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岡林 弘樹(オカバ)

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カリマンタン釣行記Vol5「露命」

カリマンタン釣行記Vol5「露命」





















顔がべっとりと夜露で濡れる感触が気持ち悪い。
夜中、腹が痛くて何度も目が覚めた。
おまけに寒いし全身びしょ濡れだ。



相変わらず身体もだるいし。
今が体調不良のピークなのかもしれない。


次、目覚めた時はどうなってるんだろう。
浅い眠りを繰り返していると、気が付けば周りは明るくなっていた。






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生き延びたらしい。
なんとか漬物の夜を乗り越えたぞ。



しかし、まぁ寒い。
寒すぎるので火を起こしてもらう。



温まっていると身体がようやく動くようになってきた。










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昨日の夜に比べれば下痢は治まり始めていた。
MARCELの淹れてくれたコーヒーを飲みつつ、もはや見慣れてしまった滝の風景をぼんやりと眺める。


今日は昼過ぎには此処を発つ予定になっている。
それまで我慢すれば、帰還できる。


しかしこのコーヒー。
昨日からすれば、初めて口にした「しっかり味のあるモノ」である。


クリーミーで美味しい。
美味しすぎて涙が出てきそうだ。


この味は一生忘れることは出来ない・・・。

















一応、朝起きてからも仕掛けは投入しておくのだが。



基本、ナマズは夜行性だ。
夜が明けてしまった今は、ぶっちゃけた話、竿を出す意味があまり無い。


当然、それっぽいアタリもない。
怠い身体と戦いながら、暇な時間が刻々と過ぎていく。








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ふと隣に謎の生き物を発見。
君はリスなのかい?
手に持っているのは何かな?
毒ドングリかな?




他にも何か面白いモノが無いかなぁとウロウロ。




すると、村人の呼ぶ声が聞こえてきた。



川辺に行ってみると、なんと魚が獲れているではないか!
しかも結構な数だ。



俺達が倒れていた夜、村人達が獲ってきたのだという。








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この谷に来て、マトモな成果を見るのは初めてだった。
フラフラになりながらも記念撮影をさせて貰うことに。



しかし、この反応の悪い中、良くここまで魚を釣ることが出来たもんだ。
そう関心しつつ、時合でもあったのかな、なんて思っていると。



「この魚は全部川に潜って突いてきたんだ!」


と言われた。


水深が浅くなる今の時期、釣るより突いたほうが早いのだという。


そして更に。
俺らが此処に来る直前に、村人総出で数日間、潜って魚を突きまくったそうだ。



「その時は凄く沢山獲れたさ!」


うーんなるほど。(白目)


だからアタリがないのか。


よく見たら、滝の下だろうが平気で潜って魚を突いてるし。
このエリアのめぼしい魚は駆逐されたと言っても過言では無いかもしれない・・・。



悲しんでも仕方ないので、とりあえず僕も記念撮影をすることに。






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結構重いぞ!
体調不良も重なり、得も言われぬ表情になってしまった。





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お目当ての魚も、ザクリとGETだぜ。
お前が釣りたかったんだよなぁ。
カッコいい魚だなホントに。





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ヒレまで戦闘的なフォルム。
なんと美しいことか。
愛好家が多いのも頷ける。


表面はザラザラしていて、気持ち良い触り心地だった。







とりあえず魚を見ることが出来たから、来た甲斐はあったのかもしれない。



























記念撮影も終え、日陰で休憩する。
高田は相変わらず復調せず、岩だらけの河原で打ち捨てられたように寝ている。




俺はというと、少しなら歩けそうなくらいに回復。
足にも力が入るし、ちょっと釣りでもしてみようかな。



ライトゲーム用のタックルを持って、谷を下りつつ釣り開始。




渓流の様なロケーション。
流れの当たる淵でスピナーをドリフトさせていると、ココン!と小さいバイト。




上がってきた小さい魚。






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この谷に来てから3日目。
ようやく魚が釣れた。


小さい魚だが、もう何でもいい。
釣れただけ嬉しい。


このスピナーは思い出のルアーとして保管しておこう。
そう思い、この一匹で釣りをやめることにした。




しかし。
体調が全快していない状態で歩き回ると、流石に辛くなってきた。
クラクラしてきたので、俺も岩場で打ち捨てられた様に寝転がる。





水が飲みたい。
そう思い、自分のバッグに入れておいた水を取りに行く。
(外に置いといたら盗られたのでバッグに入れておいた)




バッグの中を開けると。



あれ??




2本あった水が全部無い!!!



また盗られてる・・・。





なんでやねん!!!




もうツッコむ水もないし、ただ空虚に叫ぶしかないのであった。




いやいや。



炎天下+下痢+体調不良で水が飲めないのはマジで辛い。



本当にヤバいのでは?
そう思い、ここからは体力の温存を最優先にする事にした。






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岩場で寝転がっていると。
頭の横で通行する先客を発見。

噛むやつかな。
多足類そんなに得意じゃないんだよな・・・。







ふと顔を上げると。
近くに立てかけていた、俺のライトゲーム用タックルに興味津々の村人が見えた。



なにするんだろう。
その村人は俺のタックルをパッと手に取りスタスタ歩いていくではないか。


そして川べりに立ち、キャストをし始めた。


いやいや、勝手に持って行かんといてwww


とは思ったが、まぁ道具が珍しいのだろう。
そこは仕方ない。


と言いながらも、正直ちょっと辞めて欲しい。


さっき釣ったスピナーも付いてるし。


俺のタックルを持ったまま、どんどん加速し離れていく村人。


めんどい。


そろそろ返して貰おうと思い、起き上がって村人に近付く。


すると、あろうことか根掛かりをさせている村人。


嫌な予感がする。


すまし顔で竿を煽りまくる村人。


やめろ。
それ以上引っ張るな。


おい!やめろ!おい!!!



ブチッ









リーダーごと切れたラインを半笑いで回収する村人。



そして俺の方を見て
「やっちゃった★」みたいな笑顔を見せた。



俺のスピナー・・・・!!!



たったこれだけのことかもしれないが。
それでも戦意を喪失させるほどにこの現場は過酷なのだ。




俺は、その村人の事を「スピナー」と呼ぶことにした。




いいから俺のタックル返してよスピナー!





















タックルを回収し、寝床(岩場)に戻ってきた。
今日の昼には帰れるし、片付けを始めよう。
そう思い、ライトゲーム用のタックルから片付け始めた。




そのとき。
まだドラマは待っていた。





最後に一本だけ。
鈴を付け、最後っ屁的に投入しておいた仕掛けがあったのだ。





そして、この三日間ずっと聞きたかった福音が耳に飛び込んでくる。






「ちりん・・・ちりん・・・」




聞き間違いかと思った。
幻聴かとも思った。


しかし、確実に鈴の音は聞こえたハズだ。



そう思い、ロッドに目をやった瞬間。




「チリリリリリリリ!!!!!」




!!!


爆音で鳴り始める鈴!!!



そして緩めていたドラグがビュンビュン出ていくではないか!!!




来た!




遂に来た!!



ドラマ待ってた!!!


最後に勝つのは俺だった!!!



合わせを入れる為にロッドを持とうとした瞬間。








ざばぁ







え???














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村人「おーい!こんなところに仕掛けが投入されてるぜ!見ろよコレ!」







お前は・・・・???






そう。
仕掛けの先に付いていたのは魚ではない。




村人だったのだ。





意味不明過ぎて笑うしかない僕。
そして狂乱気味に撮った写真が上の物である。




精も根も尽きたとは正にこの事だ。




うなだれて、村人がヒットした仕掛けを回収する。




もう帰ろう・・・。
僕達の村へ。(違うけど)



























結局帰る準備が終わっても、RYANが釣りに行ったまま帰ってこない。
昼には帰る予定だったのに。




陽も登り、日陰も無くなってきた炎天下の河原。



そこに打ち捨てられる我々。
水分も無く、干からびている。
(ちなみにビックリマンも水分を村人に盗られた)





いよいよ(天からの)お迎えが来るのでは?と思い始め、賽の河原で釣りをする準備でもするか。とある意味ポジティブになり始めた頃。



RYAが戻ってきた。
笑いながら。


もうこちらも笑うしかない。



まぁいい。
早く帰ろう・・・。




ここからまたアノ道を帰る訳だが。
さっきより死地はもう無い、と悟った僕達に恐怖は無かった。





終わった・・・。




バイ●ハザードのラストシーンに入り込んだ気分である。




グッバイ、ラクーン●シティ・・・。




重い荷物を背負い、生ごみのような僕達は必死にバイクへしがみ付く。




村に辿り着いた頃には周りは暗くなっていた。



しかし。
還ってきたぞ。
我々は生き延びたんだ。



本当に生きてて良かった・・・!!!



喜ぶ間もなく、床に倒れ伏す僕達。



安堵したからか、ドッと疲れがやってきた。
今日はもう寝よう。



飯も早々に、寝床につく我々。
明日は街に戻る日だ。
朝早く出発して、空港に日本から合流する人を迎えに行かないといけない。



この村ともお別れだ。
本当に色々な事があった。
楽しい事も、苦しい事も、意味不明な事も沢山だ。



一生忘れられない思い出になった事には間違いない。



滝の飛沫も、音も聞こえない寝床で、本当に死んだように眠りにつくのであった。




















カリマンタン釣行記Vol5「露命」~終~
次回へ続く・・・。

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