かりしやすいのは自重のある錘であるため、(環境保全的な意味合いで賛否が別れるかも知れませんが、)

仕掛けの回収率、余分な糸を水中に残すリスクを軽減するという意味では非常に合理的で、『釣り人が予め仕掛け全体で何処を切るのか想定したシステム』 であるといえます。


 


 



【メインラインとノットを守るリーダーの強度設定】


これを踏まえて、ルアーゲームでも、その概念を流用して考えてみましょう。

 
もちろん、この時に、ルアーフィッシングでは根掛かりイコール仕掛け(ルアー)喪失となってしまう為、【捨て錘システム】ほど経済的には効果を発揮するとは言えないのですが、

それでも、根掛かりからの回収が不可能な場合には、出来るだけリーダーの先端から切れるように、システム全体の強度を設定する事で、多くのメリットが生じます。


例えば、一例としてMax16lbくらいのPEに25lbとか30lbのリーダーを結束したとしましょう。


ゲーム中、不運にも水中に沈んだ流木などへ引っかかってしまい、回収しようと試みますが、この場合メインラインの引っ張り強度がリーダーのそれを下回っているので、よほどの幸運でない限りリーダーとの結束部分より上のPE本線が先に切れる事になります。

その結果、釣り人的にはノットの組み直しという手間が生じてジアイを逃したり、限界まで引っ張った事が原因で、破断箇所以外にも、PEライン全体に傷みが生じてしまい、さらなる不測のラインブレイクに繋がる心配も出てきます。


またこれらが影響して、残ったダメージにより、想定外の箇所から切れる結果、PEラインを大量の水中に残置してしまったり、

更には無理に煽ったり、引っ張ったりする事で、ロッドやリールを痛めたり、切れた反動でアングラー自身が転倒してしまう等の危険性も否めません。


まとめると、運任せではなく、自らの意図で、

① 水中に残すゴミ(ライン)を少なくできる。
② 結束部分を残す事で素早く実釣再開ができる。
③ PEに負担をかけず破断強度を低下させない。
④ ロッドやリールに過度な負担をかける事がない。


というような事を設定する事ができます。





【ラインの強さを決める具体例】


では次に、もし回収不能な根掛かりでラインが切れる場合、スナップとの結束で切れるシステム、というものを考えてみましょう。


先程の例から、Max16lb程度のPEラインをメインラインとする場合、リーダーラインはどのくらいの強さが良いのでしょうか。


先ずメインラインの引っ張り強度を推定しましょう。

この時に、PEとリーダーを結束する以上はどのような結束方法を用いたとしても必ず強度は低下する事を忘れてはいけません。

これはPRノットなど、限りなく100%に近いと言われるノットも一部存在しますが、基本的には低下します。


ここでは話を簡単にするために結束強度の低下が本線PEの70%ほどになる7割ノット(架空)とします。


 
PEライン強度(16lb)×強度低下率(70%)=結束部強度(11.2lb)


すなわち結束部では約12lb程度の強度があれば良いという事になり、使用するリーダーラインは、12lbや14Lbを選べば妥当という事になります。

※リーダーとスナップの結束でも、若干強度は低下します。(ここでは8~9割で計算)


号数で見ると、けっこう細い印象を受けますが、他魚種では12~14lbと言うのはわりと普通~太めの部類に入りますし、単純に引っ張るくらいではそうそう切れません。

例えば、ドラグチェッカーでリールのドラグを計測した場合、多くのシーバスアングラーのドラグは1kgか、それ未満だったりします。

ちなみに10lbは約4.5kgです。


ただしシーバスが好む地形変化や沈み根付近を狙う場合が多く、細い糸を使う事それ自体に精神的負担が大きい場合は、リーダーを太く16lbまで上げるのも可能だと思いますが、

その時にリーダーを太くするならメインラインも太くする様な全体的な強度から見直すのが良いと思います。





【ラインの特性 切れやすい状況】


次に、『シーバスとのファイト中に受けるダメージ』に関して、ラインの特性として破断しやすい状況を考えてみましょう。


ご存知のとおりPEやリーダーは傷などが付いて著しく強度が低下している場合を除いて、単純に引っ張るだけではそうそう切れるものではありません。

一方で、ラインの性能以上の負荷を瞬間的、または継続的に加え続ける場合、あるいは限界近くまで引っ張った状態で異なる方向から負荷が掛かるなど外的要素が働いた場合、意外とあっさりと切れてしまいます。

 


具体的に述べると前者はガイド絡みなどの際に起きる、いわゆる高切れがこれにあたります。

この対策については前回記事で実体験に基づいて説明しましたが、リーダーラインの素材や、太さ長さを調節することで回避出来るとしました。


後者が、今回の検討に該当するファイト中に破断、又は、それに準ずる想定外のダメージを残してしまうケースと言え、メインラインをこの状況にしない為に、リーダーラインには適切な長さが必要になります。





【リーダーの長さはどのくらい?】


では具体例として、今回はリーダーの長さを、ファイト中に受けるダメージから考えてみましょう。


ほとんどの場合アングラーがヒットさせた魚とファイトをする時の位置関係は、アングラーが魚を見下ろす状態になります。

この時、魚の口がアングラーに向いている時は問題ありませんが、反転したり潜り込んだりする場合は図のようになり、ラインがまともに魚体を擦ります。

 



実はリーダーが短すぎることにより、エラやヒレに当たってしまう等、ファイト中の魚体擦れが原因となる(その時のダメージが影響しての)ラインブレイクは意外に多いです。

何故かと言うと、先程、ラインの特性で述べたように、テンションが掛かったPEは引っ張る方向とは異なる方向から負荷が掛かるとあっさり切れるからです。



そのため想定されるシーバスの最大サイズ(つまりはランカー)を考慮してリーダーの長さを求めることになりますが、だいたい60~65cm程度が妥当ではないかと考えられます。

現場的な運用として、沈み根に当たって傷ついたリーダーを切って詰めても大丈夫なように、予めマージンを取っておくという考え方もありますが、長すぎるリーダーはトラブルの元になるので、せいぜい80cmが限度ではないでしょうか?

これ以上ですと、システム全体のバランスとして、釣り人側でロングリーダーを扱うんだ、という意識が必要になるかと思います。




さて、この様に、ショックリーダーを活用する際に、強さや長さの設定において、

ただ漠然と決めるのではなく、『ゲーム中に発生するダメージの想定』と『システム全体で最弱点の意図的な設置』を考えることで、

快適な釣り、更にはロッドやリールを保護するだけでなく、想定外のラインブレイクなどを防ぎ、魚に異物(ルアー)を付けたまま見送る様な、後味の悪い釣行を回避する事が出来ます。

しいては、環境にもお財布にも配慮したゲームの組み立てを考える事も出来るようになるのではないでしょうか。



文 ナカヤマ
編集 コウノス

 

【シリーズ記事紹介】

ショックリーダー考察 ラインの素材編
http://www.fimosw.com/u/editor/k3hfe1y562m5ea

 

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