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シーバスゲームの可能性 東京都 多摩川堰上への挑戦

東京湾シーバスゲームにおける唯一の※清流ゲームにして、忘れられた未開の地、堰を越えた多摩川中流域というフィールドには無限の可能性があった。

※この記事では清流とは一般的な意味ではなく、河川における完全淡水で、夏季に鮎が生息する様な玉石底の流域とする。




昨今、上流域と言うテーマを求めるシーバスアングラーが増えてきている様に感じる。

その開拓精神により、時に水門や堰を越え、実際に自ら行う事でその風景に辿り着いた者にしか理解できない様な環境でのシーバスゲームが各地で発見されている。

今回、私が紹介するのは、ただ一つ、堰というハードルが存在するのみで、あらゆる可能性が見過ごされている、流域約10キロにも及ぶ素晴らしいリバーフィールドだ。



多摩川


東京湾でシーバスゲームを行う者にとっては湾奥に位置する荒川に並ぶ、言わずと知れた代表的な大河川であり、全国的にもTOKIOが出演するテレビ番組、鉄腕DASHの中で紹介された川遊び関連でのロケ地と言うと、わかりやすいかもしれない。

その河口エリアには羽田空港があり、空から着陸前に見える川が多摩川になる。

大河川の河口、それが作り出す広大なシャロー、そんな場所に巨大なマンメイドストラクチャーとして存在するのが羽田空港であり、ボートシーバスでは定番中の定番としても知られている。

また、近年では東京湾内にも関わらず、鮎で知られる名河川に劣らない天然鮎の遡上量を誇る。



丸子堰


そんな日本屈指の大河川をシーバスゲームとしては平凡なフィールドにしてしまっている最大の要因は、河口から僅か10数キロ上流に存在する調布取水堰である。

釣り人の間では、丸子堰と呼ばれる事もあるこの建造物は、その直下において釣り人が絶えることがない、黎明期から知られるメジャー中のメジャーな場所であるのだが、長年、そこから下、河口に広がる砂地のウェーディングエリア迄が、一般的なシーバスゲームにおけるフィールドとされてきた。

※ 絶える事がないのだが、厳密に言うと堰から50m下流までは神奈川県内水面漁業調整規則により、あらゆる釣り、生物の採捕は禁止されている。




次の堰迄にある可能性



堰近景
※宿河原堰は内水面漁業調整規則により80m以内釣り禁止


河口から約22キロにあるのが宿河原堰であり、ここは鮎をも大きく阻害する、遡上する魚にとっては絶壁と言える堰である。

この為、この堰の下では遡上してきた鮎を定置網で捕獲し、トラックで上流域まで輸送する施策が実験的に行われている。

シーバスゲームでは可能性を模索するとしても、残念ながら現実的にはここまでとなるだろう。

だが、悲観することはない。

この上下にある堰間の距離は約10キロにも及び、その景観は、従来の東京湾シーバスゲームとはかけ離れた清流ゲームとなる。





そして正直に告白しよう。

私達は数年前にこれを発見し、これまで、まぐれを越える確率で、幾多のシーバスをキャッチする事に成功している。



現状の開拓度


それでも現状では、まだまだ未開拓と言えるだろう。

物理的に広い事に加え、私の中では、あくまでも季節の釣りを追う中で、稚鮎をテーマにしたわかりやすい時期をメインに楽しんでいるに過ぎない事情もある。



河口から約20キロ上流でキャッチ ルアーはリッジ56F


この為、使用するルアーもバスルアーや、サクラマス用のルアー等、淡水ベースで作られたフローティングミノーが中心で、現状では、本当に活性の高い釣りやすい魚しか釣っていないのではないかと思う。

釣り方としても、流れや地形の変化をテーマとする、シーバスゲームの基本的なもので、特段にここで、これが攻略法だ、と宣言するものもない。

強いて言うなら、夕マヅメは流れの落ち込みに上がってくる傾向がある気がする。






ボトムの釣り、いくつかあるテトラ周り、かなりの藪漕ぎが必要な場所、分流を越えるのにウェーダーか必要になる箇所、流れが大きく開けた箇所等、まだまだ手付かずの場所は多い。


これまでのヒットルアーとしては、フラッシュミノーやリッジ56F、スーサン、ウルングマ等が上げられるが、状況によりけりといった所だろう。

特筆するとなると、意外と狙うべき場所が近い状況もあり、メバル用の漣60Fなども活躍した点があげられる。



遊漁券について



12号区 平成29年度年券


基本的に多摩川の淡水となる流域には、ほぼ漁業組合が存在し、その管理下にあるフィールドとなる。

ここで、海から遡上するシーバス、スズキは漁業権の対象となっていないのだから、それらに従う必要はないのでは、と言う考えもあるかもしれない。

これに関しては、以前に水産庁の釣り人担当官の方が記事(2012年スポニチのWEB版)で見解を出しており、そのコメントを要約して伝えたい。

趣旨としては『狙っていなくても漁業権の対象漁が釣れてしまう事がある、完全に釣り分けるのが実質不可能なのだから、遊漁料を払い、遊漁規則に従って下さい。』との事だった。

実際にこのフィールドで数年間、釣りを行なったが、漁業権の対象魚である鯉、ウグイ、更にはウナギがミノーで釣れる。



中小型の鯉は流れの中で小型のミノーへの反応が高く釣り分けは不可能


特にウナギについては、夕まづめに、対岸のアップに入れたスーサンをボトムにかすらせながら流心へと向けて流し込んでいくパターンで、数本キャッチした。



ニゴイもミノーへの反応が高い


勿論、この見解に対して納得がいかない部分もあるかもしれないが、自分の理屈を唱えるだけでは無駄な軋轢を生むだけであり、昨今の釣り場問題もそうであるが、先ず衝突を出来るだけ避ける姿勢が求められるのではないだろうか。


ちなみに私の場合、主にシーバスゲームの対象となる12号区は券を常設的に買える場所が限られる事もあり、毎度買いに行くのが面倒なので、遊漁券は年券を毎年買っている。

神奈川県側、二子新地駅前のたばこ店では日券、年券が購入可能。


by GoogleMAP

日券1,000円
年券5,000円

通販はこちら
http://b4.spline.tv/tama_Fishing/

こちらの山崎さんは、おさかなポストなどが紹介されたテレビ番組を通じて見たことがある人もいるかもしれない。

ちなみに遊漁規則では釣りは日の出から日没までとなっている。




ちなみにナマズはシーバスよりも流れが強いところで反応が多い。

ナイトのトップゲームはポピュラーだが、デイのミノーゲームは新鮮かもしれない。




開く取水堰


なぜ堰があってもシーバスが釣れるのか、というと意外と知られていない1つの事実がある。

それは現在、上流域にシーバスを供給する大きな要因となっているのが、調布取水(丸子)堰が、春季に鮎の遡上を阻害しないために開放する事にある。
これに関しては生物が豊かな河川作りに取り組む苦労をされた方々がいた事に感謝しか無い。


一方で、そもそも取水堰とは水を汲み上げる事を目的とした、河川内にある一種のミニダムであり、それが鮎を遡上させる為という理由で開く(ここでは全開放し水を貯めない状態を意味)、一定期間開放されるというのは、通常ではあり得ない事なのである。



全開放中の調布堰


建造物として見た時に、この取水堰は河川が酷く汚染された時代(昭和45年)に上水(人が飲む、水道水)での利用を諦めた昭和の遺物であり、現在、稼働量は公表されていないようだが、工業用水のみに利用されていると言われている。

水道水として使うための施設(調布浄水場は1960年代に廃止、用地を大田区へ売却済みで公園化している)が既に存在せず、現在行われている工業用水としての利用方法において堰を開けてても問題がないのであれば、釣り人としては、いっそ通年開放はできないものなのかと、もどかしさを感じる。

勿論それが出来ない理由、河川全体の治水であり、流れが”開く”事で設備維持に問題が出てしまうなど、専門家ではない私には解らない事情があるのかもしれない。



払ったお金は何処へ行く


もう一つ大きな疑問としてあがるのは、他の河川を知ると、遊漁エリアとして多摩川は整備が全くされていない事が解る。

これは知り合った鮎師の方達からも多々、聞く声である。

その最たる事例として、先ず、多摩川で釣りをしようと思った人は、釣り人向けの駐車場が河川敷には皆無である事を伝えたい。

例えば他のレジャー施設をみると、日中限定とはいえ、ゴルフ場やBBQ場向けの駐車場は多数あるので、規制やルールで作れない訳ではない。

この点、鮎釣りで知られる名河川や、ヤマメなどを放流し遊漁料を徴収している河川は遊漁料が若干割高(1日1500円~)ではあるが、釣り人向けの駐車場が河川敷にいくつも用意されている事が珍しくない。


更に、疑問として浮かぶ点は、関東であれば例えば芦ノ湖や河口湖、それらのフィールドで釣りをした人ならば遊漁券の確認をする巡回に1日何度か遭遇する体験があるだろう。

ところが、多摩川で3年以上釣りをしているが、それらの巡回には一度も遭遇したことがなく、故に券を所有しない様に外からは見える鮎のコロガシ釣り師が非常に目につく。

湖などと比べ、広大すぎたり、土手から河川までが遠い等の事情で会わないだけなのかもしれない。

ただ、鮎釣りは定番ポイントが明確であるし、友釣りと違い、引掛けるが故に量が安定して取れるカケ釣りこそ、魚資源的な意味では影響が大きいと思うのだが…。




シーバスゲームのフィールドとして


愚痴っぽい論調になってしまったが、これは批判ではなく、数年という期間、エントリーフィーを継続して払い、足繁く通った釣り人として、残念に思うことであり、今後より良い環境に発展する事を期待する気持ち故に生じる率直な感想であり、この素晴らしいフィールドに魅了された想いである。

改善や解決には糾弾や抗議ではなく、純粋に購入者の増加や、先ず購入するからこそ、正式な利用者として要望が聞いてもらえるのではないか、とも考えている。

『俺の言ってることは正しいのだから言うことを聞け』と、相手の横面を叩く様なやり方をしても世の中は何も動かない。

是非とも、皆さんには買わなくても大丈夫なのか、ではなく、よりよい釣り場を増やすためにも、券を買って頂くことで、先ず、正式な利用者としてのシーバスアングラーが増えて欲しいと願う。

その上で、初めて建設的な提案であり、最終的にはシーバスアングラーとして、フィールド作りに参画していくことができるのではないだろうか。



サイズは伸びないが”背っぱり”なグッドファイターが急流の落ち込みから3,4連発することもある


実は今年は鮎の遡上量がとても残念な数値なのだが、まだ膨大な可能性を秘めた、東京湾で唯一の清流ゲームが出来る、忘れられた最後のフィールドが、東京駅から電車で40分の位置にあるのだから。



文 コウノス
 

P.S 20180611


 

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