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岡林 弘樹(オカバ)
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▼ パプアニューギニア遠征⑤~One Last Time~
「明日、釣りに行くガソリンが無い。」
釣りから帰ってくるや否や、村人にこう言われた。
確か三日間釣りさせて欲しいと言った時にガソリンは足りるって言っていたような気がするのだが・・・。
まぁ、こんな些細なことで悩んでも仕方がない。
明日、朝一番に船を出すには今日中にガソリンを手に入れなければならない。
今から街にガソリンを買いに出ても、帰ってくるのは夕方になりそうだが・・・。
迷っている暇は無い。
ガソリンを手に入れるためにマコちゃんと街に行く事にした。
村人に、街に行きたいとお願いすると渋々OKしてくれた。
その際に街まで着いてきてくれたのが彼女。
写真右
セロル(21)
ピチピチパプアンガールだ。
良く言えば、これは若いパプアンガールと一緒に行くドキドキドライビングなのだ。
セロルは街に着くや否やホットドッグみたいなのとファンタを買い与えろと言ってきた。
もうなんかすごい。
でも村から買い物に付いて来てもらっているので文句は無い。
近くのガソリンスタンドでガソリンを手に入れた後、酒屋でビールを買い込んで、村に戻るトラックに乗り込んだ。
「ウィスキーおごってくれたら運賃タダにしてやるよ!」と言ってきた運転手にもウィスキーを奢ってあげた。(マコが)
用事も済ませた。
夕方になると危険らしいので早く村に帰りたい。
そしてビールが飲みたい。
走り出したトラック。
突然、道端から華奢な男性が飛び乗ってきた。
一瞬チンパンジーかと思った。
というかしばらくチンパンジーだと思ってた。
それは人間だった。
理解した。
そして我々を発見するや否やいきなり絡んできた。
「my friend!! my friend!! mmmymmy!!」
言葉がおかしい。
というか挙動も表情もおかしい。
瞳孔が小刻みに揺れて焦点が合ってない。
完全にキマっている。
手に持ってる缶に夢(薬物)がいっぱい詰まってるとお見受けした・・・。
コイツ面倒くさそうだなぁ。
そう思った僕はひたすらソイツをガン無視した。
そしてどうやらパワータイプではなさそうだ。
危害を加えてくる様子も無いので警戒しつつ放っておくことにした。
その結果、僕がガン無視することによってマコがひたすら絡まれていた。
可哀想だった。
マコは笑顔を失った。
僕は「まぁそんな事もあるさ頑張れマコ」と軽く微笑んでガン無視した。
帰りのトラックは途中でパンク。
パンク修理している間に辺りは真っ暗に。
結局暗くなっちゃったよ!
無事にトラックは走り出したが他の人を降ろすために色々な村に寄るので結構時間がかかる。
途中寄った村にて。
とある家のベンチを借りた。
この村、電気もTVもあるんですけど。
数キロ離れるだけでこの文明差。
運転手は帰り道でウィスキーを飲み始めた。
暗い道で、しかも幅がギリギリの橋とか渡るのに飲酒運転とかなんかもう最高にクールだ。
実質パプアに来て一番怖い体験かもしれない。
街を出発して数時間。
ようやく我々の村まで辿り着いた。
あとチンパンジー、もとい薬物中毒者。
彼は結局トラックの荷台に乗ったままだった。
散々色んな場所で色んな人が引きずり降ろそうとしたが動かないのだ。
我々のステイする村まで憑いて来てしまった。
面倒くさい。
しかし、キマリ過ぎたのか「スリーピィ・・・」と朦朧となっている。
我々がトラックを降りたら、トラックはそのまま彼を乗せたまま走り去って行った。
なんだったのか。
彼はその辺に棄てられるのだろうか。
すごい人生だ。
彼の安否には興味すら湧かないが、人間というものはシンプルなんだなと思ってしまった。
村に帰ると晩ご飯が出来ていた。
ハタのココナッツミルク煮とご飯。
米が最高に有難い!
ココナッツミルクは炭の味がするけど、空腹が満たされる感覚は幸せだ。
買ってきたビールを飲みつつ、南国の夜は更けていく。
月明かりが綺麗な夜だ。
カエルの鳴き声が心地よい。
明日が最後の釣行だ。
悔いだけは残したくない。
翌朝。
いつも通り、日の出直前に目が覚めた。
天気は快晴。
薄く明るみ出した空は徐々に赤燈へと変わっていった。
今日が最後か。
ぼんやりと異国の朝にうつつを抜かす。
マコはまだ寝ている。
隣の家では、豚を威嚇し追いかけていた犬が村人によってボコボコにされていた。
この村では犬<豚であり、村人はその法則を崩さない。
日常風景だ。
生まれ変わってもこの村の犬にだけはなりたくない。
朝ご飯を食べて、身体と釣具の支度を済ませる。
朝露で湿ったアヴェントゥーラを握った後、橙の世界を噛み締めるように僕達は歩き出した。
いつもの場所に船は用意されていた。
最終日のクルーは4人。
しかし、今日はいつもとは違う。
「どこに行きたい?」
初っ端から行きたいエリアを決めさせてくれるらしい。
とはいえ、エリアなんてよく分からない。
でも、とりあえず行きたいのは川の上流。
前日までに踏み入れていないエリアだ。
そして船を流すのは徹底的に川のアウトサイドでお願いした。
インサイドで水深が浅くなるとどうもパプアンバスの魚影が少なくなる傾向にあるような気がしたからだ。
そして浅いとハタが多くなる。
前日までに得たもので、なんとなく見えてくるビジョンがあった。
迷わず行けよ。
そう言いたげに船は力強く進んだ。
海は一直線に水平線を描く。
何処までも広く美しい直線の先に想いを馳せる、ここ数日の日課だ。
先日よりも上流で船は止まった。
止まった矢先、早速マコのロッドが曲がった!
開始数投で綺麗なマングローブジャック。
いきなりの魚信に心が高まる。
今日はいい日になりそうだ。
マコにミヨシを交代してもらって釣りに集中する。
しばし川の流れに乗せて船を流した。
倒木があり、その下にルアーを入れて3回転。
ゴツンッ!!
喰った!!
瞬時にファイト体勢を取る。
昨日の魚はこの瞬間にバラしてしまった。
同じことは絶対に繰り返したくない!
色々な障害物に潜ろうとする魚を必死に止める。
浮いた魚が水面で突進を繰り返す!
もう最高に楽しい!
僕はこの人生で一番楽しい瞬間と出会うのが辞められない。
景色や感覚がスローになる瞬間がたまらなく愛おしい。
この瞬間があるから、色んなものが報われるんだ。
力尽きた魚を、マコがボガでランディングしてくれた。
本日のファーストパプアン!!
やったぜえええええ!
8lb弱(ボガ測定)の小中型だったが、今回の旅では最大サイズだ。
しかしよく引いてくれた。
サイズ関係無しに嬉しかった。
ルアーには歯型が生々しく刻まれていた。
ずっと釣り続けたらどうなってしまうんだろう。
家宝がまた一つ増えた。
マコと釣り座を交代した矢先、またもマコが掛ける。
ボートの手前で下に猛突進している。
パプアンだ!
ボートの手前で掛けたので、正直サイズが分からなかった。
浮いてきてビックリした。
デカイ!
船上でドタバタになる日本人2名!
落ち着いているパプア人が4名!
落ち着いて~といいつつ俺も落ち着いてない。
ランディング係はもちろん僕。
プレッシャーで泣きそうだ!
しかしまぁ、ランディング程度なんでもない!造作も無い!(震)
正直プレッシャーで泣きそうだ!
いやほんと人の魚掴むときって緊張するよね・・・。
マコが浮かした魚が弱ったのを見計らい
なんとか無事ランディング完了!
早くも今旅の最大サイズが更新されちゃった!www
13lbのパプアン!
このサイズになると縞模様が消え、貫禄が出てくる。
顔つきにも威厳がある。
いやほんと、ランディングできてよかった・・・(漏
ひと通り落ち着いた我々。
マコと何度目になるか分からないハイタッチをした。
滑り出しは最高だ。
この調子で行けるのか最終日。
いや、絶対行って見せるぜ最終日!
つづく
お付き合いいただきありがとうございます。
前回更新から2ヶ月近く空いてしまいました。
すみません。
もうすぐこの釣行も終わりです。
ちゃんと全部書き残せそうでよかった。(漏
次回もよろしくお願いいたします。
釣りから帰ってくるや否や、村人にこう言われた。
確か三日間釣りさせて欲しいと言った時にガソリンは足りるって言っていたような気がするのだが・・・。
まぁ、こんな些細なことで悩んでも仕方がない。
明日、朝一番に船を出すには今日中にガソリンを手に入れなければならない。
今から街にガソリンを買いに出ても、帰ってくるのは夕方になりそうだが・・・。
迷っている暇は無い。
ガソリンを手に入れるためにマコちゃんと街に行く事にした。
村人に、街に行きたいとお願いすると渋々OKしてくれた。
その際に街まで着いてきてくれたのが彼女。
写真右
セロル(21)
ピチピチパプアンガールだ。
良く言えば、これは若いパプアンガールと一緒に行くドキドキドライビングなのだ。
セロルは街に着くや否やホットドッグみたいなのとファンタを買い与えろと言ってきた。
もうなんかすごい。
でも村から買い物に付いて来てもらっているので文句は無い。
近くのガソリンスタンドでガソリンを手に入れた後、酒屋でビールを買い込んで、村に戻るトラックに乗り込んだ。
「ウィスキーおごってくれたら運賃タダにしてやるよ!」と言ってきた運転手にもウィスキーを奢ってあげた。(マコが)
用事も済ませた。
夕方になると危険らしいので早く村に帰りたい。
そしてビールが飲みたい。
走り出したトラック。
突然、道端から華奢な男性が飛び乗ってきた。
一瞬チンパンジーかと思った。
というかしばらくチンパンジーだと思ってた。
それは人間だった。
理解した。
そして我々を発見するや否やいきなり絡んできた。
「my friend!! my friend!! mmmymmy!!」
言葉がおかしい。
というか挙動も表情もおかしい。
瞳孔が小刻みに揺れて焦点が合ってない。
完全にキマっている。
手に持ってる缶に夢(薬物)がいっぱい詰まってるとお見受けした・・・。
コイツ面倒くさそうだなぁ。
そう思った僕はひたすらソイツをガン無視した。
そしてどうやらパワータイプではなさそうだ。
危害を加えてくる様子も無いので警戒しつつ放っておくことにした。
その結果、僕がガン無視することによってマコがひたすら絡まれていた。
可哀想だった。
マコは笑顔を失った。
僕は「まぁそんな事もあるさ頑張れマコ」と軽く微笑んでガン無視した。
帰りのトラックは途中でパンク。
パンク修理している間に辺りは真っ暗に。
結局暗くなっちゃったよ!
無事にトラックは走り出したが他の人を降ろすために色々な村に寄るので結構時間がかかる。
途中寄った村にて。
とある家のベンチを借りた。
この村、電気もTVもあるんですけど。
数キロ離れるだけでこの文明差。
運転手は帰り道でウィスキーを飲み始めた。
暗い道で、しかも幅がギリギリの橋とか渡るのに飲酒運転とかなんかもう最高にクールだ。
実質パプアに来て一番怖い体験かもしれない。
街を出発して数時間。
ようやく我々の村まで辿り着いた。
あとチンパンジー、もとい薬物中毒者。
彼は結局トラックの荷台に乗ったままだった。
散々色んな場所で色んな人が引きずり降ろそうとしたが動かないのだ。
我々のステイする村まで憑いて来てしまった。
面倒くさい。
しかし、キマリ過ぎたのか「スリーピィ・・・」と朦朧となっている。
我々がトラックを降りたら、トラックはそのまま彼を乗せたまま走り去って行った。
なんだったのか。
彼はその辺に棄てられるのだろうか。
すごい人生だ。
彼の安否には興味すら湧かないが、人間というものはシンプルなんだなと思ってしまった。
村に帰ると晩ご飯が出来ていた。
ハタのココナッツミルク煮とご飯。
米が最高に有難い!
ココナッツミルクは炭の味がするけど、空腹が満たされる感覚は幸せだ。
買ってきたビールを飲みつつ、南国の夜は更けていく。
月明かりが綺麗な夜だ。
カエルの鳴き声が心地よい。
明日が最後の釣行だ。
悔いだけは残したくない。
翌朝。
いつも通り、日の出直前に目が覚めた。
天気は快晴。
薄く明るみ出した空は徐々に赤燈へと変わっていった。
今日が最後か。
ぼんやりと異国の朝にうつつを抜かす。
マコはまだ寝ている。
隣の家では、豚を威嚇し追いかけていた犬が村人によってボコボコにされていた。
この村では犬<豚であり、村人はその法則を崩さない。
日常風景だ。
生まれ変わってもこの村の犬にだけはなりたくない。
朝ご飯を食べて、身体と釣具の支度を済ませる。
朝露で湿ったアヴェントゥーラを握った後、橙の世界を噛み締めるように僕達は歩き出した。
いつもの場所に船は用意されていた。
最終日のクルーは4人。
しかし、今日はいつもとは違う。
「どこに行きたい?」
初っ端から行きたいエリアを決めさせてくれるらしい。
とはいえ、エリアなんてよく分からない。
でも、とりあえず行きたいのは川の上流。
前日までに踏み入れていないエリアだ。
そして船を流すのは徹底的に川のアウトサイドでお願いした。
インサイドで水深が浅くなるとどうもパプアンバスの魚影が少なくなる傾向にあるような気がしたからだ。
そして浅いとハタが多くなる。
前日までに得たもので、なんとなく見えてくるビジョンがあった。
迷わず行けよ。
そう言いたげに船は力強く進んだ。
海は一直線に水平線を描く。
何処までも広く美しい直線の先に想いを馳せる、ここ数日の日課だ。
先日よりも上流で船は止まった。
止まった矢先、早速マコのロッドが曲がった!
開始数投で綺麗なマングローブジャック。
いきなりの魚信に心が高まる。
今日はいい日になりそうだ。
マコにミヨシを交代してもらって釣りに集中する。
しばし川の流れに乗せて船を流した。
倒木があり、その下にルアーを入れて3回転。
ゴツンッ!!
喰った!!
瞬時にファイト体勢を取る。
昨日の魚はこの瞬間にバラしてしまった。
同じことは絶対に繰り返したくない!
色々な障害物に潜ろうとする魚を必死に止める。
浮いた魚が水面で突進を繰り返す!
もう最高に楽しい!
僕はこの人生で一番楽しい瞬間と出会うのが辞められない。
景色や感覚がスローになる瞬間がたまらなく愛おしい。
この瞬間があるから、色んなものが報われるんだ。
力尽きた魚を、マコがボガでランディングしてくれた。
本日のファーストパプアン!!
やったぜえええええ!
8lb弱(ボガ測定)の小中型だったが、今回の旅では最大サイズだ。
しかしよく引いてくれた。
サイズ関係無しに嬉しかった。
ルアーには歯型が生々しく刻まれていた。
ずっと釣り続けたらどうなってしまうんだろう。
家宝がまた一つ増えた。
マコと釣り座を交代した矢先、またもマコが掛ける。
ボートの手前で下に猛突進している。
パプアンだ!
ボートの手前で掛けたので、正直サイズが分からなかった。
浮いてきてビックリした。
デカイ!
船上でドタバタになる日本人2名!
落ち着いているパプア人が4名!
落ち着いて~といいつつ俺も落ち着いてない。
ランディング係はもちろん僕。
プレッシャーで泣きそうだ!
しかしまぁ、ランディング程度なんでもない!造作も無い!(震)
正直プレッシャーで泣きそうだ!
いやほんと人の魚掴むときって緊張するよね・・・。
マコが浮かした魚が弱ったのを見計らい
なんとか無事ランディング完了!
早くも今旅の最大サイズが更新されちゃった!www
13lbのパプアン!
このサイズになると縞模様が消え、貫禄が出てくる。
顔つきにも威厳がある。
いやほんと、ランディングできてよかった・・・(漏
ひと通り落ち着いた我々。
マコと何度目になるか分からないハイタッチをした。
滑り出しは最高だ。
この調子で行けるのか最終日。
いや、絶対行って見せるぜ最終日!
つづく
お付き合いいただきありがとうございます。
前回更新から2ヶ月近く空いてしまいました。
すみません。
もうすぐこの釣行も終わりです。
ちゃんと全部書き残せそうでよかった。(漏
次回もよろしくお願いいたします。
- 2016年2月15日
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