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椿原 弘將

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夢 vol.2

17cm70gのバルサ材の塊。魂のこもったバルサ材の塊がEXPLOSION 845 HFから玄界灘の黒々とした海に向かって射出される。



久々にゴツいタックルを振るのに一抹の不安を覚えていたが、疲れを殆ど感じていない事に驚いていた。

実はといっても何だが、浪人中にもいつか訪れるであろうこの日を夢見て自重での筋トレはコツコツ続けていたのだw(浪人生活を共にした友人なら知ってる人もいる筈)
加えて3月からは肉体労働系のバイトを始め、ジムにもコツコツ通っていた。その成果は着実に出ている様に感じられた。






D-PENのピンクバックが水に映える。
元々水馴染みのいいペンシルなので、アクションミスする心配はあまり無い。



ただ、完全に水面で浮いた状態からアクションさせるのか、それともポーズを短くして水中でアクションの起点を作るのかでルアーがとるアクションがかなり異なる。


ラインスラックを利用しながら入力値の初速を早めると水面下で水を掻き回す様にZ字を描き、一方で入力値の初速を遅めてやると直線的なS字アクションを取る。


更に、水中にルアーがある状態でただ巻きをすると水の中を大きなS字を描きながら泳いでくる。

何も考えず適当に引いてくるだけでは毎回毎回出るアクションが変わる。それでも水面を滑ってしまう確率は著しく低い為、初心者向きなルアーだと言えるとは思う。が、出せるアクションの幅が非常に広い為に、狙ったアクションを出す為には相当な集中力を要すると感じさせられるルアーだ。







僕はこの日の海の状況を目で見て肌で感じて、何となくショートジャークで水面を掻き回した方が良いように感じていた。



特にこれといった理由は無い。第六感。そんな気がするだけ。当たるも八卦当たらぬも八卦。










七里に着いて一時間程が経過しただろうか。ポイント周辺には相変わらず多くの鳥が舞っている。







波を見ながら、ルアーが出来るだけZ字アクションで水面を掻き回す様に注意しながら、初速を早め、激しくかつ優しくアクションを入れる。












一瞬だった。










ショートジャーク間の短いポーズに差し掛かろうとしていたその瞬間、










ドバシャン!!!!











ピンクバックが水柱とともに消えた。








興奮の一瞬。でも頭は冷静に。この一瞬。この一瞬の為に今迄何度もイメージトレーニングを重ねてきたのだ。




「まだ合わせてはダメ。プラグに出ただけでロッドに重みが乗らない。フッキングには至っていない。このままアクションを続けて更に深いバイトを誘発し、そこでアワセを入れる…。」


コンマ何秒。その間僕の頭の中はスーパーコンピュータの様に目の前の状況を処理し、次起こり得る事態に備えた。ラインスラックを取り、再びルアーに食いつかせる為に落ち着いてアクションを入れた。







しかし相手は思ったより薄情だった。






期待も虚しく、水面を激しく割ったヒラマサはその後続けてバイトしてくることはなかった。




残念無念。ヒラマサからのファーストコンタクトは見事空振りに終わった。




ノーチャンス。アワセを入れるタイミングすらなかった。




でも、僕は内心とても嬉しかった。ちゃんと考えて操作したルアーにちゃんと魚が応えてくれた。次へのきっかけは掴めたのだ。






そしてこのバイトをキッカケに、魚からの反応が一段と良くなった。

流れっぱなしだった潮が緩み始めた。最大チャンスタイム突入。ここが正念場。











「出たー!!!」






最初にそのチャンスを掴んだのは残念ながら僕ではなく、トモでキャストをしていた方だった。




当日の僕のポジションはミヨシの前から2番目。後ろでロッドが強烈に曲がっているのが視界の左端に映った。







「そりゃ〜デカいよ!水深は54ありますから!慎重に!」





船長からの指示が飛んでいる。




僕はファイトをじっくり見たい気持ちを抑えてキャストを続ける。今からが最大のチャンスタイム。一投でも多く投げる事で魚との距離が縮まる。そう考えて投げ続けた。






暫くして船上に「ドタンドタン!!」という大きな音が響き渡った。

船尾で歓声が上がる。




ポイントに船を付け直す為に一旦船尾に避難する。

目を疑った。







「デカい…!!」






これぞ大政。そう呼べる見事な魚体のヒラマサが其処に横たわっていた。







「18kg!!!」







船長の声がデッキに響き渡った。








「おめでとうございます!」


「いや〜、ありがとうございます!宝クジが当たりましたわ!」





船上は祝福ムード。でも誰しも心の中で「何で俺のプラグに出んかったんや!」と思っている筈(笑)



僕も漏れなくその1人。







次は俺の番!!

そう思う心とは裏腹に、夢見る大魚を目の当たりにして少し集中が切れた。






いや、決して集中していなかった訳では無い。
目の前にしている海の豊かさ、スケールのデカさに圧倒されたという表現の方が正しいかもしれない。






青い海、青い空、白い雲

ロッドから放たれるルアーが描く放物線

目の前に広がる青いキャンバスの上をピンクのラインが駆ける。

あぁ、幸せ。




この夢のあるフィールドで釣りができる。


それだけで何と幸せなことか














ふと気が緩んだ














殺気立っていると魚は釣れない。


そんな核心をついた迷信が釣り人の間には存在する。
















気が緩みながらも僕の左腕は数十メートル先のペンシルに命を吹き込み続けていた。









短めのポーズの後、ロッドアクションに導かれ水面のペンシルが再び水に潜る。














一発目とは反対にそのバイトは控えめだった。














グッ…!!!













腕に衝撃が走った。
時を同じくして、水面下で銀白色の魚体が反転したのを視界の右側で捉えた。




ロッドに重みが強く乗った。







キ、キタ!!








咄嗟にリールシート上の左手に右手を添え、短くそして強く水面と平行にロッドを強く引いてアワセを入れる。



決してアワセを入れる方向は縦方向では無い。日頃お世話になっているNAKAMARUの名嘉船長に強く言われていた。



完全に重みが乗ったことを確認してもう一発追い合わせを入れた。








「乗った!!」









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続く。


















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