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上宮則幸

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汗と金

  • ジャンル:日記/一般
「ちょっと途中で寄りたいところあるから」
相棒が向かわせた先は古いアパート。
すると助手席側に35位の男が近付いてきた。
肩をすぼめてペコペコしているが、それは心から頭を垂れていないと直感的にわかる。
顔にはヘラヘラ笑いを浮かべている。
相棒が財布から諭吉を数枚抜き出し渡した。
男は相変わらずペコペコヘラヘラ。
「すんません、すぐに返すんで…」
相棒は一言二言小言を言った。
用が済んだらしいからおれはクルマを走らせた。
気分のいい場面じゃなかった。

暫くの無言の後、相棒から口を開いた。
「あいつさぁ、ひき逃げやらかして免許取り消しになっちゃったんだよ。」
へー…
「会社もクビになったんだけど、その前の会社の社長がまた戻って来いって」
そう…
「暫くしたらまた免許取れるようになったからって、その社長が30万貸してくれたんだ。」

「なのにあいつさぁ、その金全部パチンコでスッちまってさぁ…クビって。」








結局、天気予報は外れた。
お陰でおれ達は依頼させていた大木の伐倒を安全にやり遂げた。
夕方になって、汗とノコクズで汚れた姿で客先に向かい、封筒に入った数枚の札を受け取った。
この金も来月の現場を回す運転資金に消える。
情けない話しだが、今は仕事するために仕事してる。
仕事するために金が要る。

屑に金貸す余裕なんかおれには一円も無い。
必死だ。
明日もだ。







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