♯19 自分にとってのルアーフィッシングの原点(神童ナカジマ君1の2)
前回は、都会っ子の小学生よりは身近に釣りがありましたよって話でした。今回は、予告通り、そんな田舎っ子の小学生がどのようにルアーフィッシングに狂っていったかについて書いていこうと思う。
この話をするには、ある男の存在を無くしては語れない。同級生のナカジマ君だ。普段は下の名前で呼んでいたが、ここでは非常に特定の難しい苗字を使わせていただこう。小学校の正門前という好立地に住んでいたナカジマ君は、記憶が正しければお父さんが釣り好きだった影響で、小さいころから釣りの英才教育を受けていた少年だった。同じ少年野球チームに所属していたり同じクラスだったりもしたが、反対の裏門方向に帰る自分にとっては学校の向こう側は行動可能範囲ではなかったためあまり接点は無かったように思う。そんな彼と接点を持つきっかけとなったのが、ブラックバスである。
当時、ブラックバスブームが起こって、日本中がブラックバスを求めていた。違法放流の影響は片田舎の野池にまで及び、ヘラ師のおっちゃんたちが「糸が切られて困っている。」と嘆いていたことを覚えている。実際に自分がブラックバスを始めたきっかけは、恐らくルアーを拾ったからだと思う。当時はルアーを買うお金も、買う場所も近くには無かった。しかし、近くの野池を回れば必ずルアーが見つかったため、コイ釣りに使っていた3mの振り出し竿を引っ提げて友達と”ルアー”フィッシングに興じていたのだ。どちらかと言えば宝物集めに近い感覚だったと思うが、木に登っては引っ掛かったルアーを釣っていた。次の記憶は、1.5mほどのプラスチック振り出し竿とそれに準ずるスピニング、いつ巻いたか分からないナイロンラインにルアーを結んで野池に投げている風景。拾ったルアーでブラックバスを釣ろうと躍起になっていたが、数カ月は釣れなかったと思う。ワームを購入して、見よう見まねでじっくり攻めたりもしたが結果は付いてこなかった。ここで登場するのがナカジマ君だ。
教室でブラックバスが釣れないとか話していたのだろうか?ナカジマ君が話しかけてきて、「僕もバス釣りやるけど、最高1日で百十何尾は釣ったよ。」みたいなことを言ってきた。小学生あるあるの盛り盛りトークである。「そんなんありえへん。どんなルアー投げても1尾も釣れへんのに。」くらいのことは言ったはずだ。それでも、「絶対1尾も釣れないなんてことはない。」なんてことを言われたのだろう、ある日一緒に近くの野池に行って釣りを見せてもらうことになったのである。
この時の衝撃はなんと言えば良いのか。
正に神童。
小学生だったのでそんな言葉は知らなかったが、目の前で何が起こっているのか全く理解できなかった。というか、釣り場に着いて数分もしないうちに次々と釣り上げる姿に、状況を理解することを拒んでいたのかもしれない。コマセを巻いて数十分待って魚を寄せる方法しか知らず、半年以上もバスに出会えなかった自分には、眩しすぎる光景だった。流れるような所作、繰り返し放たれるルアー、狂ったように襲ってくる魚、目の前で繰り広げられる光景は今でも逆光の中に霞む影のようなシーンとして思い出される。
今の知識でこの時の釣りを説明すると、見えバスにマシンガンキャストしてジャーキングでリアクションバイトを拾っていく、といった感じだろうか。ただ、当時は両軸リールを見たのも初めてだったし、両軸リールでジャーキングする(竿を下に叩くような)姿も初めてだった。まして、場所移動もせずに1-2時間で30-40尾のバスが釣られるのを目の当たりにして、天地がひっくり返るよりも大きな衝撃を受けたのである。
この日、自分は初めてルアーで魚を釣った。爆釣しているナカジマ君の横で僅か1-2尾だけだったが、手取り足取り教わりながらプラスチックの振り出し竿で初めてのバス、初めてルアーでの釣果を手にすることができたのである。そこからは、学校のクラブ活動が忙しくなるまでの半年間くらい、毎日のように釣り場に足を運んだ。初めて自分でプラグを買ったりもした。しかし、ナカジマ君が使っていたルアーと同じような色やサイズ感、動きが出せないものでは、いくら釣法を真似ても同じような釣果が出せなかった。ナカジマ君が使っていたのは、確か6cmかもう少し大きめの細身のミノーで、ホロ貼りシルバー系だった。一方、自分が初めて買ったルアーは、同様の細身ミノー(ダイリツTARGET66F)だったが、色が赤金であった。そのため、アクションは悪くなかったものの、1時間20尾ペースでは釣れなかったと記憶している。個人的にはあまり色に執着は無いが、無関係と言い切れない状況は何度か経験しているので、それは別の機会に紹介していきたい。
ちなみに、探してみるとまだ保管してあった。あまり良い思いが出来なかったのか、30年前のルアーとは思えないほど綺麗に残っていた。

神童ナカジマ君には、初めてのルアー釣果と初めてのバス、初めてのプラグ購入と、小生のルアーフィッシングの全てのきっかけをもらった。読者の皆様にもそういう出会いがあるかもしれないが、彼無くして小生のルアーフィッシングも始まらなかっただろう。
他にも初めての両軸リールを2台譲ってもらった。1台目はダイワのベイトで、スピニングでは教わったハイピッチなジャーキングが出来ず数釣りに難攻していた自分を見かねてか、完全に無償で譲ってもらったことを覚えている。ベイトリールのキャスティングやジャーキング、ブラックバスのリアクション数釣りはこのモデルで覚えた。今でもタイラバに愛用しており車にあるためモデル名が分からないのはご愛敬(たぶんEL2だと思う)。もう一台は、ナカジマ君がスコーピオンに買い変えるときに無理を言って友達価格で譲ってもらったシマノのバンタム(Shimano Bantam Black Magnum BKM-10Mag)。こちらは、神童ナカジマ君がボコボコに釣っていた時に正に使用していたもので、たまに淡水ビックベイトなどで使う程度だが、紛失やシオガミ等が怖いので主に観賞用と言っても良いかもしれない。今でも探せば安く手に入れられるが、そういう事じゃないんです。

神童ナカジマ君編つづく。。。