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関根崇暁
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▼ あの時の秋色を探しに (渓流釣行)
- ジャンル:日記/一般
- (BlueBlue, 嗚呼釣人生, 渓流ルアー釣り, 淡水 ルアーフィッシング)
少しづつ蝉時雨も静かになりつつある夏の終わり。
そして、それは秋の始まりでもある。
今日は朝からしとしとと優しい雨が降り注いでいた。
あの渓へ行かなくちゃ。
子供の送迎が終わり9時前、二学期が始まる小学生の息子を迎えに行くまで約3時間、2時間の釣行時間に賭けてみる事にした。
古い渓流道具の埃を叩き車のトランクに詰め込み麓を目指す。
目指すは筑後川水系の釣り人から忘れ去られた渓。
セカンドギアからサードへ叩き込む、2ペダルのマニアルモードが僕の逸る心に答えてくれる。
路肩の駐車スペースに車を停めると、履き潰しては直しを繰り返した10年モノのウェーディングシューズに足を通す。
山の空気を胸に深く吸い込みゆっくり吐き出すと。
渓へ降りる踏み痕を辿り、流れを前にする。
此処から数時間は僕と渓との時間だ。
せせらぎの音に時折雲の切れ間から太陽が顔を出す。
使い慣れたミッチェル408、ブローニングのサイラフレックス。
スプーンとミノーを少々。
色づいた落ち葉がやがて秋が来る事を知らせる。
今年は雨が多い。
まるで梅雨が空けないまま秋雨になった様だ。
山は水を抱え、川になり徐々に流す。
何時もの時期に比べると、水量が多く水勢が強く、川岸まで水が来ている。
遡行には少々注意がいる。
若い頃の遡行スピードからすれば半分以下に落ちたけれど、まだまだ現役で行けるつもりだ。
渓流ルアーの基本はアップストリーム。
くもの巣とオーバーハングした木々を避けて、小さなスポットへルアーを置いて行く。
そしてこの釣りに6フィート以上のロッドは必要無い。
僕は秋の魚には一回り短く柔らかいグラスロッドの4フィート半を選ぶ。
理由は夏の間にブッシュが茂るからである。
この30年前のタックルにはSICもチタンもマグネシュウム使われていないけれど、作り手の職人気質という情念が込められている。
シャープなキャストは出来ないけれど、滞空時間の長いキャスティングは視力の落ちた僕には丁度いい。
夏の名残り。婚姻色の強く出た雄のカワムツが挨拶してくれる。
まだ秋色のヤマメに逢うには早すぎたか・・・
核心部その1。
遡上を開始したヤマメが増水を待ち秋に付く場所はこうしたところ。
左のほうが底石が大きめ、右は一見良さそうだが底が砂礫である。
迷わず、左ブッシュスレスレのレーンにシンキングミノーを乗せて来るとヒット。
優しい顔をした雌のヤマメである。
秋色には程遠いが少し赤みが出てきているか?という印象を受けた。
好条件の優しい雨を待った甲斐があった。
次いでシーライドミニ3gで新子、とはいえ育ちは上々、これが来年の成魚だ。大きくなってまた何時か。
今回は一つのテーマーがあった。
それは渓流のスプーニングである。
5グラム以上のスプーンが秋、深い淵に沈んだ大型のヤマメには効果的であるのは、昔は常識だったけれど、最近は使われているというのを聞かない。
まだ専用ミノーなど無く、渓流と言えばスピナーだった時代、スプーニングを極めた玄人だけが当たり前の様に大物を仕留めていたものだった。
僕はその時代の名人から手解きを受けスプーンの使い方を学んだ。
以前も書いたけれど、このブローニングサイラフレックスはその師匠からの頂き物。
年に一度はこの竿と共に釣る事で、一緒に釣りをしていた古き良き時代を忘れない様にしている。
僕という釣師は一人で上達した訳では無い。
沢山の素敵な釣師との出会いと別れを積み上げて今に至るのである。
タイムリミットまで残り10分、最後にスプーンで釣ろう。
そう決めると、年季の入ったスプーンを付けた。
コータック最後の逸品コンデックスⅡ、スタンダードな5430モデルを進化させたスプーンだ。
スムーズに底波を掴み尺ヤマメを釣る事も容易にしてくれる。
ラストに遡行不可能な大きなプールの岩盤スレスレにキャスト。
もうダメか?出ないかと諦める一歩手前。
これで出なければ諦めようと、基本通りの底波に送り込む。
リフトした瞬間にスプーンは重量感に包まれる。
ヤマメだ。
それは探していた秋色のヤマメだった。
その時はそれが何かはわからない。
数十年後に気付く事は沢山あるもの。
やっとの思いで懐かしい色に出逢えた時、僕は懐かしい様な新鮮な様な、不思議な気持ちに満たされて、神秘的な杜の色に包まれて行く。
このロッドを渡された日から10数年が過ぎた。
気が付けば僕は出逢った頃の師匠の歳になっていたんだ。
あの頃、丁寧に伝えて頂いた何かを僕は今、自分のものに出来ているのだろうか。
あの秋、若き僕が越後の本流にて瀬の尺ヤマメを釣る事が出来たのも師匠の釣りと出逢えたからに他ならない。
まだ血気盛んで我武者羅に釣りをしていた時代の僕は師匠にはどう見えたのだろう、釣場で声を掛けて頂いた事に感謝である。
道端に咲き始めた一輪の秋桜。
僕はその小さな存在に気が付く歳になった。
多くの人は存在に気付かない。
哀しいけれど、移り行く季節の中で、変わり行く時代の中で僕等は生きている。
また来年、懐かしい秋色を探しに来よう。
急に現実に引き戻された僕は、我が子の待つ場所へ急ぎ渓を後にした。
- 2014年9月1日
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登録ライター
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