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瀬の中の主

  • ジャンル:日記/一般
その日は晴れ渡っていた。
 
秋晴れとは正にこの事。

空の青に吸い込まれそうになりながら、狙いの瀬へと歩みを進める。
 

ふと気付くと、瀬へと歩き近づけば近づくほど強くなる向かい風。

最初は歩き、汗ばむ体に心地よいと感じていた。



しかし、何やら違う雰囲気を途中から感じた。


私を拒もうとしている・・・・・・・



向かい風はやがて、横風となり風が巻き始めた・・・・・・・


冷たい風と、暖かい風が交互に私に吹き付ける。


これは天候の急転を意味していた。

時間は無い。


 

遠くから、黒い雲が早いスピードでこちらへやってくる。



たどり着いた時は、風と不穏な雲の下に私は立っていた。

風は私がルアーを投げ入れたい場所へは入れさせまいと、縦横無尽に吹き付ける。


一瞬のタイミングだった。


ふと、風が止んだ時、初めて私はルアーを投げ放った。



綺麗な放物線を描き、静かに水面に波紋を立てた。
ラインスラッグを思い通りにメンディングでき、最高のプレゼンテーションが出来た。


後は鱸次第。


”彼”は、静かに現れた。


ずっと待っていたはずなのに焦りはせず、ゆっくりと静かに獲物に近付き、必要な分だけ口を出し、静かに吸い込む。


捕食音、波紋、どれをとっても「控えめ」と言う言葉が当てはまる、そんなバイトだった。


そんな、目から受け取る情報とは全く違う重量感。
大きくしなるロッド。

流芯から離れまいと、泳ぎ食らいつく彼。

一瞬時が止まったようだった。



それと同時にポツポツ私に雨が打ちつける。


根負けした”彼”が寄って来た時には、雨は私をすっかり濡らし、それでも飽き足らず、肩や背中、頭に激しく打ち付けていた。


そんな中、大きな頭を激しく振り、最後の抵抗を見せた”彼”は、この瀬の主であったに違いない。





 






 
3尺を越えるも一切釣られた跡が無く、綺麗な魚体。


神々しさをも感じる魚体であった・・・・・・・・

しかし、風雨によりハッキリと記録に残す事はもはや不可能な状態だった。







主は怒っていたに違いない。

頭上では雷が鳴り響いている。











私はすぐにリリースした。
 
残ったのは慌しく私が動いた様子だけ。


そして、車に戻るころ、何事も無かったのように空は晴れ渡り、穏やかな日に戻っていたのであった・・・・・・・



あの魚は”主”だったのか・・・・・・・

はたまた”神”だったのか・・・・・・・・・・








 
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