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上宮則幸

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小雨降る小潮の晩に…

荒瀬川の水が本流肝属と合わさり、第1有明橋の少し下流で一本の太い流れを作る。
川幅の中程にその流芯が形成される。
流芯はそのままの勢いで左右の導流堤と平行に伸びようとするのだけど、最河口に程近い位置で合流する汐入川の影響を受け右岸に寄る。
岸際には消波ブロックが延長約400mに渡り設置されているが、汐入に押された本流はその消波ブロックにぶち当たり広い範囲で沸き上がるようなヨレをつくる。
当然その沸きの周囲は砂が抉られ深みを形成する。
その変化点は目に見えて明らかな場合もあるが、タチが悪い事に潮位によっても、また汐入の流勢によってもその時々で大きく場所を変えてしまう。
肝属河口域の川底はフカフカの砂で、特に大潮の流れが早い日にはものの3時間のうちに川底の地形が変化してしまうこと
もある。

テトラにぶち当たった水はその後どう捌けるのか?
肝属に通う者ならば一番知りたい事だろう。
一言で言えば…
左岸シャローの地形と、備蓄基地に渡る橋付近の地形に依存する。
非常に不親切な言い方だが、おれが言えるのはこれだけ。

行って、この目で見て、ルアーを通し、最後に歩き回って確認する。
毎日毎日確認するんだ。
何年も何年も。
そうすりゃ、ちょっと先の事も予想できるようになる。





まぁ、なんとなくそう言う内容の事を金曜の夜に釣友と居酒屋で飲みながら語った。
思い付いてタイドグラフを開いた。
続けて天気の確認。
日曜は雨、土曜はなんとかもちそう。
もう一度タイドグラフ。
「土曜ん晩は浸かろかい」
なんとなく撃つべきエリアは見えていた。





肝属河口域の攻略で一番面白いのがカレントリーディングだ。
このエリアの流れの複雑さは筆絶に値する。
川のあっちとこっちでまるで逆方向に流れていたり、突然逆流を始めて、下げのタイミングなのに数分で20cmも潮位が上がるなんてザラだ。
流れに合わせるんじゃなくて、流れの先を読む。
それはつまり、この時期のメインベイトであるコノシロのポジショニングを予想する上で絶対的に必要なスキルとなる。

今年の肝属コノシロは例年の1割ほどしか接岸していない。
昨年までなら、そこら中で発生するボイルで鱸のポジションが確認できていたが、今年はそういった活況にはなかなか遭遇できない。
だからこそ今年はより一層、流れと地形とベイトの回遊を読むスキルの差が釣果に表れるはず。





なんだかんだ前置きが長くなったが、宣言通り土曜の夜に肝属に向かった。
降らないと思っていた雨がパラパラしはじめてヘルメットのシールドを濡らす。
車で来なかった事を後悔しながら現場に到着。
駐車スペースには他県ナンバーのSUVが一台だけ。
先の雨により水温が大きく下降して最近は更にコノシロが減ったため釣れてないようだ。

おれは5日ぶりの釣り。
最近は体調崩してまで魚は追いかけないんだ。
みなもも産まれて少しばかりおれも大切なものの序列に変化が訪れた。
ただ、身体に染み着いた技術と勘は、そのブランクをも少しの時間で埋めてくれる。


入水すると一気に沖の浅場を目指した。
果敢に攻めて浅場に乗ったらアップアップしながら更に歩き、そのエリアを目指した。
干潮までにはまだ早いからもう少し待ってから進んでもいいんだが、ベイトを先回りしてその場所で迎え撃つ必要がある。
カメラの一脚をステッキ代わりに探り探り進んでその場所に漸くたどり着き暫く立って辺りを観察した。

果たしてベイトは居なかった。
今からこの下流に集結するはずなんだが、全く居ないなんて思ってもいなかった。

左斜め後方から流れを受けながらスネコンをフルキャスト。
狙うのはおれの立ち位置から縦に伸びるブレイクの右手。
普通にそのまま流せば狙いのブレイクラインを一瞬横切るだけ。
だからブレイク周辺でリールのクラッチを切り、少しだけテンションをかけつつスネコンをブレイクに添って縦に送り込む。
5mも10mもラインは出さない。
ほんの2m。
なぜならそんなに高い精度でブレイク添いに流せてる自信もない。
半信半疑で流すより即行回収して打ち直したほうが確率も高いだろう。
下手な鉄砲なんとやらだ。
キャストアングルだけ一定にし、長短距離を散らして狙う。
暫くすると後方から腰のあたりにコノシロがあたりはじめた。
ルアーやラインにも頻繁にあたる。
予想通りにコノシロが溜まり始めた。
ヒットするならばこの強い流れが緩む瞬間か?

ただ、鱸の気配はゼロ。
コノシロは流に圧されてはいるが、鱸からのプレッシャーは掛かっていない。
表層で多少なりともモジればそこで食わすつもりで流すんだが、全く見当がつかない。

思いきってブレイクの上に立つ。
流れの下流側に向かって伸びるブレイクはその部分だけが少し盛り上がり、左右に小さな(20cmあるか?)駆け上がりがあるだけのほんの小さな盛り上がりだが、変化に乏しい肝属では無視できない変化。
その下流に向けてキャストを開始。
つまり、ブレイクの上を下流から上流に向けて引いてくるわけだ。

ルアーはひたすらスネコン。
ダウンに打ち込むことで、表層付近でデッドスローでワイドなS字を描かせる。
そうするとブレイクの左右両側の鱸にアピールできる。

同じコースを同じルアーでひたすらデッドスローで巻く。
時折クラッチを切りラインを送り込みスネコンを沈めて、再びゆっくり巻き浮上させる。
絶対の自信があるメソッド。
ひたすら繰り返す。
そうするうちに後方からの押しが弱まりスネコンも水を掴まなくなってきた。
沈めた後にスラックジャークも織り交ぜる。



唐突にフォール中にラインが弾け上がりRIPLOUTが何かを感知した。
瞬間身構えてリールで糸を手繰るが何もなし。
コノシロがあたっただけ?
それにしては衝撃が小さい。
腑に落ちない心境でもう一度スネコンを沈める。
そしてスラックジャークで煽りスネコンを水中でダートさせた瞬間、ただならぬ反応をRIPLOUTが捉えた。
今回はラインを手繰る必要なくジャークの勢いでそのまま合わせた。

ドスッとRIPLOUTのバットが入る。
そして驚くほどに大きな振幅でRIPLOUTを揺らすド派手なテイルウォークからファイトが始まった!
デカイ!!!
でもドラグは出ない。
力いっぱい絞め込んであるから。
カルコンの短いハンドルを高速回転させて水面に頭を出したままの鱸を引きずるように、暴力的に一気に巻く。
魚は40mほど下流で掛けた。
緩んではいるが、流れに乗られたくはない。
魚は水中に頭を戻しボトム付近まで潜った。
立ち位置の左手はまだ流れが効いているはず。
右手に異動しながらひたすら巻く。
意外なほど魚は暴れない。
アッサリと長目に取ってあるリーダーがトップガイドに入った音がする。
魚は目と鼻の先。
照すか?
その前にカルコンのドラグを緩める。
この距離で大鱸のフルパワーのランを食らえばラインの伸び代が無いからブレイクの心配がある。

そしてZEXASを焚いた。
青白い光りの中にボンヤリとくすんだ巨大な魚影が浮かんだ刹那、水面が揺らぎラインが軋み、RIPLOUTの胴が真下に絞り込まれた。
そして魚は足元に突っ込み、掠めるようにしておれの背後に回り込んだ。
怒り狂った!
一気に20mほど走った。
そして水面が弾ける。
石油備蓄基地の常夜灯に照らされ飛沫がはっきり見えた。
さっき乗られたくないと思った左手の流れにヤツが乗ってしまった。
更に走る。

おれはドラグを締めた。
一か八かの賭けなんかじゃない。
さっきZEXASの閃光の中でスネコンがヤツの口元にハーモニカみたいにくわえられているのをはっきり確認したから。

急なランでジリジリ出る程度まで締め上げ、RIPLOUTの粘りだけで鱸に応戦する。
流れを体側に受けたヤツは相当に重く必死の抵抗をする。
竿を寝かせて暫くタメていると、抵抗しつつもやつの頭が右手を向いた。
自然にヤツは流れの緩い右手に泳いでいく。
相手がデカくてもファイトの基本は同じ。
オープンエリアではガンガン泳ぐ魚を無理に止める必要なんか皆無。
巻ける時に巻けばいい。

そしてその巻くべき時が来た!
ポンピングはしない。
一定のテンションを保ってただただ巻く。
スピニングではこんなにスムーズにパワフルに巻けるもんなのか?
多分、ベイトの特権だろう。
リーダーが入る。
再びドラグを緩め、サミングしながら魚を浮かす。
突発的に走ろうとする魚に対して竿を寝かし自分を軸に円を描かせるようにコントロールする。

どれくらい時間が経ったのだろう?
やがて巨大な鱸が横たわりおれのヘソの先に浮いた。
背中のD管からボガを外す。
何も慌てる必要もない。
ただ、心臓は高鳴る。

ZEXASの閃光の中で大鱸の下顎がボガのジョーの狭間に吸い込まれ、おれは静かにそれを閉じた。

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写真で見えるだろうか?頭の上には何個もの白っぽい小さな突起が出来ている。
95cm以上の年老いた個体に割りと顕著にみられる突起。
優しく頭を撫でると粘膜が薄く、硬質のゴムみたいな感触。

近くにセットしていたカメラの一脚に歩みより撮影

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スネコンが見事にハーモニカ食いされていた。

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間違いなく100cm超えを確信。
水に浸けて蘇生をはかる。
撮影用の500lmライトにまざまざと照らし出された魚体の威風堂々とした存在感に改めて圧倒される。
カメラの写真をチェックする。
縦持ちも撮るかな?
「いいか?」
無言で語り掛けた。
返ってきたのはか弱いエラ洗いだった。





暫く鱸の口元の水面を叩きエラに水を通した。
どんな感情がこもっているのか?ヤツがおれの親指を痛いほど噛んだ。
泳ぎもしっかりしてきた。
おれはジャケットのポケットからリーダーを取り出した。
頭に端を合わせ、尾びれの位置を摘まんだ。
ちょっと悩んだが摘まんだ位置を親指に一回転クルリと巻きつけてその位置でリーダーをカット。
短くサバ読む分にはだれも文句言わないだろ?
リーダーを口にくわえて魚に目を落とす。
迷う事なくボガを開放する。

ヤツは静かに反転し、帰るべき流れに悠然と帰っていった。



まぁ、参考記録だが、103cm 8.2kg 。
実に21カ月振りのメーターオーバー。

読みきって狙って捕った魚かと言えば、まぁそうでもないんだが、厳しい状況の中、持てる技術と卓越した経験から得られた勘ってヤツで引きずり出したトロフィーだ。
感無量だ!

オマケに自分が初めて開発に参加させてもらったルアー「スネコン」と自分がこれまた初めてプロデュースする竿「RIPLOUT 」での釣果。
小躍りしたいぜ(笑)

だけど、それより嬉しかったのはヤツが元気に帰った事だ。




長く肝属に通うベテラン達は皆決まって言う、「こんなに悪い年は初めてだ」と、毎年言ってんだぜ。
つまり、毎年ワーストを更新している。
そりゃあ遠征アングラーから見れば肝属は楽園かもわからん。
悪いながらもポツポツデカイ魚が釣れるし、ツ抜けもたまにある。
だが、ほんの10年前には今の10倍釣れた。
120cmなんて、化け物も年に数本は噂に聞いた。

じゃあこの10年で何が変わったのか?
荒瀬川ダムの建設が始まったことと、釣り師の爆発的増加だ。
ダムの事は今更どうにもなんね。
水を渇望している農家さんに「ダムの糞め!」なんて言う気にはなんね。

鱸が釣れなくなって誰が困る?
案外地元の漁師は困んねーんだよ。
鱸って、地元漁協ではキロ70円なんだ。
100kg捕れてもたった7000円。
だれも喜んで捕ったりはしない。
困るのはおれ達釣り師だろ?

おれは鱸をキープして食う事が悪いなんてひとつも思わない。
おれだって今年は4本の鱸をありがたく食した。
魚釣りに食べる楽しみはセットだとも思ってる。
ただ、釣った魚を全部持って帰ったり、記録級の巨大魚や貴重なアカメを魚拓とりたいがために持ち帰るのはどうだろ?

年老いた巨大な鱸の、少しくすんだ銅色の背中が、愛しくも哀しく輝く雨の小潮の夜だった。






宮崎のポイント南宮崎バイパス店さんにてFishmanの試投会、展示受注会やります!

http://www.point-i.jp/index.php?id=minamimiyazaki-event&tx_ttnews%5Btt_news%5D=295435&tx_ttnews%5BbackPid%5D=652&cHash=fb62d0c371

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12/12(土)13:00~19:00(店内展示)

12/13(日)9:00~12:00大淀川河口にて試投会
      14:00~18:00(店内展示)

の日程です。

日曜の午前に試投会の予定も組んでありますので、参加希望の方はお手持ちのリールルアーをお持ちになって、ぜひおこしください!

★当日の展示ロッドアイテム
既存番手
BRIST5.10LH
BRIST5.10MXH
BRIST VENDAVAL8.9M
Beams7.10MH

来季デリバリー予定ロッドの展示OKです
BRIST comodo6.10XH
Beams RIPLOUT7.8ML
Beams5.2UL
BRIST marino8.0M

もちろんすべてキャスト可能です。

宮崎サーフでは特にハマるであろうVENDAVALのブッ飛びを是非体感ください!

また、山鱸のフィールドで活躍必至のRIPLOUTのプロトももちろんお試しいただけます。


両日ともわたしが常駐いたします。

皆様のご来場お待ちしてます!









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