【己を信じて杭となれ】真剣勝負

渓流解禁当初は、ユスリカがメインベイトとなります。

体長が4mm～5mmと非常に小さく、フライフックで言えば#20ぐらい

でしょうか。当然魚が餌を捕食する(ライズ)パターンを考えれば、

#20前後のフライを準備するのが正論なのですが、東北の渓は釣り人

からのプレッシャーが少ないのと、解禁時は成魚放流された魚が対象と

なる為、そこまでシビアに合わせなくても大丈夫だと思っています。
(あくまで自論です)

フライサイズが合っていない為、釣れないという状況に遭遇したことは

あります。しかしフライのサイズよりもっと大切な事は、

｢ナチュラルドリフト｣させることができるかだと思います。

いかに自然にフライを川の流れに同調させるかが肝なのです。

水面は一見同じ流速に見えますが、実はものすごい複雑です。

魚がこの時期定位し捕食する場所は比較的流れの緩いところ。その前後は

定位している場所とは全く異なる流速の場合がほとんどです。そこで、

メンディングという技術が必要になるわけですが、これが結構難しい！

フライは捕食レーンに乗せたまま、ラインだけを上流側に戻すという

表現がわかりやすいでしょうか。フライラインは、PEやナイロンラインと

比べて太い為、水の抵抗を受けやすく流速のあるところでは、フライより

先にラインが下流側に引っ張られます。そうすると、フライまで下流側に

引っ張られ、不自然な形でフライが流れ、魚に違和感を与えてしまう

のです。この状況を回避できるかできないかで(メンディング)釣果に

大きく差が出てしまいます。

フライフィッシングをやり始めた頃、フライラインが生きている

ように扱え！と言われた事があります。言われた当初はなんのこっちゃ

と思っていましたが、今はそれなりに技術が身につきあの時言われて

いたことはこういうことなんだとようやく理解できている状況です。

フライフィッシングは私が経験してきた釣りの中で間違いなく一番

難しく、釣果に差が出る釣りだと思っています。とにかく、思った

場所に投げられない、フライがどこを流れているのかわからない、

後ろの障害物にフライを引っ掛ける・・・など、すぐ挫折してしまう

要素が満載なのです(笑)。でもこれが出来るようになると世界観は

変わると思います！　特にキャストをうまくコントロールできる

ようになると、ルアーのキャストにもいい意味で影響すると思います。

昔は、解禁日が平日なら有給を取り、前乗りして解禁の雰囲気を

楽しんだものです。今はさすがにそこまではしていませんが、お祭り

であることには今も昔も変わりはありません。

日が昇り、きらきらした水面に魚達が躍動する姿、波紋が見える。

そこへ、フライを放り込み、魚達と騙し合いが始まる・・・・・

いかに本物らしく魚達に演出できるか、真剣勝負ですね！