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岡林 弘樹(オカバ)

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カリマンタン釣行記Vol11「記憶」

いよいよ終盤戦のカリマンタン釣行。
フラワートーマンはご機嫌に釣れてくれるが、肝心の青色の個体は未だに現れない。


残り日数も僅か。


ナニかを起こしたい。
そう思いながら、湿った空気の朝を迎えたのだった。

































カリマンタン釣行記Vol11「記憶」
























翌朝。
どこで釣りをしようか悩んだ結果、初日に訪れたA湖でやってみることになった。
A湖を選んだ理由としては、やはり今まで青色個体の実績が高いという点にあった。


ツアー日程も残すところ1日半。
明日の昼には移動しなければならない。
そのことを考えると、実際は今日で最終日のようなものだ。


いよいよラストスパートをかけないといけないようだ。


ならば、少ない可能性に賭けていくしかないと思った。








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ブラックウォーターの支流を登り、湖を目指す。
 
今日はビックリマンとペアで船に乗っている。

日本でも外国でもコイツと釣りに行くなんで、昔は思っても見なかったな。


トゲトゲの植物に絡まれながら支流を登り、ようやく湖が見えてきた。





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初日以降、訪れていなかったA湖だ。
青空とブラックウォーターで彩られた風景が、今日も目の前に広がっている。


やはり何度見ても、この景色は格別だ。
 




















先日までと同様に船を二手に分けて釣りを開始する。
時間が経つにつれ、空には太陽が高く昇り・・・。



日干しの完成である。
オワタ。
合掌だ。



船上は灼熱と化していたが、無心(放心)でキャストと続ける。











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茶色系のフラワートーマンは散発的に釣れてくれる。
やはり連日に比べて魚の反応は薄く感じてしまう。
湖も違うのでまぁ当然の事なのだが。







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こちらもよくある発色の個体。
十分に美しい魚である。



こんなのが水中にウヨウヨいるなんてマジでユートピアですな。






そこから。
手を変え、品を変え、色々と試すものの、青色の個体は現れない。​








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夢中でキャストを続ける。灼熱だが、集中力は途切れない。
 


投げ続けるが、流石にA湖は甘くない。
自分でも驚くほどに早く午前中が終了。湖畔にある小屋にて休憩タイムとなった。






















ある時Uさんが「ウツボカズラが見たい」と言った。
船に同船していた少年にそれを伝えると、近くの茂みから探し出し、一つ取ってきてくれた。






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僕自身、この植物を見るのは初めてだ。
中にはまだ消化液が残っており、溺れた虫が沢山浮かんでいる。



いやぁ。
怖すぎだろ。


登れない穴に落ちたらさ、なんかどんどん身体溶けていく液でジワジワやられるんよ?
いっそのことパクっとイってほしいよね。



しかしこれも自然の芸術だ。
消化液を綺麗に洗えば、この植物はコップとしての使い道もあるとか。


























 
のんびりと昼食タイムを過ごし、午後から釣りを再開。
二手に分かれ、先ほど来た方向とは逆に船を進めていく。
 


時刻は2時を過ぎただろうか。
徐々に朱色に染まる日差しを、黒い水面がギラギラ照らし返している。






暑い。
そして、魚からの反応は無い






無言でキャストを続ける。




自分が出す音、自然の音。
森の獣の鳴き声。
着水音。




そんな音のひとつひとつが鮮明に聞こえる程、静かな空間だった。





この感覚。
この空気。




釣り人なら、肌で感じるモノがある。





まぁ言えば、それらに根拠は無い。
しかし、身体の芯に残るのは得も言われぬ緊張感だ。



知っている。
忘れられない瞬間が訪れる空気だった。



















「こういう時ってなんか起きるんですよね。」
とビックリマン高田が言った。

彼も同じ心境だった事に少しだけ驚く。
























ソイツは突然やってきた。


「ゴンッ」と、いつもと変わりなく伝わったバイト。


そこからは何度も繰り返したやり取りだ。
特に慌てること無く、慎重さを欠いたまま魚を浮かす。



しかし、その魚を見て僕達の冷静は一瞬で吹き飛ぶことになった。




「青だ!!!」




即座に臨戦態勢を取る。
とは言ったものの、既に魚は浮いてきており特に頑張ることはなかったが。笑




そのまま魚が無事にネットインされた時。
歓喜と狂気が入り混じった様な雄叫びを上げてしまった。




出た。遂に出た。待ち焦がれた、本命の青色だった。





















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ブルーバックの魚体。
散りばめられたオレンジの模様が息を飲むほどに美しい。







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顔つきは他のフラワートーマンと同じだ。
何故、お前は青色で生きようと思ったんだ?









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この魚に会うためにここまで来たんだ。






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眺める時間も程々にし、弱る前にリリース。
黒い水の中でも、格段に映える魚体だった。
ボガグリップを開き、そこからスルリと抜けた美しい魚体は、真っ黒い湖の中にゆっくり消えていった。
 








「終わったぁぁぁぁぁ。」
脱力し、座り込むしかなかった。


太陽の朱色は濃さを増し、相変わらず水面を照らし続ける。


もう悔いはない。
達成感しかない。
出会った人達、生き物、全てに感謝だった。














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そこからはUさんとも合流し、のんびりと談笑フィッシングを楽しんだ。
(これはUさんが掛けた魚が潜ってしまい、それを水中にランディングしにいく様子。人間ランディング。笑)









今日もこうして一日が終わっていく。

















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夕日に染まるブラックウォーター。
どの時間帯でも、最高の景色を見せてくれる。




満足だった。
カリマンタンの奥地で、大いに夢を見させてもらった。
帰路についた船の上、ぼんやりと青い光景を思い出していた。


























カリマンタン釣行記Vol11「記憶」~終~
次回へ続く・・・。

 

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