プロフィール

ねこヒゲ

和歌山県

プロフィール詳細

カレンダー

<< 2024/4 >>

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

検索

:

アクセスカウンター

  • 今日のアクセス:417
  • 昨日のアクセス:342
  • 総アクセス数:376284

QRコード

地磯の危険度とヒラスズキについての一考

シーバスの秋爆が終わり、北西風が吹き始める頃、南紀にはヒラスズキアングラーで賑わい出す。

私はこの時期になると、駐車可能スペースに置かれた車の数と、釣り人の数を比較するようになる。

この時期が1年で1番初心者が多く、行方不明者が出る時期だからだ。

というのも、今までに何人か落水した人を目撃し、その都度助けた事がある。


沖磯、地磯を問わず、磯は死の危険と隣り合わせの場所であり、1歩間違うだけで死ぬ。

大袈裟だと思う人も居るだろう。

確かに、内海や風が無い凪の状態ならば、そう感じるだろう。

しかし、外洋の磯は刻一刻と変化し、上潮の流れですら人を容易く飲み込む。

私はサーフィンをしていた事もあり、風と波に関しては、ある程度の経験と予測するスキルがある。

危なくないという人は、このスキルが未発達か、自身の感覚は研ぎ澄まされてはいるが、鈍感な人が居る事を理解していないのだろう。

また、行方不明者の多くが、海をある程度知った中〜上級者だ。

正直、ここまでの文章で、上から目線で嫌味な奴と思われるならこの先は読まない方がいいし、読む価値も無いだろう。
しかし、私から言わせればそんなアングラーは磯に上がる資格は無い。


シーバスをマスターしある程度腕に自信があり、
なおかつチャレンジ精神が強い人が行方不明になる傾向があるのだ。


それを踏まえた上で、あくまで南紀でヒラスズキばかりやっている経験者の個人談として読んで欲しい。






私は三度の飯よりヒラスズキ釣りが好きだ。


休みの日が荒れるとなると、例え仕事が残っていようと、妻の機嫌が悪かろうと、財布に280円しか入ってなくても南紀へと足が向く。


ヒラスズキを追いかけて20数年になるが、私はいくつかの鉄則だけは厳守するようにしている。



1つめは、波の周期を見ずに水際に立たない。

当たり前の事だとは思うが、釣り人とはせっかちなもので、ポイントに着いたら竿を出したくなるものだ。

しかし、ヒラスズキが生息する外洋、私が通う太平洋岸は、一定の周期でそれまでの倍近い波が打ち寄せる。
また時には、予測できないような大きな波が打ち寄せる。

南紀で行方不明になる人のほとんどが、この波に飲まれてしまったのだろう。

私は、万が一の落水を考え、ヘルメットにウエットスーツという出で立ちで水際に立つが、それでも死にかける思いを幾度もした。

経験者であっても、予測を超える事態が発生することが当たり前の場所なのだ。

磯の一部に乾いた場所があるかもしれないが、大丈夫という認識は捨てた方がいい。

よく、足場の不安定な岩の上でキャストをする人を見るが、あれも危険だ。

波に飲まれたら、体を支え切れずに転倒し、確実に海に引きずり込まれる。


草木1本も生えないような場所は、波に洗われる場所であり、磯の何処にも逃げ場はないと考えなければならない。

ならば、最低でも10分は岩場に降りず、風向き、ウネリが入る方向、波の立ち方を安全な位置から確認し、サラシが出来る場所を特定した後に、タイミングを見計らって降りるのが安全策だ。




2つめは、睡眠不足で磯に立たない。


これは逆に、睡眠が取れていなければ磯、水際に立ってはいけない。

落水する危険もあるが、それ以上に怖いのが行き帰りの交通事故だ。

脳の思考が鈍化すると、判断能力が鈍り、事故に繋がる。

また、磯の上では緊張と高揚感で覚醒するかもしれないが、帰りの道中で交通事故を起こしかねない。

南紀では、居眠り運転に起因する交通事故が多く、ガードレールやコーナー路肩に跡が数多くある。

金曜の仕事終わりに疲れた体で磯に向かい、そのまま釣りをし、疲弊した状態で帰路に付く人が多いためだ。

磯は足場が悪く、立っているだけで体幹の筋肉を使う。

そのため、下半身はバランスを、上半身はロッドを振り回していたら、普段の釣りの倍以上体力を使う。

マズメだけ打って休むか、最初から昼以降の下げのタイミングだけを狙うか、漫然とルアーを投げず、スポットを集中して釣る方が釣果が上がるのもヒラスズキの特徴だ。

事故を起してはせっかくの釣りが台無しになる。
だからこそ、万全の状態で磯に立たなければならない。




3つ目は、水に浸からない、濡れない。


これは、かつての自分を知る人からすれば何を言っているんだと言われるだろう。

サーフィンをしていた事もあり、波の越え方を知っていたため、以前は波が穏やかな場所なら数m〜10数mは泳いで瀬に渡っていた。

だが、あるスポーツの大会で大怪我をし、会場の方々や職場に迷惑をかけた事からふと思うようになった。

自身が思うほど、体は若くない。

同時に、危機管理ができていない。

もうすぐ初老を迎えようとしている身体でこんな事をしていてはいつかは海で死ぬ。
また、私の瀬渡りを観た人がマネをしたら…。

実際、磯釣りが好きなある町の観光課の課長さんに幾度と見られ、直接的には言われなかったが、辞めてほしいというようなニュアンスの発言はあった。


正直、バカな事をしていたと思う。


そもそも、泳がなくともヒラスズキは釣れるし、そんな事をする意味は無い。

大型のヒラスズキを釣りたければ、河口や漁港の方が分がある事を知らなかった事もある。


濡れない事も同じである。

確かに腰まで浸かれば、撃ち易い場所はある。

しかし、前述したように、海と潮は常に変化する。


シャロー部で大波に流されたら、間違いなく頭を岩に打ち付ける。

ヘルメットをしていようが、首にダメージを負う可能性もある。

だから、濡れずに撃ちたいポイントを撃てる位置を探すスキルは身に付ける事が重要である。





4つ目は、釣果をSNSに上げない。


いかなる人がどれだけ注意喚起しようと、
ヒラスズキ=危険な場所=カッコいい
と勘違いするアングラーは一定数居る。

また、人が居ない荒れた場所こそ釣れると勘違いしているアングラーも必ず居る。


以前記載したが、ヒラスズキは行き着くものであり、磯の怖さを知らないアングラーが行って釣れるものではない。

以前プロから聞いた話だが、ヒラスズキは鮎の友釣りと同等の危険性があるという。

流れの中に立ちつくし、一歩間違えれば溺水する危険と隣り合わせの鮎と、波に飲まれれば落水し、潮に流されるヒラスズキは同等という事だ。


鮎師に釣り初心者が少ないのは、道具が高価で敷居が高いという理由もあるだろう。
(※そもそも初心者は、流れが緩い淵からスタートし、河に慣れてから瀬にエントリーする。

しかし磯は、近年のショアジギングブームの影響もあり、磯初級者の数が爆発的に増えた。

渡船の船長が安全に配慮してくれる沖磯ならまだ大丈夫だろう。

しかし、歩いてエントリーできる地磯は、沖磯とは比べ物にならない程危険であるにも関わらず、制限がなされていないため入り放題だ。


私は、南紀の磯の特性を知らずに磯に行こうとするアングラーを1人でも減らしたい。


だから、釣果をSNSに上げない。

また、釣れるポイントを書いたりはしない。


本当にヒラスズキを釣りたいなら、先ずは沖磯からスタートするべきだ。

沖磯に行く経済的余裕が無いなら、河口から始めるべきだ。


それが出来ないようなら、ヒラスズキや青物を追って南紀に来るべきではない。



命に携わる仕事に就き、20数年ヒラスズキを追い求め、今のところ死んではいない自分に出来ることは、「磯ヒラのテクニックを披露する」のではなく、1人でも多くの「行方不明になるアングラー」を減らす事だと考えている。








コメントを見る