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▼ スズキの種類の話
- ジャンル:日記/一般
- (生物ネタ)
どうも〜ナオです。
最近、fimoの過去に書いた記事別のアクセス数を見れることを知り、見てみると、僕のログは釣行記よりも過去に書いた生物ネタのほうがアクセス数が多いことが分かりました。
それなら、もっと生物ネタを書いてみよう!という訳で、今回の記事を書いてみます。
今回の内容は〜
「マルスズキとヒラスズキ、タイリクスズキについて」
皆さんご存知の通り、スズキは日本にはマルスズキとヒラスズキとタイリクスズキの3種類が生息しています。(有明スズキとかハイブリットの話は今回は一旦考えないでおきましょう)
そして、元々は1つの種類で、それが現在では3種のスズキに分化していることもご存知かと思います。
ではこれらの3種類はいったい、いつ頃、どんな風に分化したのか?
そもそも生物の種が分化するのは何で?
今回はそんな所を解説してみます!
進化論について
まず始めに、生物の種の分化を語る上で、進化論について知らなければいけません。
進化論といえば、ダーウィンが有名ですね。
ダーウィンが登場する以前にも生物は不変ではなく、変化している(進化)していることに気付いていた学者は居ましたが、現在でも支持される進化論の骨格を築いたのは、ダーウィンです。
ダーウィンの主張については、沢山の言葉が飛び交っていますが、まとめると彼が主張したことは3つ。
①生物は変異する
常に生物に同じではなく、変化しているという事。
その変化を生物学では変異と呼びます。
②変異は自然環境の中で、淘汰される
全ての変異が自然界に受け入れられる訳ではなく、餌を巡る競争や子孫を残すための繁殖戦略に不利な変異はやがて無くなり、有利となる変異はその生物の中に広がっていくということ。
そして最後が一番重要。
③変異は遺伝する
一度、変異が起こった場合、それは親から子に受け継がれるということ。
この3点から、生物は不変ではなく、環境に応じて姿や行動を変え、進化するという事を主張しました。そしてこれは、その後の考古学による化石研究や、形態比較学による骨格の比較、また遺伝子の発見などによる様々な研究により、彼の主張が正しいことが、後に証明されます。
以上の事により、生物とは
生存環境に有利な変異をした個体は、その特徴が子供に受け継がれ、やがては姿形が変化をする
という事が分かります。
ただここで、一つ問題なのが、必ずしも一つの種の中で、変化した個体だけが生き延び、変化しなかった個体が全滅する訳ではないという事です。
つまり、同じ種でもある地域に住むグループはその地域の環境に有利な形に変化し、別の地域に住むグループはその地域に有利な形に変化するということが起こります。
これいった状態が長く続くことで、やがてはその2つのグループはやがて別の種類の生き物になります。
例えば、長く樹木の上で生活していた人間の祖先が、ある時木をおりて地上生活に適した形に進化したグループがやがて人間へとなり、そのまま樹上生活を続けたグループがチンパンジーやオラーウータンをなったのがいい例ですね。
これが種の分化という訳です。
ここで本題をスズキに戻してみましょう。
スズキの種の分化について
ではスズキの場合、どのように現在のマルスズキとタイリクスズキ、ヒラスズキの3種類に分化したのでしょうか?
これは遺伝子の遺伝的距離を計測することで、判別が可能になります。
遺伝的距離の測定とは、2種類の生物のDNA配列がどれくらい異なっているか?を調べ、その違いの数を調べる事です。
違いが多いほど、遺伝的距離が遠いということになります。
遺伝的は、突然変異や、ウィルスの影響により、ある一定の割合で変化することが知られています。
ですので、この遺伝的距離が遠いほど、古い時期に種の分化が起こったという事が分かります。
このようにして、マルスズキとタイリクスズキとヒラスズキの遺伝的距離を測定した研究結果によると、タイリクスズキと比べて最も遺伝的距離が遠いのがヒラスズキ、そしてマルスズキとタイリクスズキはかなり遺伝的距離が近いことが分かっています。
つまりこの3種のうち、スズキの祖先から最も早い段階で種分化し、別の種類となったのがヒラスズキで、その後、かなりの期間を経たのちに、最近になってマルスズキとタイリクスズキが種分化したことが分かります。
これは釣りをしている我々アングラーは体感的に実感している事でもありますよね。
釣り方や、魚の習性が、3種類のスズキの中でも最も違うのがヒラスズキですもんね。
また最近、話題のハイブリットも、マルとタイリクのハイブリットは良く聞くけど、ヒラとマル、あるいはヒラとタイリクのハイブリットは聞きませんね。
それも、このようにヒラスズキだけ古い時期に種分化している証拠でもあります。
ふー。
このログは長いですが、まだまだ続きますよ〜笑
種分化を加速させるもの
進化を図で表す時に良く使われるのが上画像のような系統樹と呼ばれる木の図です。
様々に枝分かれした木もやがては、一つの幹に辿り着くことが、種の分化と似ているからですね。
この種の分化は先ほど述べた通り、生物の変異がその環境に適応している場合、拡散していき、やがては別の種類になる事で起こります。
そしてそれの流れを加速させる条件があり、それは遺伝的隔離と呼ばれるものです。
遺伝的隔離は大きく分けて3種類。
それぞれの隔離について、スズキを例に挙げて考察してみましょう。
①地理的隔離
これはある種が地形によって隔離されるによって起こる遺伝的隔離です。
例えば、日本の有明海にだけ生息している有明海産スズキを例に挙げると良く分かります。
有明海はこのように、日本地図でみると面積は大きいですが、外海と繋がっている部分がかなり小さいことが分かります。
そしてこの有明海産スズキの繁殖場所は、有明海の中にあります。
すると、外から別のグループのスズキが入ってくることが極端に少なくなり、有明海の中のグループだけで繁殖が行われることになります。
このように隔離された環境では種の分化が加速することになり、他のスズキとは異なる遺伝的をもつ有明海産スズキという種が誕生するに至ったと考えられています。
またもしも、東京湾に十分な水深があり、東京湾の中だけで繁殖が可能であり、房総半島と三浦半島の間がもっと短く、外から新しいスズキの流入が困難な地形であった場合、間違いなく地理的隔離によって東京湾産スズキという新種が誕生しているはずです。
②季節的隔離
これは、同じ場所に生息する種類でも、繁殖行動を行う時期がズレることで、遺伝的に隔離され、種の分化が加速することを意味します。
これは、マルスズキとヒラスズキがいい例ですね。
太平洋側の地域では同じ地域にヒラスズキとマルスズキが同じ地域に生息することが多くあります。
今では完全な別種のため、構造的に両者は互いに交雑を行うことは出来ませんが、種の分化の初期の頃はまだヒラスズキとマルスズキは繁殖行動を行うことが出来たはずです。
しかし、では何故それが起こらず、現在のような完全な別種へと種分化したのでしょうか?
それは両者の繁殖行動の時期が異なることが理由として挙げれます。
マルスズキは一般的に、 晩秋から冬にかけて繁殖行動をしますが、ヒラスズキはこれより遅く、冬から早春にかけて繁殖を行いますね。
このように両者の繁殖時期が異なることによって季節的隔離がおき、両者の種分化が加速したと考えられるでしょう。
③行動的隔離
これは、同じ時期に同じ場所で繁殖行動を行う種であっても、それぞれが同種の異性としか繁殖を行わないような行動がある場合に起こります。
これはスズキの産卵行動が詳しく解明されていないので、スズキに当てはめるのは現状は難しいです。
ただ、もしかしたら人間の手によって運ばれ、地理的隔離が解かれてしまったタイリクスズキと元々そこに生息していたマルスズキとのハイブリットが各地で観察されている以上、両者の間に行動的隔離が存在しない証拠といえるかもしれませんね。
以上になります。
スズキのこれから…
ここからは僕の完全な妄想です。笑
ここまで進化と、種分化の仕組みを勉強した上で、スズキは今後どうなるのでしょうか?
僕の予想ではまず、マルスズキはあと1000年くらいしたら存在しなくなり、全てタイリクスズキとのハイブリットとなると思います。
そしてヒラスズキはさらに変異が進み、1万年後には他のスズキとはさらに離れた見た目や行動になっているのではないでしょうか?
まぁ実際の所、どうなるのかなんて分かりませんが…笑
ただ、この地球が誕生して以来、生物は様々な形に進化し、絶滅し、種分化してきました。
ただ、その生物達は、生き物の仕組みがそうなっていただけで、自分達が進化しているなんて分かっていたはずはありません。
しかし、人間である私達は、この進化の仕組みを理解し、そして今後の予想を立てることが出来ます。
人間以外の生物は、生物でありながら自分達のルーツも未来も知ることなく死んでいくのです。
それなら、せっかく人間に生まれたんだから生物学について学ぶしかないでしょう。
うんうん。そう思う。
つまるところ何が言いたいのかと言いますと…
生物オタク最高!!爆
はー長文疲れた…
ではでは!
- 2017年12月9日
- コメント(6)
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