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椿原 弘將

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帰国

1月14日深夜

 

木村君と僕を乗せた車は435号線を北上し、山口県は下関市の特牛(こっとい)港を目指していた。






 

 

僕はこの日を首を長~くして待ちわびていた。というのも、実は、僕は今日本から遠く離れた海外の大学に進学している。海のない国で、釣り文化の浸透度も低く、あまり魅力的なターゲットもいない。まして勉強に追われる毎日の為、近所を流れる川に釣りに出かける時間すらない。日々FacebookやTwitterに流れてくる爆釣報告に、唇を噛み、異国の地で悶々とした生活を送っていた。




そんな最中、冬のテスト日程をうまくやりくりして、1ヶ月ほど帰国できる事になった。当然、帰国の第一目的が釣りになる(本当の目的はもっと別)そこで有志を募って角島沖、響灘でのヒラマサジギングを計画することとなった。


 

フィールドを角島沖に設定した理由はいくつかある。今回の同行者は19歳の中川君と20歳の石田君・木村君と22歳の僕の4人。平均年齢約20歳のオフショアジギングとしては極めて異例の釣行となった。本当は玄界灘でマグロ・寒鰤を狙いたかった。が、夏に稼いだバイト代ではキャスティングタックルを用意するまでには至らず、高速代・乗船代も含めると非常に高い遠征になってしまう。もっと大学生の身の丈にあった場所を探していた。広島からの距離も比較的近く、乗船代も一人1万円とヒラマサジギングにしては破格で、僕の思惑にピッタリと当てはまるフィールドが角島沖だったのである。

 

 

 



 

 

深夜2時に港に到着。朝まで仮眠をとる。船長の到着で目覚め、挨拶をすませ、船に乗り込む。朝6時半に港を出港。今回はがまかつのテスター野口船長の操船する景漁丸にお世話になった。年末からの前情報では「非常に渋い」との事。不安を胸に抱えての出船となった。






 

港を出てしばらくすると、うねりが出てきた。前日までは時化が長く続いたこともあり、風の割にはうねりが大きく感じられる。瀬戸内海のピッチの小さい波とは違う、ジェットコースターのような波に慣れていない石田君と木村君は、寝不足が祟った事もあり、ここで既に船酔い。暫く苦しい状況を強いられる事になる。

 





 

 

船は角島沖随一のポイント、汐巻を通過。ここ最近あまりいい話を聞かないらしい。暫く走り、沖合の80メートルラインで船を止め、ドテラで流して行く。




今回は、MC WORK’S REAL FUSION 651LRにキャタリナ 4500 PE3号リーダー50ldをセットした、ヒラマサ狙いとしてはライトなタックルで臨んだ。






ガタージグR170gを先発としてセットし、釣行開始。右舷からジグを落とす。

 



「底から20メートルほどベイトの反応、いいかも」と船長からのアナウンス。期待を込めてジャークを入れる。が、どうもしっくりこない。釣れる時というものは不思議なもので、何かしらの雰囲気をロッドに感じるものであるが、全く”ソレ”がない。この違和感をそのままにせず、ロッドから手元伝えられる情報を元に探り、その時の状況にアジャストしていく事がジギングの醍醐味の一つだと僕は考える。




 

アレコレ考えながら、ジグをガタージグのR170gからR150g S180gへとローテするが、どうも妙な引き重りがする。 マサムネ155gへと変えた所で、やっとコレかな?といった感触を得る事が出来た。






時を同じくして、船中で魚からのコンタクトが見られ始める。瀬の肩の部分でのバイトが集中しているのを見て、流し始めから丁寧に集中して攻める。







木村君・中川君が最初の一匹を釣り上げる中、底から丁寧にワンピッチを10回ほどした所で僕にもファーストヒット。久々の魚の引きに自然と笑みが溢れる。



瀬戸内での定番パターン、ジャカジャカ→ストップや早巻きとジャークのコンビネーションで出る小さなバイトを掛ける釣りも非常に面白いのだが、ワンピッチを繰り返すロッドが「ドンッ!!」と止まる釣り、これこそジギングだと僕は思う。そこまで大きくはないけれど、ゆっくりと”らしい”ファイトを楽しむ。暫くして水中に鰤とは違う鮮やかなイエローラインが見えた。最後のひと暴れを終えた後、無事に船長の構えるネットに収まった。

 

   


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小ぶりながらも綺麗なヒラマサ。「日本に帰ってきてよかった~!!!」と一安心。一先ず僕の釣行としてはここで完結。この一匹の為に日本に帰ってきたと言っても過言ではない。



 



暫くして、船酔いで苦しんでいた石田君もファーストフィッシュを釣り上げ、全員安打となった。今回の釣行を企画したのは僕だったので、取り敢えず全員が目的の魚を釣り上げた事に何よりも安心した。




 

さて、次の一匹を、とジャークする手にも力が入る。釣りというものは不思議なもんで、特にジギングにおいては顕著だと思うのだが、一匹を釣り上げると、釣れた時の感触を元に「あ~~釣れそう」なんて思いながら釣りをする事が多い。実際にそんな感覚を持って釣りをしていると、それが次の釣果に繋がる事も多いと感じる。

 

 

が、この時はそうは簡単に問屋は下ろさず、釣れそうな雰囲気を意識の中に持ちつつ釣り続けたが、暫く全く反応のない時間帯が続いた。慣れないウネリと寝不足で石田君と中川君はここでダウン・・・。見かねた船長は移動を決断。少し沖合の水深100メートルラインへと船首を向けた。










 

この時点でこの日の魚の反応の仕方から、余りラインの角度を付けない方がいいと推測。次のポイントは水深も深く反応も底の方に出ているので、短い距離で強く魚にアピールするのがいいかもな~と考え、フォールスピードも速くアピール力の強いBLISS アスナロ2 200gをセット。加えて、先のポイントで何度かスレがかりが見られた事から、活性はそこまで高くないと判断。一度のバイトを確実に掛ける為、非常に軽く抜群の針先の鋭さを持つヴァンフック ジゲン3/0をツインでセットしたアシストフックを装着した。

 



アスナロ2は横から見るとフロントに、上から見るとリアに重心がある独特なフォルムをしている。実際の重心はフロント側にあって、扁平なヘッドで大きく水を受けつつヒラを打つ。だが、フォール時はリアから綺麗に落ちていくように設計されているので、ただワンピッチジャークを繰り返すのみではまっすぐ上がったジグがリアからそのまま落ちていく直線的な動きになってしまう。このジグに限ったことではないが、竿をどう復元させてどの加速度を持ってジグを飛ばすのか、飛ばした後どうヒラを打たせて、次のジャークまでどう持っていくのかに意識を集中させて、ジグを丁寧に操作する。






このポイントは多魚種が狙えるという事もあって、木村君は鯛ラバヘッドを使用したオリジナルディープテンヤに海エビを付けてお土産狙い。コレが中々調子が良いみたいで、アコウ・マハタ・アヤメカサゴと多種多様な根魚が次々に釣り上がっていく。丁度良型のアコウがネットに収まったのを、横目で羨ましげに眺めていた時、着底からの3ジャーク目、ズドンという感触と共に651LRが絞り込まれた。

 







5キロ弱に設定したドラグが「ジッ、ジジッ」っと鳴る。ボトムで掛けた為、あまり走らせる事は出来ない。ラインもPE3号の細仕掛け。これ以上ドラグを閉めたくはない。脇挟みの状態からショートポンピングで竿を下げた瞬間にリールの回転速度を上げ、リールのトルクを使って短い時間で少しでも魚との距離を詰める。リールにパワーがあるとこの動作が非常に楽で助かる。竿を立てて反発力で魚を浮かせるよりも、ショートポンピングで魚の頭をこちらに向けた瞬間にリールのトルクでファイトするこの方法の方が、慣れているという事もあってか、効率的でバレも少ないと感じる。



 

 

651LRはMC WORK’Sの提唱するローレスポンスジギングを具現化する代表的なロッド。1パワー表記ではあるものの、バッド部分は意外と太く、竿を立てるファイトスタイルこそ取れないものの、少し高めのドラグ値でバット部分でしっかりと引きを受け止め、魚のヘッドシェイクには柔軟なティップが追従してくれる。

 

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ボトムでの攻防を乗り切り、無事に底を切ったものの、ドテラ流しで水深は100m。しかも相手は海のスプリンター。最後までよ~く引く。非常に疲れる(笑)徐々に腕に溜まる乳酸に苦笑いしつつ、たっぷりとファイトを堪能させてもらった。ネットに収まったのは今日一番の魚。






 

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よく肥えた良い魚。「正直厳しい」との前情報の中、大満足の1匹。2本の針はカンヌキと上顎にガッチリとかかっていた。フック・ジグの選択からアクションの付け方、考えた事が結果として現れるのは何よりも嬉しい。






 

この1匹に触発されたのか、石田君も中川君も起きてきて釣りを再開。丁度このタイミングで時合が訪れた様で、ヒラマサ・根魚がコンスタントに当たり始める。先の一匹に気を良くした僕も、この波に乗ろうと丁寧にジグを泳がせる。すると、底から10回ジャークを繰り返した所で再び竿が絞り込まれた。

 

 




 











・・・・重い。ドラグこそ出ないものの、ひたすら重い。かと言ってそんなに首を振る訳でもなく、走る訳でもない。今まで経験した事ない引き。

 

 






 









 

 

ん?



















 

「いや待てよ。この引きは何処かで味わった事がある。夏場の広島市内河川、橋の上からた〜くさん見えるあのステルスの引きにそっくり・・・。でもここは日本海。もしやもしや・・・」

 










ここで急にファイトに慎重になり始める(笑)


 













仮に相手が思い浮かべるソレだったとしても、ヒットしたのはボトムから10ジャーク目。ちょっと上過ぎない?ちょっと重すぎない?何より軽いフックに合わせたアシストライン、切れない??なんて事を思いながら、いよいよリーダーまで来た。未だ魚は見えず。ドキドキとワクワクを胸にとうとうランディングまで1メートルを切った所で、それまでは海の青さに隠れて見えなかった大きな茶色いシルエットが姿を見せた!

 






















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どーーーん。やっちまった~~。出来過ぎ。撃沈覚悟で出船して、良型ヒラマサに超肉厚座布団ヒラメ。今まで勉強頑張ってきてよかった~。釣りの神様、微笑んでくれてありがとう。でもちょっと出来過ぎじゃない?ちょっと怖くない?帰り道事故ったりしない??

 




何よりボトムから10メートルも上で、そこそこ速くジャークしていたジグにヒラメがアタックしてきた事が驚きだった。アスナロ2は丸呑みされていて、アシストフックは口の奥にかかっていたものの、アシストラインは奇跡的に無傷。正直、運で釣れた一匹だったと思う。

 





この1枚に船上は大きく盛り上がり、羨みの視線を多く浴びたのは言うまでもない。このポイントではこの後暫くダラダラと釣れ続き、十分なお土産も確保できた。程よい時間となった所で最後のポイントに移動。ここではよく肥えたメジロを数本釣り上げ、納竿となった。

 

 










船全体での釣果はこちら。

 

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渋い渋いと言われながら、4人でこの釣果。青物から根魚まで名実ともに5目釣りとなり、大満足の釣行となった。でも聞くと「春のハイシーズンは船にある4つの生け簀が埋まるほど釣れる日もある」との事。また春にこのフィールドに戻ってきたいのは山々ではあるが、残念ながら僕は当分春に日本にいないので、3人にその夢を託した。



的確にポイントを選択してくださって、朝早くから夕方まで長い時間を走り回ってくださった野口船長、本当に有難うございました。また必ず伺います。

 

 

 

 

 



今までオフショアで釣りをする時は、乗り合いの船で高いタックルを揃えたおじさん達の中で、一人ポツンと釣りをする事が多かった。

初めてジギングに行ったのは13歳の時。
タックルは初代キャタリナ63S-3/4にフリームスJ4500。

お世辞にも使いやすいとは言えないそのタックルを、それから8年間、毎回毎回使い続けた。合計2万ちょいの時代遅れのタックルを1セットだけ船に持ち込んで、10万オーバーのタックルを何セットも船に持ち込むおっちゃんらと肩を並べて釣りをする。その中で釣り勝つのが最高に楽しかった。
でも、とうとう自分もあのおっちゃん達の世界に片足を突っ込んだ。突っ込んでしまった。今回同年代で集まって遊漁船をチャーターしてジギングができた事は、何よりも嬉しかった。

また皆で集まって一緒に釣りをする事を約束し、それに向かって今日も日本から遠く離れた地で悶々とした1日を過ごしている。

 

 














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ヒラメ美味しかった〜(笑)

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