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村岡昌憲
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▼ 10月 4日 裏磐梯キャンプ
- ジャンル:釣行記
- (life-遊び-)
- Stage5 -~ 裏磐梯秋元湖キャンプ ~
磐梯山の麓に多くの湖や沼がある。その中で3番目に大きいのが秋元湖だ。
3年前の6月、僕は初めてここを訪れ、そして魅せられた。
そして今回、仲間を引き連れ、また訪れたのだ。
1匹1万円以上の毛ガニ。大きいし生きている。こいつが今夜の主役。
渋滞している東北道を避け、常磐道をひた走ること4時間。
そこには大自然があり、そして感動があった。
東京に住み、働く僕らが決して忘れてはいけないものがここにはある。
テントやテーブルなどの設営が終わる頃には、すっかり辺りも暗くなりかけていた。
カニの料理法は基本的には蒸すか焼くか。
師匠曰く、茹でるのは愚か者の結論である、と。
毛ガニをざっと洗い、関節に塩をたっぷりとまぶしつける。
鍋の底に湖のほとりで拾ってきた丸石を並べ、たき火の火に掛ける。
湯気がモウモウと上がってきたら、カニをその上に並べて蓋をする。
蒸気で蓋が持ち上がらないように上に重い石を置いて、30分待つ。
茹でると流出してしまうカニの旨みが、蒸せば殻の中にとどまる。
北海の繊細高尚な味がここ裏磐梯の湖畔に突如出現する。
1ハイ、1万円以上する毛ガニの破壊力は凄まじいの一言。
持ってきた赤ワインも日本酒もみんな飲み干す。
すっかり満腹したあとは、みんなでたき火を囲む。 秋元湖の夜の冷え込みは予想以上に強かった。
厚着して、たき火の火に当たりながら熱燗を飲む。
これ最高。
この湖畔には電気も来ていないほどなので、動力というものがいっさい無い。
人工的な音がいっさいしない上に、今夜は風もなかった。静まる湖畔。
テントに入ってシュラフの気持ちよさを味わいつつ、耳を澄ますと虫の鳴く音と風のざわつきだけしか聞こえない。
と、言いたいところだが、今回はいびきのうるささでは、覇を競う近田君とふ~じが一緒。
この2人に先に寝られてはかなわない。僕は早めにテントで寝る。
疲れもあったし、酒のせいもあったのだろう。
僕の心配は幸いにも当たらず、翌朝まで一度も起きることなく寝ることになる。
放射冷却で冷え込んだ空気に、湖面からモウモウと湯気が立ち上る幻想的な夜明け。
外に出ると、シーマガ近田とふ~じが互いのいびきがうるさいと、罵り合っていた。
ふ~じ 「昨日は近田のいびきがうるさくて、全くと言っていいほど寝付けなかったぞ。」
近田君 「何を言う、お前の地響きの様ないびきに比べたら、俺のいびきなんて鈴虫の鳴く音みたいなもんだ。」
ふ~じ 「あんなうるさい鈴虫がいてたまるか!そんな虫、俺が踏みつぶしてやる!」
近田君 「なにをっ!?!」
とりあえず、放っておいて朝飯のトーストを口に放り込んだら、キノコ採りへ行く。
大自然の中、嫌なことも仕事も時間も、みんな忘れて一日をのんびりと過ごす。
昼近くになって、サイクリングに行く。
目指すは秋元湖の源流、中津川。
片道で30分。気持ちいい景観の中、MTBを操る楽しさを味わいながら山道を疾走する。
ため息をつくような美しさ。
そして一日が終わる。
磐梯山の麓に夕日が溶けていくのを眺める。
写真の山が磐梯山。左手には安達太良山。
目の前には湖。そして紅葉。
何もかもが美しく、 そしておおらかに存在する。
朝食と昼食はとてもシンプルだったので、夕飯はまた豪華主義。
レシピは岩手牛のすき焼き。
すき焼きは割り下が命。
しかし、 キャンプの時に時間を掛けて作るもんではない。
浅草今半の店先で売っている極上割り下。一瓶1000円。
これがあれば、誰がどうやっても旨いすき焼きができる。
もう、奪い合い。
簡単でご飯も進むし、秋のキャンプには最高の料理かも。
そして就寝。みんな、一日中野山を駆けずり回ってヘトヘトだった。
昨日以上に静まりかえった裏磐梯の湖畔で、
二人のいびきだけが遠くまで響いていただろう。
翌朝はキノコ雑炊。
山で採ってきたキノコをおもむろに刻み、煮込む。
ふ~じが猛反対。
キノコは危ない、と。
確かに危ないが、臭気判定士の嗅覚では大丈夫だ。
一つだけ幻覚症状が出ると記されていたキノコがあったので、せめてそれだけでも入れたい。
ふ~じを説得する。
僕 「幻覚見られたら、フカキョンと●△できるかもしれないんだぜ?」
ふ~じ「おいおい、幻覚ってのはな、願望じゃないんだ。」
僕 「1メートルのスズキがバホバホ釣れるとかじゃないの?」
ふ~じ「無数の毛虫が体中の毛穴に入っていくんだよ」
僕 「やめよう!」
ということで、朝採りキノコは全員の猛反対にあって却下。
うまそうなもんもあったんだが・・・。
赤だしの深い味がキノコの秋らしさを倍増させる。
そしてまた一日遊ぶ。
また、来年。必ず。
そう思って東京へと向かった。
- 2002年10月4日
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