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上宮則幸

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夢追五夜 第五夜(最終夜)

最終夜


昼過ぎに待ち合わせてやはり現場の下見。
干潮で明け透けに曝された地形に、何かしら見落としが無いか探る。
本当は、立ち位置からキャストして距離感やアングルを身体に叩き込んだほうがいいが、もうそれは不要だろう。

実はこのポイントはルアーロストが多い。
キャストミスによるものではなく、ボトムに沈められたマンメイドに引っ掛けるのだ。
その周辺が狙い目で、またカワヌベのつき場になるのは明らかだ。
際どくストラクチャー際を流したり、沈めたりするのだが、奴等が回遊するタイミングはほとんどが上げが込む時で、上潮と底潮が同調しないから、ルアーの送り込みが難しい。
事実、昨夜までにもう何個か引っ掛けた。
ルアーロストを恐れていてはバイトは出せない。

そのマンメイドも昼の干潮には頭が覗く。
乗ってみる。
昼と夜の干潮時の水位差は70cm 。
夜にはだいたいこの位の水深か…
それだけ確認できればもう充分だった。
昨夜までに引っ掛けたルアー達も回収できた。

ベイトの確認もしっかり出来た。
もうここしかない。




深夜入水前にポイント近くのファミレスで決戦前に食事。
時間はたっぷりあるので、のんびり暇を潰す。

やはり魚釣りの話しはソコソコに仕事の展望の話し。
友人もおれも、これから先の人生の行き先は自分に全てが懸かっている。
レールは自分で敷かなければならない。

『賢者は歴史に学び愚者は経験から学ぶ』

義務から教えてくれる教師はもういない。
責任から諭してくれる上司も居ない。
教えてくれ!諭してくれ!と、自分から強く誰かに頼んだり書物を開かない限りは、我の小さな思い込みの殻に閉じ籠るばかりだ。



ズパァッ!
昨夜の炸裂音。
一気に全てが明るく見えたと感じた瞬間。
なぜアレに遭遇できたのか?
自分達で強烈にソレを求め考え動きまくったからだ。

アレみたいな瞬間が人生にもいくつかあるとするなら、ソレが会社から飛び出しちまったおれ達自身にも呼び込めるとするならば、もっともっともっと強烈に求め考え動き続けなきゃいけない。


おれ達にとって、魚釣りは人生の投影。

人生は険しい山に登るようなものだが、楽しんだ!と言える何かも欲しい。
充実してると実感できる成果が欲しい。
その成果の究極が夢だとするならば、少しでも夢に近付けたと実感出来る何かをこの釣行で得たい。




遠征最終夜


ボフッ!
昨夜に続き炸裂音を聞いた。
やはり淀みの中。
それは望んで望んでやっとヤツが応えてくれたかのように不思議な感じがした。
おれ達が着け狙い忍び寄ったには違いがないが、ヤツもおれ達を探して逢いに来てくれたかのように錯覚する程に思い通りだ。
この四日間、血眼になりながら逢いたいと願ったカワヌベが目の前に居る!

数投の後、彼が何かに驚いたような声を発したと同時に鈍い水音がした。
数瞬置いてけたたましい破裂音。

長いファイトが始まった。
ロッドはFishman BRIST VENDAVAL 。
パワー、粘り、スズキ科のファイトを研究し尽くしたかのようなベストバランスに不安があろう筈が無い。


やがて抵抗を諦めた暴君がおれのネットに導かれた。
彼のフィッシュグリップを使うか尋ねた。

いや、上宮君のボガで頼む。
おれのじゃ何となく不安だ。

震える声を聞いておれはボガを撃った。
ガチャリとジョーが閉まる音で勝負が決した。

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おれの望みでもあった彼の夢が叶った。
いや、夢と言うにはまだサイズが不満だろうか?
つまり、まだ夢の続きが楽しめるわけだ。


夢追い人生に強烈な加速となるだろう。

人生が山ならば、魚釣りは道だ。


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高い山を目指せ
登る道が急である程、山の頂は高い


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