プロフィール

hiratch

鹿児島県

プロフィール詳細

カレンダー

<< 2024/4 >>

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

検索

:

タグ

アーカイブ

アクセスカウンター

  • 今日のアクセス:143
  • 昨日のアクセス:139
  • 総アクセス数:1027300

QRコード

躍動するシャローの川とプエブロ・マングース

 釣り人ならば、1年を通して見る四季それぞれの釣りの風景を知っていることだろう。


小さな水中生物が水辺に作る波紋に、始まりを感じる春。

干満に合わせて群れる夜のイナッコ、横目に遡上する鮎に、逞しさを感じる夏。

水中生物が見せる激しい食物連鎖のありのままの姿に、躍動を感じる秋。

虫1匹さえもいない透明な水が静かに流れ凍える夜に、厳しさを感じる冬。


そしてふとまた、水辺に始まりが訪れているのに気付く時がやってくる。


それぞれの季節を乗り越えた者もそうでなかった者も、それはある一定の周期で平等に、だ。



 そこでもうひとつ、その川の1年を知っているか?となると、果たしてどうだろうか。


魚を釣るということだけが全てじゃないこと、自分だけが知っているその川の表情を胸に秘めている釣り人は、どれほどいるだろうか。




■ 口の中のマングース


 先日の釣行にて、ジグザグベイト60Sでキャッチしたことから秋への移ろいを感じたが、結局5日間通ってキャッチしたのは1本のみ。


バイトやバラシは少しはあったのだけれど、総括としてはどうやらフライング気味だったようだ。


それでも通い続けた、とある日の深夜。


橋が作り出す明暗を実績ルアーで探っていくが、やはりこの日もバイトはない。


そんな中、河口の方から聞こえてくる単発のボイル音。


…まさかな。この潮位であのエリアは、過去に実績のない場所。


だけど明暗で出ない今の状況で、そこを打たない理由はなかった。



 遠目ではわからなかったが、移動してきた目の前のそれは、確実に捕食のスイッチが入った力強いボイルだった。


ここでも実績ルアーを投入しバイトの衝撃を待ち構えるも、なぜか一向に食わずその理由もわからない。


次は何を投げようか?

冷静になって考えてみるとすぐに、ひとつのルアーが思い浮かぶ。


tmb4vt4z7ewn2rcfraca_480_372-ad32ce5c.jpg

【PUEBLO/マングース】



 ややダウンにキャストし、扇状に後退するように流していくと、意図も簡単にティップに衝撃が伝わった。


atbd35d27ohuphzdwwbf_480_361-eb158911.jpg


厳つい表情に力強いヘッドシェイク。

ヒットルアーであるマングースはというと、口の中へ頭から入っていた。


hrfkpmwz3sit2x9btvi2_480_360-ce0c8a76.jpg


よく見ると左の口元がぷっくりと腫れているのだが、特別それが傷だということでもなさそう。


pe4em5m4i77daf2f2vvk_480_361-1c06aeda.jpg


同じスズキでもじっくり観察すると、それぞれに個性があって興味深い。


次また会うことが叶ったのなら、この腫れはどうなっているだろう?


打ったJGFAのタグにそんなことを思いながら手を離したスズキは、まだボイル音が続く流芯へと向かってゆっくりと泳いで行った。




■ 躍動するシャローの川


 時間と共に確実に水位が下がる中、確実なボイルはまだ続いていた。


ダウンに流すことをメインにしつつ、よりフレッシュな個体にルアーを見せていくイメージで、立ち位置を徐々に河口へとずらしていく。


その意図とは裏腹に、今通ってきた上流側で出るボイル。


タイミングと角度、着水点を見極めマングースを放つ。



 実に久々だった。


アワセを入れた数秒後から始まるトルクある引きとエラ洗い、ランディング直前で見せる足元での攻防。


水中に沈む小さな消波ブロックでブレイクしないよう最後まで強気に出たファイトに、プレジールアンサーPA89の胴の強さも垣間見ることが出来た。


53krp2dk3rcu7e3m978o_480_360-47d21d9c.jpg


掴んだ後の抵抗の力強さに驚きつつ、足が少し震える。


惚れ惚れするシルエットに、ズシリとウエイトを乗せる太さ。


6bxe2hygomcr8ef434xr_360_480-1c531d11.jpg


もう何も言うことはなかった。


蘇生をしている間にも、川の暗い向こう側ではボイルの音が聞こえる。


でも今は、このスズキとの時間。


程なくしてリリースを終えると、フックが絡み付いてぐちゃぐちゃになっているマングースを、ネットから丁寧にほどく。


「すげぇや、マングース」


自然と出た言葉は、スズキを魅了するマングースの力に対してであり、躍動するシャローの川に向けてであり、このルアーを託してくれた男へ向けてでもあった。




■ プエブロ・マングース


x7yh7sut822t6r9nmwrc_480_360-b7592318.jpg


 このマングースは、随分前にその男から譲り受けたルアーだった。


僕が知る限りその男は、「生涯で1本ルアーを選ぶなら?」と問えば、おそらく「マングース」とすぐに答えるはずだ。


ただ、僕が初めてそのマングースを実際に泳がせた時に感じたのは、中速から頭を振るように始まるアクションに対する難しさだった。


キャストをすればリップ形状の為か、やや飛行中の角度を下方向へ沈ませる感覚も覚えた。


おまけに水面では、後方重心の為テールを下げて斜めに浮く。


sy7m3gkdz5d5ai8hrdx5_480_361-306c98b8.jpg


「なんだか、総じて強いのに力を出して走るタイミングが騎手と一致しない隠れた名馬のようなルアーだな…」


それが率直な感想だった。



 だけどこの日、すんなりと次の一手にマングースを選んだのには明確なワケがある。


清流域での慣れない縦ドリフトの釣りに助言を求めた時に、「僕はマングースを使う」というその男の一言が脳裏をよぎった。


だから僕は、最初からダウン方向に投げた。


そしてリーリングをほぼせず、手元にアクションは伝わって来ずとも、マングースとその男を信じてただ流した。


「俺にもマングースで魚が出せた」


それだけ。


たったそれだけなのだけど、それは同時に僕にとって、とても大きく大事なことだった。




 良い時も悪い時も通った過去を振り返れば、ベイトどころか生物の気配を全く感じない無音の表情を見せる時がほとんどだった。


だが時にこうして、生命感に溢れた激しい食物連鎖が繰り広げられることもある。


目の前に広がるのは、大潮の干潮時には簡単に対岸に渡れてしまうほど干上がってしまう、シャローの小さな川。


改めて思う。


このシャローの川が見せてくれる、四季折々の全ての表情が好きなんだなって。


4xprbfss7w9cgzvamdsv_480_361-c01358ae.jpg




1匹目リリースシーン


2匹目リリースシーン



【TACKLE DATA】

ZENAQ/PLAISIR ANSWER PA89 Technical Surfer

SHIMANO/18 STELLA 3000MHG

SUNLINE/CAREER HIGH6 1号(16lb.class)

SUNLINE/STATE CLUTCH SHOCK LEADER NYLON 16lb.


【WEAR & TOOL DATA】

Cap/1989Luresオリジナル(OTTO)

Life jacket/SHIMANO XEFO ショートゲームベスト VF-274L

Wedear/Pazdesign BS BOOTS FOOT WADER V

Porch/Columbia,CHUMS


■Twitter -ツイッター-

http://twitter.com/hira__tch


■Facebook -フェイスブック-

https://www.facebook.com/1989Lures


■Instagram -インスタグラム-

https://www.instagram.com/hiratch_1989lures/


■YouTube -ユーチューブ-

https://www.youtube.com/channel/UCERTEAjW_JbjiLua3d6nCVg

コメントを見る