・少し前に海洋研究所のデータが公開になりました。
https://pari.mpat.go.jp/bdhome/Hasaki/
ここでは海洋研究所が海に作った桟橋の各地点での水深を見ることができます。
またデータも借りた事を明記すれば利用可能です。
それで4か月くらい前ですがすこし分析をしました。
・簡単なサーフの地形の基礎知識
元のデータは500mの計測がありましたが、専門用語で後浜から波砕帯のちょっと先くらいまででした。
後浜とは陸です。
因みに、前浜とは干潮と満潮の波打ち際(汀線)の間の事です。
サーフで釣りをしている場所は殆どの場合、破砕帯と呼ばれるところに地形が出来ます。
離岸流やら瀬というのは波のパワーで出来ていますが、浅い場所でないと波は崩れません。
波が崩れる要件というのは以前書きましたが、波長や波の高さによって決まります。
波長が短い方が崩れやすく、波が高い方が崩れやすいです。
波長が長く、波が低いと崩れにくくなり、その組み合わせがあります。
ここら辺の話を詳細に話すと層流を使ったモデルの二階偏微分方程式の話になりますので専門的な話になります。
お借りしたデータをグラフにしました。

最初、水深は沖に行けば急に深くなるだろうと思っていました。
そこで指数関数(急激に変化する関数)を用意して当てはまりを見て見ようと思いました。
青の点が水深です。
赤が用意しようとした指数関数。
横軸はどうとったか忘れましたが、水深0mを起点としました。
ー200mなどは何なのかよく覚えていませんが、全体では300m計測してあります。
まず青い点から観察してみると、100mくらいは少しのアップダウンがありますが、100mより遠くなると一気に50mの間に4m近く深くなっています。(単位mになってますがcmです)
そして50mの間深い場所が平坦に続き急にかけあがってまた深くなっています。
サーフヒラメで良い地形とは何か?
サーフヒラメでは恐らく、岸から200mくらいまでが破砕帯でサーフの地形の良し悪しがどうの、と呼ばれる場所かと思います。
ここで地形が良いとか悪いとか、どういう風に決めているのか、というと人それぞれに依存するところが大きいと思われます。
人によっては離岸流、また別の人はでこぼこしていたら、等です。
自分の場合は沖が深くない事、を挙げます。
ちょっと脱線しますが、この図でいったら、-100m~-50mの深い場所が無いこと、と思います。
理由は波が手前まで入ってくるためです。
神栖の場合でも、このような大きな海底の地形変化があると波の起こり方が急になりエネルギーが沖で発散してしまい手前までイワシを運ばないから、と思っています。
以前から言っていることですが海底勾配が急だと巻波になってしまい、波の輸送量が減るからですが、それはその時の状況にもよります。
凸凹を良い地形だと仮定した分析
元に戻ってここでは海岸の地形の良し悪しは凸凹だとします。
凸凹が無ければ地形が悪く、ヨブ、即ちちょっとした深場のようなプールがある状態を良い地形だと仮定します。
そこでy=ーXという単純な直線とこの地形をフィッティングしてみました。
その結果がコレ。

かなりの日数分、20年以上のデータを分析したので6000ぐらいやりました。
決定係数は直線によくあてはまっている場合、すなわち地形が悪い時に高くなり、最大で1です。
また地形が良くなれば決定係数は0に近づきます。
このデータは日別なので季節で振動しているのが分かります。
実は海岸の地形とは波打ち際の地形の影響を受けますので潮位によって地形が変わります。
そして潮位差の激しい時期はフラットになりやすいです。
また安定しているときは地形が出来やすいです。
この変化の速さは砂粒の大きさに反比例します。
砂粒の大きさは粒度といって、静岡サーフみたいな礫石のサーフと鹿島灘のような砂浜とでは大きく異なります。
こういう知識もサーフ釣りの醍醐味なので勉強してみると面白いと思うし、自分の過去のブログにも書いてあるので調べてみるといいかもしれません。
これからの展望
釣果のデータが10年分くらい公開されているのでこのデータとマージ(合体)してみて分析をかけると地形が凸凹していれば釣れるのかどうか、という答えが結構見つかると思います。
ただ荒れていると釣れ無いバイアスなどを考慮しないといけないので以前分析した釣果と波の高さの関係をもう一度引っ張って来ないといけないかもしれません。
最後に
自分はこういう知識はサーフ釣りを始めてから勉強しました。
仕事の合間に図書館に行って海洋工学の専門書を読んだりしていました。
なぜそこまでしたのか?というと今までの経験で、他人から話を聞くより科学的な話を先に入れておいた方がインチキ情報に惑わされなくて済むと思ったからです。
本当に地形が良いってどういうこと?ってなったら結構数学使って自分で検証しないとわからないです。
最近はそんなにサーフヒラメの分析に夢中になっているわけではないですが、自分以外にこういう事をやる人が居ないのでのんびり更新していこうと思います。
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