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鴨下 圭太郎

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東京湾におけるスズキの産卵場所について考えた

  • ジャンル:日記/一般
東京湾はスズキの好漁場であり資源量も多いが、増養殖と言う観点からは重要ではないためその産卵行動について深く研究されることがあまり無かった。
従来は観音崎周辺が東京湾のスズキの産卵場所として考えられてきたが、再度考察してみた。


①スズキの生活史について。
1~3月、産卵期のため産卵場所である深場で大きな群れを形成
3~12月、産卵が終わると餌を求めてサイズ毎に適した環境で成長

すいません、大分端折りました(笑)
産卵期が終わって水温が上昇し始めるとスズキたちは餌の多い河口や沖の餌の多いエリアで活発に捕食を始める。
更に水温が上昇すると、新鮮な海水が供給される潮通しの良いエリアや新鮮な水が供給される河川へと移動。
秋になり水温が下がり始めるとスズキたちは産卵を意識し始め、カロリーの高い餌の豊富なエリアを好むようになる。
やがて水温が下がると、産卵のために深場へと落ちていく。

以上のようなサイクルで毎年過ごしているわけです。
産卵期になると産卵場所で群れを形成するわけなのですが、それはどういった条件の場所なのか?



②スズキの産卵に適した環境とは
今までスズキの産卵場所として考えられているのは観音崎から浦賀を中心とした三浦半島周辺であった。
東京湾のスズキはそこへ回遊し、そこで産卵する。
これはスズキの産卵場として(渡部,1965)の論文でスズキの産卵場として図示されている。
このエリアの水深は100mほど。
河川水の影響が少なくなり、東京海底谷により安定した水質の海水が供給される場所である。

さて、果たしてこの水深にスズキは居るのか?



③遊漁での漁場
観音崎周辺はタチウオの漁場であり、ジギングにより盛んに遊漁が行われているが、そこにスズキが混穫されることはほぼ無い。
1~3月のスズキ狙いの遊漁船の漁場は、川崎沖~本牧沖が主であり、スズキはこの海域に大群を形成している。
体長は40~90cm程度まで、産卵行動に関係しない魚から、90cmを超える成魚まで、さまざまな大きさのスズキが混在している。
生殖腺も、産卵前の大きなものも有れば産卵後の小さいものもある。
ジギングでのポイントの水深は25mほどの場所がほとんどである。

ここで見ていただきたいのが下図
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これは海上保安庁第三管区で公開している東京湾の水深図。
黄色で示されている部分が、スズキの漁場となる水深25mである。
東京海底谷から伸びるスリットが川崎沖まで続いているが、そのカケアガリ部分の水深が25mで、これは冬季のスズキの漁場とぴたりと重なるのである。
そして注目していただきたいのは、川崎以北の水深。
スリットは川崎沖で終わり、それより北は赤色の浅瀬となっている。


④推測されるスズキの産卵場所
浅場から産卵場所へ向かうスズキは、産卵に適した水深へと向かう。
最寄の好適な環境へ集合すると考えると、広い浅場のある湾奥部に居る沢山のスズキが集結するのは川崎沖。
ここに集まったスズキは、産卵のために更に南へ移動するのか?
私は、否と考える。

より深い環境をスズキが好むならば、スリットの深場の40m~70mといったポイントも遊漁で狙うかもしれないが、そういったポイントではスズキは釣れない。釣れるのは25mの水深のポイントばかりである。
スリットから供給される塩分濃度の安定した海水があればスズキは産卵するのではないか?
つまり、三浦半島周辺では外周ほぼすべてが産卵場であり、産卵場の無い湾奥部からは川崎沖へ集結し、そこで産卵する。



以上のことから、

浅場が広いほど高水温期に養える資源量が多いため、浅場を沢山擁するカケアガリであるほど産卵期にはより多くのスズキが集まる。

というのが現在の私の考えです。

塩分濃度の鉛直分布図も合わせて参照すると、なるほどと感じさせられるのだけれど、気になる人は自分で調べてみてください(笑)
オカッパリだとあまり恩恵は無いかと思いますが、ジギングでシーバスのポイントを開拓したい!という向きには有用かと思います。

以上、釣りのテクニックにはまったく結びつかないシーバス考でした!
 

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